Share

【俺の大切な人〜森嶋目線〜】

Aвтор: 水沼早紀
last update Последнее обновление: 2025-03-14 21:42:22

「課長、こちらチェックお願いします」

 部下から確認してほしい書類のチェックをお願いされたら、今度は「課長、すいません。こっちもお願いします!」とまた別の部下からひっきりなしに呼ばれていく。

「ちょっと待て。順番に行く。 書類ならそこに置いておいてくれ」

「はい」

 俺は仕事上、課長という立場にいる。部下を束ねる課長というのは、本当に難しい役職だ。

 俺が今の会社に入社したのはちょうど20歳くらいの時だ。 ちょうど実来と同じ年齢の時だった。

 最初は右も左も分からない俺に色々と教えてくれたのは、当時課長だった俺の上司だ。

 その課長という役職を、30歳を過ぎてから俺が担うことになり、今に至る。課長になって早五年、俺は何時の間にか35歳になった。

 課長という立場になって分かったのは、人を束ねるって、チームをまとめるって、とても大変なことだっていうことだ。

 でも今は、俺は実来という大切な人が出来て、守りたいものが出来た。 いや、守らないといけない人が二人も出来てしまった。

 だから俺は、どんなことがあっても二人のために頑張っていかないとならない。 実来とお腹の子を生涯守ると誓ったのだから、死ぬ気で頑張るしかない。

「課長、この後の会議なんですが……。先方の都合で明日に変更してほしいそうです」

「そうか、分かった。報告してくれてありがとう。変更の件、先方に連絡しておいてくれ」

「はい。分かりました。では失礼致します」

 この歳になって守りたいものが出来たとはいえ、なかなかうまく行かないことのほうが多い。

 実来に会いたいと思う気持ちもあるのに、仕事が忙しくて会うことも出来ない。俺が時間を作らないとならないのに、それが出来ない、

 実来に寂しい思いをさせているのはわかっているし、本当に申し訳ないと思ってる。

 だけど実来は、そんなことを口にはしない。 本当は、寂しいと思ってるに違いない。……きっと実来に我慢させてるのだろうな、俺は。

「課長、お茶どうぞ」

「ああ、ありがとう」

 お茶を淹れてくれた部下は、俺のことを気にしているのか「大丈夫ですか? 課長、何かあったんですか?」と聞いてくれる。

「……いや、別になんでもない」

 しかし、そんなことを気にかけているのは嬉しいけど、今は仕事に集中しないと……。

「そうですか?……そういえば、課長は今お付き合いされてる人がいる
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Заблокированная глава

Related chapter

  • エリートな彼と年の差恋愛婚〜恋した彼は15歳年上の旦那様です〜   【ご両親との対面】

    「おい!実来、こっちだ」「京介さん!すみません、お待たせしてしまって」 慌てて京介さんの元へと走った。「実来、危ないから走らなくてもいい。転んだら危ないだろ?」「す、すみません。遅れてしまったので……」「気にするな。時間までは後五分もあるし、急ぐ必要はないよ」「ありがとうございます、京介さん」 わたしは京介さんに微笑む。「ああ、それより今日は、こんな場所で申し訳ない」「いえ。大丈夫です」 今日は京介さんのご両親に合う日だ。 とても緊張してしまい、今から心臓がバクバクだ。 服を選ぶのに手間どってしまって、家を出るのが少し遅くなってしまった。  「実来、緊張してるのか?」「そりゃそうですよ……!」 こんな大事な日に緊張しない訳がない。「そんなに緊張することはないよ。うちの両親は結構フレンドリーだから、話しやすいと思うよ」「ええ?そんなこと言われても……。緊張してしまいますよ。会うの初めてですし」「そっか、大丈夫だよ。 さ、行こうか」「は、はい」「それより、ブーツなんて履いてきて大丈夫なのか? 妊娠中なんだから、ブーツじゃなくてもよかったのに」「いえ。でもせっかくご両親に会うので……。少しでもキレイに見せたくて」「何言ってる。そんなことをしなくても、実来は充分キレイだよ」「そ、そうですか? ありがとうございます……」 京介さんがかけてくれる言葉は全部が優しくて、本当に心に刺さる。 京介さんだからこそ、本当に嬉しく思うんだ。 ありがとう、京介さん。「さ、実来、ドアを開けるよ」「は、はいっ」 待ち合わせ時間の十五時ちょうど。 ドアの向こうで待っている京介さんのご両親と、ついに対面する時がきた。 京介さんはドアをノックしてから、静かにドアを開けた。「父さん、母さん、入るよ」「どうぞ〜」「し、失礼します……」 やばい。緊張が止まらない……。どうしよう……。「京介、待ってたわよ〜」「母さん、紹介するよ。 今交際してる彼女だ」「は、初めまして。麻生実来と申します! よ、よ、よろしくお願いしますっ……!」 やだ〜噛んじゃった……! は、恥ずかしい!「あなたが実来さんね? 初めまして。京介の母の小百合(さゆり)です。よろしくお願いしますね」「こ、こちらこそ……よろしくお願い致します!」 お母様はわたしを「京

