「あー……。今日も楽しい一日だったな」「ふふっ。そっか、良かった」 畑で採れた野菜で作った晩ご飯は、どれも美味しくて。 ヴィクタールは勿論、リシュティナもついお代わりをして食べてしまった。 今は歯磨きも終わり、ヴィクタールとリシュティナはベッドに寝転びながら雑談に花を咲かせていた。「――じゃ、そろそろ寝ようか。明日も野菜達を頑張って売ろうね。おやすみ、ヴィル」「……あぁ……」 リシュティナは微笑んで挨拶を告げると、ヴィクタールと反対の方を向く。「――あ、あのさっ」 その時、後ろからヴィクタールの上擦った声が飛んできた。 リシュティナは、(また歌って欲しいのかな?) と思いながら、「うん、何?」 と、そのままの姿勢で返事をする。「そ、その……さ。背中合わせに眠っても、今朝みたいにこっち向いてるかもしれないじゃん? 何か意味無いっつーか……。だ、だからさ、背中合わせで寝るの……止めにしないか?」「え?」「……こっち、向いて欲しいんだ……。リィナ」「……っ!」 男性特有の低く、真剣な声音に、ドキリとリシュティナの心臓が跳ねた。 リシュティナはコク、と息を呑むと、そろそろとヴィクタールの方に身体ごと向き直る。 彼は、真面目な顔つきでこちらを見つめていた。 不意にヴィクタールの手が伸ばされ、リシュティナの頬を静かに撫でる。(………っ) すぐ目の前にある美丈夫の顔に、リシュティナの胸の鼓動は早いままだ。「あの……さ、オレ……。ここに来て最初の日、すっげぇよく眠れたんだ。昨日もグッスリと安眠出来た。城ではなかなか寝付けなかったんだ。公務とか、世間の評判だとか……精神的負担もあったんだろうな。寝れないから、睡眠時間も毎日短くて。日中、いつもボンヤリしちまってた。……だからあの女がグラスに入れた睡眠薬がすぐ効いちまったんだろうけど……」 ヴィクタールは苦虫を噛み潰したような顔をしたが、またすぐに真剣な表情に戻った。「ここに来て、よく眠れるのは……さ、お前の唄のお蔭もあるけど……。お前がさ、オレの傍にいてくれるからなんだ。お前の顔を見るだけで、安心出来るっつーか……すごく落ち着くんだ。だから――」 ヴィクタールはそっと目を瞑ると、リシュティナの額に自分の額をコツンと当てた。「――ありがとな、リィナ。オレ、お前に出会えてホント良
Terakhir Diperbarui : 2025-04-05 Baca selengkapnya