All Chapters of エリートな彼と女子大生の年の差恋愛婚: Chapter 1 - Chapter 6

6 Chapters

【プロローグ】

 それは、ある夏のかなり暑い日の出来事だった。 いつものように大学へ行くため、わたしは電車に乗っていた。 時間は朝8時15分、満員電車の通勤ラッシュの時間帯だった。 その日は友達と遊びに行く約束もしていたため、いつもよりも薄手の格好をしていた。   そう満員電車だから、乗れるわけもなく、通学時間40分ずっとたちっぱなしだった。 そして電車に乗り始めて10分後くらいだった。゛それに゛気付いたのは。 わたしのお尻に、サワサワと何か違和感があった。 ……これってもしかして。―――痴漢?? その予感は、的中した。 だけどこんな満員の電車の中で、声も出せる訳もなくて……。 できることならいっそのこと、今すぐその手を掴んで「この人、痴漢です!!」って口にしたい。 だけど、こんな状況で、口に出来る訳がない。 そう思った時だった。「ゔっ……!!??」「すみません‼この人、痴漢です‼」「……えっ??」 急にその手が離れて、違和感が無くなった。 振り返って後ろを見ると……。 痴漢していたおじさんの右手を掴んでいたのは、背の高いスラッと人だった。……わっ、イケメン。そして駅に着いた途端、彼はおじさんの手を掴んだまま電車から引きずりおろして、駅員さんに引き渡した。……た、助かった。 本当に怖かったし、声が出せないって辛いんだなと、改めて思ってしまった。  こういう時、ちゃんと言える人だったら、よかったのにって、思ってしまった。  わたしも急いで電車を降りて、助けてくれたあの人の所へと走った。「あっ、あの……‼」「ああ、大丈夫??」「は、はいっ‼あの……助けてくださって、ありがとうございます‼」「いや、別に」「本当に……なんてお礼をしたらいいか……‼」「気にしないで??何もなくてよかったよ」その人は、優しく微笑んでそう言った。「あ、あの……‼」「ん??」「本当に、何かお礼させてもらえませんか??」「本当に気にしなくていいから」「えっ、でも……‼」「……どうしてもお礼したいの??」「は、はいっ‼このままだと、わたしが申し訳ないので……!!」「そう??」「は、はいっ……‼その、迷惑でなければ、ですけど……」だってこんなイケメンな人に助けてもらって、お礼しないわけにはいかない。せめてお茶でもごちそうしたいくらいだ。こん
last updateLast Updated : 2025-01-25
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【大人な彼と一夜の関係】

「……あ、あのっ……」「ん??」「……ほ、本気、ですか??」「本気だよ?? だって、それが俺が望んだ゙お礼゙だからね??」「……で、すよね」なんでこうなっているんだろう……。お礼をしたいと言ったら、なぜかその日の夜、ラブホテルに来てしまっていた。彼が放った言葉は、わたしの身体でお礼をしろってことだった。まさかとは、思ったけど。やっぱり……。あの時は通学途中だったため、夜また駅で待ち合わせをしようと言われた。連絡先の書いた名刺を渡され、その番号に終わったら連絡してと言われて……。現在(いま)に至る。今いるのは、ラブホテルの一室。ちょっと高級そうなラブホテルで、少しゴージャスな感じの雰囲気だった。「……君、お酒は飲める??」「えっ!?お酒、ですか??」「うん。飲める??」「は、はい。飲め、ますけど……」「じゃあとりあえず、俺たちの出会いに乾杯しよう」「えっ??あっ、はい……」シャンパンの入ったグラスを渡され、お互いにグラスを合わせて乾杯した。「ん、美味しい……」このシャンパン、今まで飲んだ中で一番美味しい。口当たりが爽やかというか、飲みやすい……。「よかった。気に入ってくれた??」「は、はい……」なんていうか、ちょっと緊張する。こんなオシャレな部屋でシャンパンを飲むなんて、今までしたこともなかったし。大人な雰囲気に、なんとなく慣れなくて、ちょっと緊張する。「……大丈夫??」「へっ!?あっ、だ、大丈夫です……」なんかわたし、挙動不審!?「もしかして、緊張してる??」「……あ、はい。少しだけ」「大丈夫だよ。リラックスして??」「そんなこと、言われても……」こんな大人な方と一緒に過ごすなんて、初めてだから、緊張しちゃうよ……。「……そういうとこ、可愛いね??」「……えっ??」そして彼の大きな左手は、わたしの頬にそっと触れた。―――ドキッなぜだか分からないけど、すごくドキドキしてるのが自分でも分かる。こんなにもドキドキするなんて、初めてで……。思わず、顔を背けたくなる。優しく撫でられた頬が、真っ赤になるのがわかって、熱を持つのもわかる。……ど、どうしよう。なんかもう、目を反らせない……。「……そんなに可愛い顔されると、もう我慢出来ないんだけど??」「えっ……??」そう思った時には
last updateLast Updated : 2025-01-25
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【発覚した妊娠】

