Lahat ng Kabanata ng 偽りの結婚生活~私と彼の6年間の軌跡 偽装結婚の男性は私の初恋の人でした: Kabanata 71 - Kabanata 80

135 Kabanata

3-15 カウンセラーのアドバイス 2

「どうした? 琢磨?」「翔! お前、本気でそんなこと言ってるのか? 尋ねる相手と言ったら朱莉さんに決まっているだろう!?」「あ……ああ。そうか……朱莉さんか……。頼む、琢磨。お前から朱莉さんに聞いて貰えるか? 彼女にプレゼントしたいからと言ってさ」「翔! 俺には今付き合ってる彼女はいないぞ?」琢磨は睨みつけた。「そんなのは勿論分かってるさ。ただ……」「何だよ? 今まで黙っていたけど……お前、朱莉さんとは連絡どうしてるんだ?」琢磨の射抜くような視線に翔は溜息をついた。「実は初めて明日香をカウンセラーに見て貰った時に言われたんだ。明日香を少しでも安心させるように、当分の間朱莉さんとは連絡を一切取らないようにって。そのことは最初に言われた時に、朱莉さんには説明したよ。悪いけど、暫く連絡を取ることは出来ないって。まあ、今のところ親族との顔合わせも予定していないし会長も結局年内には帰国できないことが決まったしな。朱莉さんも俺達と関わらない方が気楽だろうから、いいだろう」「何だって? そんな話は初耳だぞ? 明日香ちゃんには内緒でもう一度カウンセラーに相談してみろよ。あれから3カ月は経過している。?もうすぐクリスマスなんだし、このままにしておいていいはずはないだろう?」「……」「何故そこで黙るんだよ?」「いや……一応ボーナスの上乗せは考えているんだが……それだけではまずいだろうか?」翔の言い分に琢磨は唖然とした。「本気で言ってるのか? お前と明日香ちゃんはこれから2人だけのクリスマスのイベントが結構入っているじゃないか? それなのに朱莉さんは? 偽装妻であることがバレないように極力親しい人達との連絡も取らないようにって最初に結んだ契約書の中にあったよなあ? 朱莉さんだけ寂しい思いをさせて、自分たちはクリスマスを楽しむつもりか?」「琢磨……」(琢磨の言う事は尤もだ。朱莉さんとは書類上とは言え、正式な妻であるには変わりない。だが、明日香の嫉妬から守る為に放置してきたのは良く無いかもしれない。俺としては暫く朱莉さんとの連絡を絶つことが、彼女にとっても最良の方法かと思っていたのだが……)「分かったよ、琢磨。明日にでもカウンセラーの女性に朱莉さんと連絡を取り合ってもいいか確認してみる」「ああ、是非そうしろ」琢磨は残りのコーヒーを一気に飲み干した。「
last updateHuling Na-update : 2025-03-18
Magbasa pa

3-16 クリスマスプレゼントに欲しいものは 1

「朱莉。もう鳴海さんと入籍して半年以上経つけどまだ会う事はできないのかしら?」今日も朱莉の母――洋子は面会に訪れた朱莉に尋ねた。「うん、ごめんね……。翔さんて、鳴海グループの副社長で凄く忙しい人だから、どうしても面会に来る事が出来なくて」朱莉は母の為にリンゴの皮を剥きながら俯き加減に答える。「そうなの?」「うん、だからもう少しだけ待っていてくれる」朱莉は寂しげに笑った。「え、ええ。分かったわ。ところで朱莉……」「何? お母さん」「朱莉、今……幸せに暮らしているの?」「嫌だなあ。お母さんたら。幸せに暮らしているに決まってるでしょう? はい、リンゴ剥いたから食べて?」朱莉は笑顔でに皿に乗せたリンゴを手渡した。「ありがとう、朱莉」「お礼はいいから早く食べてみて? すごく美味しいんだから。翔さんがお母さんにって買ってきてくれたんだから?」「そうよね……。いつもありがとうございますってお礼伝えておいてね?」洋子は弱々しい笑顔で朱莉に言った。「うん、勿論。ちゃんと伝えておくね」洋子は一緒にリンゴを食べている娘の横顔をじっと見つめながら思った。朱莉は幸せに暮らしているのだろうか? とても今の様子を見る限りは幸せに暮らしているとは到底思えなかった。むしろ缶詰工場で働いて1人暮らしをしていた時の方が、生き生きとして見える。(朱莉は誰にも相談できない様な重大な辛い秘密を抱えているのかもしれないわ……)しかし、とてもそれを確認することは出来なかった。何故なら少しでも朱莉に鳴海翔のことを尋ねようとすれば悲し気な顔を見せるのでとても聞きだす気にはなれなかったのだ。2人の結婚生活については、この話が出た時からずっと疑問に思っていた。(朱莉……もしかして貴女……私の為に鳴海家に身売りしたの……?)しかし、朱莉に尋ねることが出来なかった――「それじゃ、また明日来るね。お母さん」「ねえ、朱莉。何も毎日面会に来なくてもいいのよ? 大変じゃない?」朱莉が部屋を出ようとした時、洋子は声をかけた。「ううん。そんなこと無いよ。毎日お母さんの顔見ないと安心出来無いから。それじゃまた明日ね」笑顔で手を振ると、朱莉は病室を後にした。****「ふう……。今日もまたお母さんに嘘をついちゃったな」イルミネーションが美しい町中を歩きながら朱莉は溜息をついた。朱莉
last updateHuling Na-update : 2025-03-18
Magbasa pa

