それからしばらくが経ち、わたしは無事に安定期に入った。「お母さん、検診、行ってくるね」「今日は森嶋さんが着いてきてくれるんだっけ?」「うん。京介さんと検診は、初めてだからちょっと、緊張するけど……」「大丈夫よ。行ってらっしゃい」「うん。行ってきます」 検診に行く日、京介さんが迎えに来てくれた。 平日だったから、京介さんもお仕事があるから、ムリをしなくても大丈夫だと言ったのだけど。 午前中に半休を取るから大丈夫だと言ってくれて、着いてきてくれる。 本当に優しくて、思いやりがある京介さん。「実来」「京介さん」「遅くなってすまない。乗って」「はい。よろしくお願いします」 京介さんの運転で、そのまま病院へと向かった。「なんか俺、初めての検診だから、ちょっと緊張するな」「それはわたしもですよ? 毎回毎回、検診に行くたびにとても緊張します。赤ちゃんに何かあったらどうしようって、いつも思いますし」「そうだよな。母親は大変だな。何もしてやれないのが申し訳無いくらいだよ」「そんなことありません。そばにいてくれるだけで、わたしは十分ですから」「ありがとう。……そうだ、実来」「はい。何でしょうか?」「今度実来を、俺の両親にも紹介したいんだ。あと兄貴と妹にも」「えっ? 紹介、してくださるんですか?」「当たり前だろ。実来は俺の婚約者なんだから」 婚約者……。なんか嬉しい響きだ。「ありがとうございます。嬉しいです」「俺の両親も、実来に会いたがってるし」「嬉しいです。 でもわたし、大丈夫ですかね……」 なんだか心配になってしまう。「なにがだ?」「わたしみたいな彼女というか……。わたしみたいなのが婚約者として、認めていただけるのかどうか、不安です」「大丈夫だよ。きっと認めてくれるはずさ。 心配するな」「はい……」 京介さんはそう言ってくれるけど、だけど不安になる。 だってわたしはまだ20歳で、彼の両親からしたら、わたしなんてまだ子供だ。 こんなわたしを婚約者として認めてくれるのかどうか、不安になるのは当たり前かもしれない。「実来、ここを左に曲がるんだっけ?」「そうです」 ウィンカーを出して左に曲がる京介さん。 その横顔はとてもハンサムでカッコよくて、わたしにとっては現実だと思えないくらい夢心地のような出来事なのだ。 駐
Last Updated : 2025-03-14 Read more