結局、この日朱莉は明日香と翔の件ですっかり落ち込み、食欲が薄れてしまい折角の魚料理をあまり食べる事が出来なかった。エミは折角の料理だからと言ってお店の人にコンテナボックスを頼み、今夜のおかずにするから気にしないでと言って笑ったが、朱莉は申し訳ない気持ちで一杯だった。「本当に折角連れ出して貰ったのに、申し訳ございませんでした」ホテルまで送って貰うと朱莉は何度も何度もエミに頭を下げた。「あら、いいのよ。全然そんな事気にしないで。それにしても本当に大丈夫? 顔色が悪いから心配だわ。そうだ! 何か栄養のあるものを後で届けてあげるわ!」「いえ、そんなそこまでしていただくわけにはいきません。エミさんも今日は私の事は構わず、お休みください」恐縮する朱莉。「何言ってるのよ、アカリ。夕方6時に迎えに来るわよ。2人で出かけるからね」「え……ええっ!? 出掛けるって……一体何処へ!?」「アカリはまだ若いんだから、もっと羽目を外すこともするべきなのよ。いい? 18時にホテルの部屋に迎えに行くから、体調管理をして待っていなさいよ? 約束だからね?」エミは朱莉に無理やり約束をさせると、車に乗って去って行った。****ホテルの部屋に戻り、ベッドに横たわると朱莉はポツリと呟いた。「ふう……エミさんて意外と強引なところがある人なんだな……」でも、正直嬉しかった。まだ会って数日しか経っていないのに、明日香の前に立ち塞がって朱莉を守ってくれたこと……。あの時、本当は涙が出そうに成程朱莉は嬉しかったのだ。(本当は欲を言えば、翔先輩に庇って貰いたかった……)でも……それは夢のまた夢。鳴海翔の一番は高校時代から常に明日香だったのだ。今更と言われても、どうしても朱莉は期待してしまっていたが、その結果は……? 翔は朱莉を見る事すらしなかったのだ。「もう翔先輩には何も期待したら駄目なのかな……?」朱莉はいつの今にかそのままベッドの上で眠りに就いてしまった—―****その頃、明日香と翔の部屋では――「悔しい!! 何故私がたかがガイドごときに馬鹿にされなくちゃならない訳!?」高級ブランドのショルダーバックを乱暴にベッドに投げつけた。「おい、明日香! 少しは落ち着けって!」翔は明日香を宥めるのに必死である。「煩いわね! 元はと言えば翔がいけないんでしょ! 突然あのレスト
Terakhir Diperbarui : 2025-03-13 Baca selengkapnya