3-17 クリスマスプレゼントに欲しいものは 2

「こんばんは、九条さん。偶然ですね」「はい、実はそちらのビルに用事があって来ていたんですよ。このドレスを見ていたんですか?」琢磨は青いドレスを指さすと尋ねた。「あ。は、はい。素敵なドレスだなと思って……」朱莉は頬を染めながら答えた。「確かに素敵ですね……。奥様に似合いそうですね」「いいえ。ただ見ていただけですから。それにあったとしても宝の持ち腐れになってしまいますし」「そうでしょうか? 今後必要になるかもしれませんよ?」琢磨は首を傾げ、次の瞬間息を飲んだ。朱莉があまりにも悲し気な目でワンピースを見つめていたからである。「奥様? どうされましたか? そう言えば何故こちらにいらしたんですか?」「あの……九条さん」「はい、何でしょうか?」「奥様って……私はそんなんじゃありませんので、どうか名前で呼んでいただけますか? 始めの頃のように」朱莉は悲し気に言った。「そう言えば最初は朱莉様と言っていましたね。それでは朱莉様で……」「いえ、様付で呼ばれるほどの大した人間ではありませんので、さん付けで呼んでいただけますか?」朱莉は顔を上げて九条を見た。それは真剣な眼差しだった。「分かりました。それでは朱莉さんと呼ばせていただきます」「ありがとうございます。あの……先ほどの九条さんの質問の件ですが……あの病院に母が入院しているんです」朱莉の指さした方向には巨大な病院が建っていた。「そう言えば、朱莉さんのお母様は転院してあちらの病院に移られたのですよね? それでは面会の帰りなのですね?」「はい。あの……翔さんは……どうしてますか?」「はい、副社長ならお元気にしておられますよ? 朱莉さんはもう副社長にクリスマスプレゼントのリクエストはされたのですか?」朱莉がその言葉に一瞬ビクリと肩を動かす。「もしかすると朱莉さんは副社長にリクエストされていないんですか?」琢磨は声のトーンを落とした。「あ、あの。私からリクエストなんて、そんな図々しいことは出来ませんから」「副社長から聞かれなかったのですか? リクエストの話はありましたか?」「ありません……。それに、たとえリクエストを聞かれても……その願いが叶うかどうか……」そこまで言うと朱莉はハッとなった。いくら翔の秘書だとは言え、話し過ぎてしまった。「すみません、九条さん。私、用事があるのでこ
last updateHuling Na-update : 2025-03-18
Magbasa pa