    Последнее обновление : 2025-03-15
  • エリートな彼と年の差恋愛婚〜恋した彼は15歳年上の旦那様です〜   【幸せな夜】

     その日の夜、わたしは京介さんの部屋にいた。京介さんの部屋に遊びにこないかと言われて、二つ返事をした。「お、お邪魔、します……」「どうぞ、入って」 ブーツを脱ぎ、恐る恐る部屋の中へと入った。 京介さんの部屋の中はとても整理整頓されて、本当にキレイな状態だった。 何よりも、必要な物以外は何もなかったので、スッキリして見えた。「適当に座ってて。今ルイボスティー淹れるよ」「は、はい。ありがとうございます」「ルイボスティーはカフェインが入ってないみたいだから、妊婦さんにいいと友人から聞いたんだ」「そうだったんですね」 京介さん、ちゃんと調べてくれてるんだ。 嬉しいな、本当に。 ありがとう、京介さん。「はい。お待たせ実来」「ありがとうございます。あっつ……」「熱いから気をつけて」「はい。すみません」 まだ湯気が出ていて熱いルイボスティーを、フーフーしながら飲んだ。「ん、美味しいです」「そう。良かった」「なんか、少し心が落ち着きました」 ルイボスティーを飲んで少し心が落ち着いたのか、ちょっとだけ気持ちが楽になった気がした。「良かった。かなり緊張してるみたいだったから、少し楽になればいいなと思ってさ」「ありがとうございます。なんだか、気を遣わせてしまってすみません」「いいんだよ。気にしないで」「京介さんがいると、本当に安心感があって。……なんだかこのまま、京介さんとずっと一緒にいたい気分です」 そう話した時、京介さんは「俺もだよ、実来。俺も実来と、同じ気持ちだよ」と言ってくれた。「……はい」 京介さんはわたしの隣に来ると、優しく頬をなでて、その後髪の毛を撫でてくれた。「……愛してるよ、実来」 そのまま、キスをしてくれた。 それは、触れるだけの優しいキスだった。「……実来、今日はこのまま一緒にいないか、朝まで」「……え?」「今日は実来と、このまま一緒に朝まで過ごしたいんだ。……実来が、イヤでなければ」 わたしはそう言われてすぐに「イヤな訳がないです。イヤなんかじゃないです。……わたしも、京介さんと一緒に朝まで過ごしたいです」と伝えた。「嬉しいよ」 今度は啄むように何度もキスをくれた。 京介さんがしてくれるキスは本当に優しいのに、時々激しくて、息が出来なくなりそうだった。 わたしは、キスをしながらそのままソファに押

    Последнее обновление : 2025-03-15
  • エリートな彼と年の差恋愛婚〜恋した彼は15歳年上の旦那様です〜   【幸せな夜〜森嶋目線〜】

    「実来……」「んっ、やっ……京介さん……」 実来の首筋に、ふっくらとした胸に静かにキスを落としていく。 実来に触れるたびに、感じているのに声を抑えようとする実来のその姿に、俺はますます理性が抑えられなくなりそうだった。 あの日の夜、実来を抱いた時と同じように、理性が狂いそうになっていた。 あの日の夜を思い出してしまいそうになる。「あっ……やぁ……っ……」「声、抑えないでもっと聞かせて。俺だけの実来なんだから」「京介さんっ……」 顔が真っ赤になっている実来を見て、もう限界だと思った。「……実来、早く実来が欲しい」 俺の理性が持ちそうにないとわかって、急かしてしまう。「京介さん……わたしも、京介さんが、欲しい……です」「じゃあ遠慮なく、実来の中に入るよ」 避妊具を身に纏った俺は、実来のその言葉を合図に、実来の中にゆっくりと入っていく。「んんっ……あっ」 実来の中に静かに入ると、実来は恥ずかしそうに俺の背中に手を回してきた。 その行動はもう、俺の理性を軽く飛ばしていく。「可愛い……実来。俺だけの実来……」「……ん、京介さ……っ」 実来の唇を啄むように奪っていくたびに実来から漏れる色っぽい声に、俺はさらに理性を抑えられそうになかった。「ずっとこうしたかった……実来……」 ようやくまた、実来と深く繋がることが出来た。 少し膨らんできた実来のお腹を見て、本当に子供がいるんだと実感した。 だけど俺は、あの日の以来ずっと、実来のことをずっと女として抱きたかった。酔った勢いでのセックスじゃなくて、実来との愛を確かめるために抱きたかった。「なるべく優しくするからな」 またこうして実来を抱ける日が来るのを、俺はどこかで待ち望んでいたんだ。「ダメ……お腹、出てます……から……。今、ぽっちゃりに、なってますからっ……」 そんな潤んだ俺を見つめる実来に、俺の理性はさらに飛びそうになる。  可愛すぎて、もう二度と離したくない。「大丈夫だよ。気にならないから。 実来は本当にキレイだよ」 実来をこうして腕の中でやっと抱けるというのに、こんなにも嬉しいことはない。「んんっ……京介さんっ」 実来のその潤んだ瞳(ひとみ)で見つめる俺を見て、さらに俺の理性は限界を超えそうだった。  実来の中を優しくゆっくりと深く動いていくと、実来は「京介さん

