朱莉に案内されたのはウォークインクローゼットであった。「どうぞ、見てください」琢磨にワードローブにしまってある服を見せた。スーツが20着ほど吊るされ、収納ケースにはきちんと春物や夏物に仕分けされた服が畳まれてしまってある。下着類も丁寧に畳まれて収納されていた。「凄いですね。そこまできちんと考えられていたなんて」琢磨は感嘆の声を漏らすと同時に、ある事に気付いた。「あの……ご自身の服は購入されていますよね? 今見せていただいた場所は全て副社長用の服しかない様ですね。こちらに置かれている全ての収納ケースを拝見しましたが、奥様のはございませんね? 別の場所におかれているのですか?」「はい。ベッドルームのクローゼットにしまってあります」そこで琢磨は引っ越し準備のことを思い出していた。朱莉がこの部屋に越して来る為に、琢磨は何度もこの部屋を訪れていた。必要な家電や家具を購入し、それらを配置する為に、連日通い詰めていたのだからよく覚えている。(まてよ……。確かあのベッドルームには確かにクローゼットはあるが、大した大きさじゃなかったよな?)琢磨はそのことを思い出し、朱莉に尋ねた。「あの……奥様の衣類は全て、そのクローゼットで収まっていると言うことですか?」「はい。そうですが?」「副社長からはカードを預かっておりますよね? それで自由に買い物をするようにと言われていたと思いますが?」すると朱莉は顔を赤らめる。「確かにそう言われましたが、翔さんのカードをお借りして買い物をするのは何となく気が引けて……それで自分の分は月々の手当から買っていました」琢磨はそれを聞くと胸がズキリと痛んだ。(そこまで彼女に気を遣わせてしまっていたなんて……!)「それは副社長が奥様に使っていただきたいと思い、渡されたカードです。書類上の結婚とは言え、奥様は正式な副社長の妻なのです。なのでどうか遠慮されずにそちらのカードで必要な物は全て購入されてください。そして月々振り込まれるお金は……これは私個人の意見ではありますが、将来の為に貯金されることをお勧めします」「九条さん……」「申し訳ございません、余計なことを話してしまいました。どうやら私が持ってきた服は必要無かったようですね。このまま持ち帰らせていただきます。それともう一つ確認を取らせていただきたいのですが、食器類なども全て
ปรับปรุงล่าสุด : 2025-03-15 อ่านเพิ่มเติม