3-18 1人きりのクリスマス・イブ 1

 今日はクリスマス・イブ。朱莉は1人広々としたリビングのソファに座り、ため息をついた。「ふう……」テーブルの上には1枚のカードが小さな箱に入って置かれている。それは翔からのクリスマスプレゼントとして、3日前に朱莉の自宅に郵便物として届けられたギフトカードであった。『クリスマス限定レディースプラン・エステ付き宿泊カード』カードにはそう記されている。クリスマスにお1人様向け女性の為のホテル宿泊限定カードが翔からのクリスマスプレゼントだったのだ。「結局翔先輩からクリスマスプレゼントのリクエストの話こなかったな…。クリスマスに私が1人だから気を遣ってくれてこのプレゼントにしてくれたのだろうけど……」朱莉は窓の外を見ながらポツリと呟いた。「プレゼント代わりにお母さんに会いに来て欲しかったな…」ため息をつくと再びギフトカードに目を落した。本当は何処にも行きたくは無かった。まして、こんなお1人様用のホテル宿泊カードをプレゼントされた日には、君には誰一人として一緒にクリスマスを過ごす相手がいない寂しい人間なのだろうと、翔に言われているようで返って惨めな気分になってしまった。だけど……。「翔先輩がわざわざ私の為に吟味してこのプレゼントを考えてくれたんだものね。私ったら卑屈に考えすぎだ。これは先輩からの好意の気持ちが込められていると思って、ありがたく受け取って使わなくちゃね」朱莉はソファから立ち上がると、ベッドルームへ行き、1泊宿泊分の着替えを用意してボストンバックに詰めると、自宅を後にした。行き先はギフトカードに書かれた都心にある高級ホテル。折角初めての翔からの贈り物なのだから無駄にすることは出来ない。多分、翔は明日香と2人でクリスマスを過ごすはずだ。(翔先輩……ホテルの宿泊カードをプレゼントにしたのは私に寂しいクリスマスを過ごさせない為にですか? それとも明日香さんと2人でクリスマスを過ごす事に対して私に気を遣ったからですか―?)朱莉は電車に揺られながら瞳を閉じた――**** ここはベイエリアにある一流高級ホテル。今、このホテルの最上階にあるスイートルームに翔と明日香は宿泊している。「ねえねえ。翔見て。海に夜景が映って、きらきら光ってすごく綺麗よ?」明日香は巨大なガラス張りの窓から見える美しい夜景を背景に翔に声をかけた。「ああ……本当に綺
last updateHuling Na-update : 2025-03-19
Magbasa pa

3-19 1人きりの時間 1

 今日はクリスマス― 琢磨の部屋で目覚まし時計の音が部屋中に鳴り響いている。ピピピピ……「う~ん……」ごそごそとベッドから腕を伸ばし、パチンとアラームを止める。欠伸をしながら大きく伸びをすると琢磨は起き上がった。「ふう……。昨夜は飲みすぎたな……」 昨夜は友人が経営するダーツバーにいた。クリスマスイベントのパーティーが開催されたのだが、どうしても頭数が足りないから来てくれと友人に頼み込まれて、仕方なく出席したのであった。琢磨自身はこのパーティーに長居するつもりは全く無かった。ほんの少しだけ顔を出して友人の顔を立てたら、早々に退散するつもりだったのだが数人の女性に取り囲まれて、帰るに帰れなくなってしまい、結局帰宅出来たのは深夜の2時を回っていたのだ。「……ったく……。もう二度と頼まれても出てやらないからな……」頭をかかえると、スマホが着信を知らせるランプが点滅していることに気が付いた。「うん? 誰からだ……? 翔か?」スマホをタップすると着信相手は朱莉からであった。「朱莉さん……? そういえば昨夜は翔がプレゼントしたホテル宿泊ギフトを利用したのだろうか?」琢磨はすぐにメッセージを開いてみた。『こんばんは。土曜の夜に申し訳ございません。翔さんのプレゼントしてくれたホテル宿泊を本日利用させていただいております。おかげさまでエステに豪華なルームサービスを堪能することが出来ました。その旨を翔さんに伝えていただけますか? 後、1つお願いしたいことがあります。今現在住まわせていただいております部屋ではペットを飼うことは出来るのでしょうか? もし出来るのであれば、小型犬を飼わせていただきたいと思っております。九条さんの方から翔さんに尋ねていただけますか? 申し訳ございません。どうぞよろしくお願いいたします』「ふ~ん……ペットか……」琢磨はスマホのメッセージに目を落しながら呟いた。確かにあの広い部屋に1日中1人きりで過ごすのは寂しいかもしれない。朱莉は外で働いている訳でもない。家で通信教育の勉強と母親の面会の為に病院通いをしているだけの日々を過ごしている。結婚当初、朱莉はパートでもいいから外で働きたいと琢磨を通して翔に希望を出していたのだが、書類上とはいえ鳴海グループの副社長の妻が働く事について世間体を考えた翔が許さなかったのである。「まあ、確かに
last updateHuling Na-update : 2025-03-19
Magbasa pa