―――それは、それからしばらくした時のことだった。夏もそろそろ終わりを迎えて、季節が移り変わろうとしていた時のことだった。いつもより体調が優れなくて、頭痛や微熱などが続いた。ただの風邪かと思ったけど、季節の変わり目ということもあり、大学終わりに、念の為病院に行った。―――そしたらそこで、衝撃的なことを言われるのだった。「麻生実来さん、診察室へどうぞ」「はい」そして診察室へ入るなり、問診票を見て、先生が1言言った。「麻生さん、あなた……生理きてる??」「えっ?? 生理……??」そう言われると……。 あれ、しばらく生理……来てない。もともと不順な方ではあったから、また遅れているだけかと思っていた。「……いえ、そういえば、来てないです」「それはいつから??」「えっと……多分、この時くらいから、ですけど……」カレンダーを指差して、一言そう言った。「……ちょっとエコーをしても、いいかしら??」「えっ??エコー……??」「―――麻生さん、あなたもしかして、妊娠してるんじゃない??」「……えっ??」妊娠……??最初、何を言っているのか分からなかった。「……生理がしばらく止まってる。しかも妊娠の症状というのは、風邪に似ていることが多いから、風邪だと勘違いする人もけっこう多いのよ」「……わたしが、妊娠??」「その様子じゃ、身に覚え、あるのね??」「…………」わたしはその言葉に何も、言えなくなった。……あの日からは彼のことを忘れてたつもりだけど、心のどっかでは、忘れられてなかった。「……さ、調べてみましょう。ここに横になって??」「あ、はい……」言われたとおり、ベッドへと横になった。そしてお腹にジェルを塗り、先生はゆっくりとエコーを当てた。―――すると。「……ほら、見える??あなたの、お腹の子よ」「……本当だ」かすかだけど、お腹の中に見えた、小さな命。やっぱりわたし、妊娠していたんだ……。先生の言うとおりだった。「妊娠ニヶ月ってところかな」「……ニヶ月」わたしは、お腹に新しい命を宿していた。……あの日結ばれた、名前も知らない大人な彼との間に出来た子供。ふと、あの日の夜のことを思い出した。 初めて彼に抱かれたあの日からずっと、わたしは彼のことが忘れられなかった。「……おめでとうございます、お母さん」「…
last updateLast Updated : 2025-01-25
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【二度目の再会】

「おはよう実来‼」「おはよう、彩花(あやか)」「あれ??どうしたの??」「えっ??」「なんか、顔色悪くない??具合でも悪い??」 それから何日かして、大学で親友の彩花と一緒になった。  だけど、変化ってすぐに気が付くもので……。「だ、大丈夫‼ 何でもないよ‼」「……なんかあった、でしょ??」「な、なんで??」「実来のことは、なんでも分かちゃうよ」「……ま、参りました」「で、何があったの??」 わたしは観念して、昼休みに彩花に全てを話すことにした。 彩花は昼休み、黙ってわたしの話を聞いてくれた。そして一言、こう言った。「……実来はもう一度、その人に。お腹の子の父親に、会いたいんだね??」「……うん」 あれから何日も考えていたけど、やっぱり、わたしは彼のことが忘れられなかった……。―――もう、出会ったあの時からわたしは、彼に恋をしているんだとその時気付いた。 会いたい。もう一度、彼に会いたい。 だけど、会うのが怖い。 会って妊娠していると告げた時、彼がどんな反応をするのか想像しただけで、体がビクビクする。「実来??」   「……えっ??」「あたしは、ちゃんと話すべきだと思うよ??」「……でも、少し怖い」「それでも、逃げちゃダメだよ。これは……実来だけの問題じゃないんだよ?? 実来のこれからのためにも、ちゃんと話すべきだと思う」「……でも、わたし、どうすれば??」「素直に言うんだよ。自分の気持ちを」「……自分の、気持ち」そうだ。言わなきゃ……。だってわたしは、彼のことが好き。 彼にもう一度会って、ちゃんと今の気持ちを話したい。「……わたしもう一度、連絡してみる」「うん。頑張って。応援、してる」「ありがとう……」「大丈夫。妊娠のことは、誰にも言うつもりないから、安心して」「……ありがとう、彩花」 彩花が親友で本当によかった。 誰にも言うつもりなかったけど、彩花だけにはやっぱり話せる。……話してよかった。  その日わたしは、講義が午後までだったので、思いっきって彼に連絡してみることにした。 カバンの中から取り出す、あの時もらった彼の名刺……。スマホを取り出して、また番号を打つ。 そしてゆっくりと、発信ボタンを押した。プルルルル……プルルルル……。 何回かのコールの後、「はい」という声が聞こえた
last updateLast Updated : 2025-02-06
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【年の差恋愛のはじまり】

