All Chapters of 優しさを君の、傍に置く: Chapter 31

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番犬の役割《6》

「火曜と木曜……すか」 いわずもがな、仕事だ。だが当然、外に出ていることもあるから立ち寄るのくらいは問題ない。……しかし長時間並んで、というわけにはいかないな、と思案していると。 「陽介さんも、普段はお仕事ですよね。祝日とかはお休みですか?」「はい、祝日は休みっすよ」 そこではたと気が付いて、スマホを取り出してカレンダーを開いた。 「そっか、祝日!」「はい、今度の祝日、火曜なんですよ」 祝日なら確実に休みだし、何時間前からだって並ぶことができる。よっしゃ、と弾んだ声の俺につられてか、慎さんの声も落ち着いてはいたけれど少しそわそわとしたもので。 「……行けそうですか?」 スマホから顔をあげると、やっぱり期待して表情もそわそわしていた。「行きますよ勿論。ってか三週間も先なんですけど」「今までずっと食べられなかったんだし、三週間くらい待ちます」 ぱっと輝いた表情は営業でもなんでもない……ように俺には見えてそれだけでまた手やら……まあ色んなとこがウズウズする。ああ、抱きしめたい触りたい、って。こうしてバーテンダー姿を見ると改めてこの人男なんだよなーと思うけど、それ以上に触れてみたいという欲求が強い。いやいや。ダメだってお触り禁止だし。怖がらせたらダメだし、そこは佑さんに言われるまでもなく。と、自分の中で欲求不満と格闘を交えていると、目の前の慎さんが変なものでも見るような胡乱な瞳を俺に向けていた。 「&hellip
last updateLast Updated : 2025-03-14
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