3-20 1人きりの時間 2

後着替えを済ませて、コーヒーを淹れていると琢磨の電話が鳴った。「もしもし」『おはよう、琢磨。今メッセージ読んだよ』「そうか。で、ペットの件はどうだ? 俺は幾ら何でもあんな広い部屋に1日中1人で過ごす朱莉さんが気の毒だと思うからペットを飼うのは賛成だ。翔、お前はどうなんだ?」『ああ。俺も別に構わない。朱莉さんが自分から要望を言ってくるのは今回が初めてだしな。琢磨から朱莉さんに連絡を入れておいてくれないか? あ、それで伝えておいてくれ。もしペットを飼ったら、画像を送って見せて欲しいって』「分かったよ。それじゃ、今一度電話切るぞ。多分朱莉さんメッセージを待ってると思うからな」『分かった。朱莉さんによろしくな』琢磨は電話を切るとすぐにメッセージを書いた。『副社長の許可をいただくことが出来ました。どうぞ朱莉さんのお好きなペットを選んでください。後、社長がもしペットを購入した際は写真を送って見せて貰いたいと話しておられました。それではまた何かございましたら連絡を下さい』**** ルームサービスのコーヒーを飲んでいると朱莉のスマホに着信を知らせる音楽が鳴った。(ひょっとして……九条さん?)直ぐにスマホを開くと朱莉の顔が笑顔になった。「良かった。ペット、飼ってもいいんだ」朱莉はすぐにコーヒーを飲み終えると、荷物を片付けていつでもチェックアウト出来る準備を始めた。(フフ……早速今日ホテルを出たらペットショップへ行ってみよう。そうだ! どんなペットがいいか、今から検索しておこうかな?)朱莉は早速スマホの検索画面を表示させ、どんなペットがいいか調べ始めた。(う~ん。飼うのなら犬がいいかな? それとも猫がいいかな? あ……でも、猫はひっかいて壁紙とか傷つけちゃったらまずいし……うん。やっぱり小型犬にしてみようかな?)それから朱莉はホテルをチェックアウトするまでの時間を、ペット検索に費やすのだった――****「明日香、そろそろチェックアウトの時間だ。行こう」翔は未だにベッドの上に寝転がっている明日香に声をかけた。「あ~あ……。もう帰らなくちゃいけないなんて……。もっとこの部屋にいたかったわ。ねえ、もう1日泊まらない?」「無理言うなよ、明日香。俺は明日は仕事があるんだ。明日の朝、ここから会社なんて遠すぎだ」翔は荷物を整理しながら返事をした。「
last updateHuling Na-update : 2025-03-19
Magbasa pa

3-21 初めての高額買い物 1

 朱莉はペットショップに来ていた。ゲージの中には様々な犬が入れられている。「フフ……どの犬も皆可愛いな…」ガラス越しから愛らしい子犬たちを見つめていると、若い女性スタッフが朱莉に話しかけてきた「お客様。お気に入りのワンちゃんは見つかりましたか?」「はい。一応飼いたいと思う犬はいるんですけども……」「どちらのワンちゃんがよろしいのですか?」「あの、こちらの子犬がいいかなって思ったんですけど」朱莉が指さした犬は生後60日のオスのトイ・プードルであった。「ああ、このワンちゃんですね。最近お店に並ぶようになったんですよ? 中々人気のワンちゃんですからね」「やっぱりそうなんですね? 実は私一度もペットを飼った事が無いんですけどネットで調べたら初心者にも飼いやすいって書いてあったので」「ええ、そうですね。初心者向きのワンちゃんですよ? 抜け毛や体臭も殆ど無くて甘えん坊さんですよ? 食費もそれ程かからないし……。あ、でも吠え声は割とよく通る方なので訓練はした方がいいかもしれませんね」「訓練ですか……何だか難しそうですね」朱莉が考え込むと、女性スタッフが言った。「それでしたら、こちらで信頼のおけるドックトレーナをご紹介しますよ」「あ、それはいいですね。是非お願いしたいです」そこまで言って、朱莉はハッとなった。これではもう完全にこの目の前のトイ・プードルを飼う流れになってしまっている。「あの……子犬を何も準備が無い内にいきなりその日連れて帰る、って言うのどうでしょうか?」「う~ん……そうですねえ……やはり事前に準備はしておいた方がいいと思いますよ」「お金だけ支払って子犬を迎え準備が整ったら引き渡しと言う形をお願いしても大丈夫ですか?」朱莉は遠慮がちに尋ねてみた。「ええ。問題ないですよ。それではそうされますか?」女性スタッフはにこやかに答えた。「はい」朱莉は返事をしつつ、トイ・プードルの値段を見て息を飲んだ。価格は税込みで52万円となっている。(た、高い……。他の犬よりも明らかに高いな……。犬ってこんなに高い物だなんて知らなかった。だけど……)朱莉は目の前にいるトイ・プードルをじっと見つめた。愛らしい黒の瞳でじっと朱莉を見つめるその子犬は、まるで早く朱莉に飼い主になって貰いたいと訴えているように思えてしまった。(すみません翔先輩。ち
last updateHuling Na-update : 2025-03-20
Magbasa pa