 その後、森嶋さんがお会計をしてくれた。 わたしも払うと言ったけど、奢らせてと言われてしまい、それ以上何も言えなくなった。  そして駅の近くにある公園で、ふたり腰掛けて座った。「……実来ちゃん」「はい……??」 わたしは森嶋さんの方へ振り返る。「俺との子、産んでくれないかな」「……えっ??」 それは、予想外の言葉だった。 産んでほしいと言われるとは、思ってなかった。 なんで、産んでほしいなんて……。「……勘違いしないでくれ。責任を取りたいから産んでほしいと言ってるんじゃない。 本気で、本気で、そう言ってるんだ」「……でも、わたし……」 わたしは怖くなって俯く。「聞いてくれ。 俺が今一番守りたいのは、実来ちゃん、君なんだ」 わたしは森嶋さんに「……それ、は赤ちゃんが出来たから、ですか??」と問いかける。「違う。そうじゃない」「……じゃあ、なんで……そんなこと……」 わたしは責任をとってほしいなんて思ってない。「―――君を好きなんだ」「……えっ??」「君のことが……実来ちゃんのことが好きなんだ。 本気でそう思ってる」 そんなの、ウソだよ。だって大人は、ウソを付く。「……でも大人の人は、すぐにそうやってからかいますよね?? そうやって甘い言葉で……んん……っ!?」 なのにわたしの言葉が遮られた。 でもそれを遮ったのは、言葉なんかじゃなくて、森嶋さんのその唇だった。「えっ……。森嶋、さん……??」「冗談なんかじゃない。本気で言ってる」 その瞳(め)が本気だと物語っていた。「……あ、あの、わたし……」 どうして、キスなんてするの……。どうして……。「俺は本気で、君のことを守りたいんだ。 君のお腹にいる子も、俺が守りたいんだ。……ダメか??」「……いや、あの……」 ダメかと言われても……。「君のお腹にいる子の父親は、俺なんだろ?? だったら、俺はお腹の子の父親として、君たちを守る権利がある」「それは、その……」 確かに、そうかもしれないけど……。「そうだろ?? それなのに実来ちゃん、君は何を躊躇っているんだ??」「何を……躊躇ってる??」「そうだ。俺はたしかに35だよ。君は20歳くらいだろうから、15も年の差があるけど」 わたしは何も言えなくなってしまう。「だけど年の差なんて関係ないだろ??年の差があ
last updateLast Updated : 2025-02-07
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【あの夜のあの子〜森嶋目線〜】

 あの日の夜、あのベッドで過ごしたあの子はどうしているだろうか。  何故かあの子のことばかり、気になって仕方なかった。 だってあの子を抱いた時、初めて愛おしいという気持ちになった。 あんなにも誰かを、心の底から抱いたのは初めてだった。  あんなにも情熱的に求めてくる彼女を、俺は何度もあのベッドの上で抱いてしまった。 だけど、ただひとつ失敗したのは……避妊をしなかったことだ。 そう、あまりにも欲望が出すぎてしまい、避妊していなかったのだ。 最初は避妊しようと思っていたのに彼女に触れた途端に、あまりにも欲望が深すぎてしまった。 本当にあれは、失敗だった……。  だけど彼女の温もりと体温が溶け合ううちに、それがもう心地よくなってしまって……。彼女がベッドの中で甘えた声を出しながら、俺との情事を受け入れていたから、俺も本気になってしまった。 彼女との情事は、本当に気持ち良くて俺も止められなかったのは事実だ。 ……いや、あれは本当にもう反省しかない。 そしてそれからしばらくして、彼女から久しぶりに連絡が来た。 その声ですぐに、彼女だと分かった。 麻生実来(あそうみくる)。彼女は電話越しに名前を教えてくれた。 実来(みくる)いい名前だ。 彼女にピッタリの名前だと思う。 でも彼女は、女子大生だ。年齢は多分二十歳くらい。 お酒を飲んでいたし、多分そうだろう。 俺は仕事に全うする三十五で、彼女は二十歳。……いや、どう見ても年の差がありすぎる。 下手したら、彼女に訴えられたりしないか……?? そんな考えまでも、頭の中をよぎっていた。 そんなことを考えていても、仕方ないと分かっている。 だけど彼女から大事な話があると言われた時、俺は確信した。 ああ……きっと、俺を訴ると言うんだろうなって思い不安に狩られた。……だけど違った。 彼女と食事をしていた時、彼女から母子手帳を見せられ、俺の子を妊娠していると告げられた。 明らかに俺との間に出来た子だと分かって、驚いた。 でもなんとなく、そういうことがあってもおかしくないと思った。 だってあの日の夜、彼女を抱いた事実は確かにあったから。……だけどまさか、それがそんな形で返ってくるとは思わなかった。 彼女は、俺の子を妊娠している……。母子手帳を見せられたから、間違いないだろう。 彼女は俺の子を、身篭って
last updateLast Updated : 2025-02-08
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