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第22話

これはお勧めじゃなくて、明らかに「説教」だった!

今迄、黒木家の家族、助手の牧野、実家の使用人、皆が紗枝に説教していた。

そして、紗枝は笑顔で、感謝の気持ちで聞かなくてはならなかった。

しかし、今、彼女はもうこんな侮辱、受け止めたくなかった。

彼女は拳を不意に握り締めた。

再び牧野を見て、目線が冷たくなった。「彼が怒ってるのは私と何の関係があるの?

「他に用がなければ、もう帰っていいよ」

彼女の冷たい視線を見て、牧野の心は震えた。

気が付いたら、ドアが内側から閉じた。

拒否されるのは初めてだった。

ここ数年、紗枝は牧野に目もくれないぐらいされたばかりだった。今はその逆だった。

まさか彼女は本当に啓司の機嫌を取りたくないと思ったのか?

牧野が戻ったら、きっと啓司に自分の悪口を言うと分かった。

疲れ切ってソファーに靠れて、啓司から責められるのを待っていた。

彼女が思った通り、牧野は戻ってから、ここで起こったことを多少自分の意思を付け加えて報告した。

この日、風に吹かれた窓がガタガタと音を立てていた。

夏なのに、ソファーに縮み込み、紗枝は寒く感じていた。

どのぐらい経ったか分らなかったが、紗枝はドアベルが鳴っているのをやっと気づいた。

彼女は立ち上がってドアを開け、誰だか見なくても分かっていた。

高くてそびえたつ男が目前に立つと、紗枝は子供みたいに小さく見えた。

深くて黒い瞳を見上げて、紗枝は冷静に言い出した。「牧野から聞いたのか?」

啓司は渋い顔を見せながら、数十枚の写真を紗枝に向かって投げ捨てていた。

「面子を残してやるつもりだった」

紗枝は唖然とした。

目を下に向くと、辰夫と自分の写真が目に入った。

何枚かが角度を選んで曖昧そうに取られたので、特に不適切とも言えなかった。

彼女が説明する前に、啓司は再び言い出した。「元々、すべてが誤解だと思っていた。君はとても単純で、やり直そうと思った」

もともと…

紗枝の耳がごろごろ鳴り始めた。喉も詰まって、口を開けて、声が掠れた。

「そうか?失望させてごめんね」

結婚して3年。

彼女は尽力して、ほかの男性と接触しないようにした。

でも、最期にこのような羽目になった。

目に涙が溜まって、彼女は悔しい気持ちを抑えて、できるだけ落ち着いて
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