3-22 初めての高額買い物 2

「どうもお待たせいたしました。ではこちらがお客様がお買い上げになられた全ての商品になります」配達をしてきた若い男性店員から荷物を受け取る朱莉。「どうもありがとうございました」男性店員は明るい声で言うと、部屋を出て行った。「さて……それじゃ、準備しようかな?」朱莉は袋から次々と買って来た商品を取り出し、子犬を迎える為の準備を始めた――「ふう……こんなものかな?」広さが39畳あるリビングに設置されたサークル、ベッド、犬用トイレマット、ペットシーツ、おもちゃ等々が全てサークルの中に入っている。肝心の犬は5日後に朱莉に引き渡される事になっている。さらに少々気が早いかもしれないが、来週からはドッグトレーナーのしつけ訓練も始まる。朱莉はワクワクしていた。今迄単調だった生活の日々とも、もうすぐお別れ。新しい家族が誕生するのである。朱莉はスマホに収めてきたこれから新しくやってくるトイ・プードルの写真を眺めた。お店の許可を貰って、写真を撮らせてもらったのだ。「これからよろしくね」愛おしそうに写真を眺めて、ふと思い出した。琢磨から翔に飼った犬の写真を送って欲しいと頼まれていたのだ。(まだペットショップにいるけど……いいよね?)実際にはまだ自宅に来ていないが、もう支払いは済んでいるし、5日後にはここに来ることが決定している。ついでにかかった費用も伝えた方が良いだろう。朱莉はレシートと領収書の画像をスマホで取ると、メッセージを打ち込んだ。『こんにちは。本日、ペットショップでこちらの犬を買いました。金額は税込みで52万円でした。子犬を迎えるにあたり必要な品物を買い揃えた所、合計で100万円近く使ってしまいました。子犬がやって来るのは5日後になります。一度に沢山のお金を使ってしまい、申し訳ございませんでした。翔さんによろしくお伝え下さい』そして犬の画像ファイルと、レシートの画像を添付して琢磨に送信した。****「全く朱莉さんは……翔に気を遣い過ぎだ」琢磨は送られてきたメッセージを読みながら溜息をついた。確かに一般庶民が一度に100万以上の買い物をするのは、滅多に無いことだろう。だが、朱莉は仮にも鳴海グループの副社長の妻である。明日香などは普段から湯水のようにお金を使っているというのに……。「まあ、いいか……翔に電話するか」琢磨は翔のスマホに電話
last updateHuling Na-update : 2025-03-20
Magbasa pa

3-23 ハワイでの会話 1

――年末翔と明日香はハワイの別荘に来ていた。現在2人は別荘のバルコニーから海に沈む夕日を眺めている。「素敵……今年も翔とこうして2人きりでハワイの別荘で過ごせるなんて」明日香はうっとりとした目で翔を見つめる。「何で2人で過ごせないと思ったんだ?」翔は明日香の肩を抱きながら尋ねた。「だって翔。貴方は書類上とはいえ結婚したでしょう?」明日香は翔をじっと見つめた。「確かに結婚はしたけど、何度も言ってるだろう? 彼女は所詮祖父の目を胡麻化す為の妻だって。だから敢えて大人しそうな女性を選んだんだ。その証拠に今まで彼女の方から一度でも俺達に何か文句を言ってきたことでもあったか?」翔の問いに明日香は首を振った。「いいえ、無かったわ」「だろう? だから明日香は何も心配することは無い。今までと同じ生活を俺達は続けていくだけだよ」「だけど一つだけ不安なことがあるわ」明日香が不意に俯く。「不安なこと? 一体それは何だ?」「朱莉さんよ……。彼女、私の目から見てもすごく綺麗な女性でしょう? しかも女らしいし。彼女に心変わりなんて絶対にしないわよね?」その顔はとても真剣なものだった。「当り前だ。俺が明日香以外に心変わりなんてするはずがないだろう?」明日香の髪を撫る翔。「本当に? 本当に信じていいのよね? 私はね、この世で一番大好きな人は翔。貴方よ? だから、貴方の一番も常に私にしておいてよ? 例え私達の間に子供が生まれようとも私が一番大切なのは翔だけだからね? それを忘れないでね?」明日香は翔の首に腕を回す。「分かったよ明日香。例え新しい家族が増えたとしても、俺が一番愛するのは明日香だよ……」翔は明日香を抱きしめ、自分の心の中に暗い影が宿るのを感じた。(明日香。何故、自分の子供を一番に愛することが出来ないのに……お前は子供を欲しがるんだ?) 実はここ最近、明日香から子供が欲しいと翔はねだられていたのだ。しかし、カウンセラーの意向も聞き、子供を持つのはまだ無理だと言われていた。いや、それ以前に明日香の今の精神状態では妊娠中の身体の変化についていくことは難しいだろうと忠告されていたのである。今回翔が明日香の望み通りハワイに2人きりでやってきたのも、子供を持つのは後数年は考え直そうと説得する意味合いもあったのだ。 翔は一度深呼吸をすると、明日香に
last updateHuling Na-update : 2025-03-20
Magbasa pa

3-24 ハワイでの会話 2

「あ、明日香……。突然どうしたんだ?」久しぶりに明日香が怒りの感情を露わにしたことに翔は動揺した。「私が子供が嫌いなのは知ってるでしょう? 言うことは聞かないし、所かまわず泣くし、1人じゃ何も出来ないし……。小さい子供なんてね……犬猫と同じよ!」(い、犬猫と同じなんて……)明日香のあまりの言い分に絶句してしまった。(なら何故明日香は子供を望むのだろうか?)「明日香。もしかして子供好きの俺の為に無理して子供を産もうとしてくれているのか……?」しかし、明日香からの答えはあまりにも意外な内容だった。「いえ。私が子供を望むのはね……」明日香は翔に耳打ちをした。「!」翔は明日香の言葉にわが耳を疑ってしまった。「明日香……お前、本当にそんな理由で子供を欲しがっていたのか……?」震える声で翔は明日香に尋ねた。「あら……? そんな理由ですって? これって子供を産むのに十分な理由になると思うけど?」明日香は翔の頬に触れた。「すっかり日が落ちちゃったことだし、部屋に入りましょうよ。ワインで乾杯しない?」明日香は笑みを浮かべると部屋の中へと入って行った。「明日香……」1人取り残された翔は深いため息をつくと、琢磨にメッセージを送った――****ハワイ時間深夜1時――「琢磨、朱莉さんの今日の様子はどうだった? 何か困ったこととかありそうだったか?」ウィスキーを飲みながら翔は琢磨に尋ねた。『お前なあ……。そんなに様子が気になるなら自分から彼女に直接連絡とればいいだろう?』電話越しから琢磨のうんざりした声が聞こえてくる。「いや、それは無理だ。何故なら……」『朱莉さんに内緒で明日香ちゃんと2人でハワイに来ている。下手に連絡を入れて、ハワイにいることを知られたら肩身が狭い。って言いたいんだろう?』「何だ……良く分かってるじゃないか」『当たり前だ。お前と何年付き合ってると思ってるんだ?』琢磨の呆れたような声が受話器越しから聞こえてくる。「そうだよな……。何でもお見通しか……。それで朱莉さんの飼ってる犬の様子だが……」『ああ、分かってるよ。……ったく……。朱莉さんから子犬の動画が送られてきているから、後でお前のアドレスに転送しておいてやるよ』「ありがとう、すまないな」『そういう台詞はな……朱莉さんに直接伝えてやるんだな』「そうだよな
last updateHuling Na-update : 2025-03-20
Magbasa pa
PREV
1
...
678910
...
14
I-scan ang code para mabasa sa App
DMCA.com Protection Status