    Последнее обновление : 2025-03-15
  • エリートな彼と年の差恋愛婚〜恋した彼は15歳年上の旦那様です〜   【新居探し】

    「……実来、新居を探さないか?」「え、新居……ですか?」 妊娠して7ヶ月に入った所で、京介さんから新居へ引っ越そうという提案があった。「ああ。俺たちが住む新居だよ。見ての通り、この家では結構狭いし。 子供が産まれるんだから、そうなると大きくなった時のために、子供部屋なども必要だろ? だから今よりも、もっと大きな部屋に引っ越そう」「……はい。そうですね」 そう言われると、わたしの部屋も狭いし子供のことを考えると、もっと立地のいい所へ越したほうが子供のためにもいいかもしれない。 産まれてくる子には、のびのびとすくすくと育ってほしいから。 引っ越そうという提案には、わたしも賛成だ。「……よし、今度、新居を探しに行こう」「はい」 新居探しか……。いよいよな感じがしてドキドキする。「俺も土日なら休みだし。今度の土日に、新居でも探しに行こうか」「はい」 七ヶ月にもなってくると前よりもだんだんとお腹が大きくなってきて、動くのが大変なくらいになってきた。 立ち上がるだけでも大変になってきて、前よりも動きにくいと感じた。「どうせなら、駅の近くにあるタワーマンションでもいいかとは思ってるんだけどね。あそこなら立地もいいし、駅から家まで徒歩圏内だし」「えっ、タワーマンション!?」 いや、タワーマンションなんて無理だよお……! 絶対に高いっ!「しかも部屋も結構広いだろうから、子供も健やかに育てられそうだしね」「えっ、でも……タワーマンションって家賃が結構高いですよね……?」「なに、お金の心配ならしなくてもいい。貯金ならたくさんあるし。……まあ、まだそこにするかは見てから決めるけどね」「そ、そうですね」 大学生であるわたしには、タワーマンションの家賃なんて到底、払えるわけがない。それにまだ大学の学費も残っているし。 お母さんに払ってもらっている身分だから、どうしようって感じ。 大学は結局、お母さんと話をして時期を見て辞めることにした。 復帰したいと思うし、また通いたい気持ちもあったけれど。 子供を抱えたまま大学に行くっていうのは、なかなか難しいと思うから。 しかも妊娠中とはいえ、わたしはまだ社会人でもない。 ただの学生で、しかもまだ籍を入れてないから未婚のままで。 この先どうやって生きていくかなんて、考えられない。 京介さんがもし隣にいなかっ

    Последнее обновление : 2025-03-16
  • エリートな彼と年の差恋愛婚〜恋した彼は15歳年上の旦那様です〜   【たった一つの特別な太陽】

    「実来?」「はい?」「大丈夫か? 寒くないか?」「はい。大丈夫です」   「そうか。ついでだし、カフェで温かい物でも、飲んで帰ろうか」「はい」 物件が決まった後は、少しカフェでお茶をした。  わたしは身体を冷やさないように、温かい黒豆茶にした。 黒豆の香りと風味が口いっぱいに広がって、とてもおいしかった。 京介さんは温かいホットコーヒーを飲んでいた。「な、実来」「はい?なんですか?」「こうやって新居も決まったことだし。……そろそろ、結婚しないか」「……え?」 突然の話だった。 だけどわたしは、見つめられたその京介さんの目から、目を逸らすことが出来なかった。 答えに迷っていると、京介さんは「いや、しないか……じゃないな。俺と結婚しよう」と言った。 それは京介さんからもらったちゃんとした【プロポーズ】だった。「……はい。わたしも京介さんと、あなたと、結婚したいです。 これから先の人生、京介さんと共に生きていきたいです。……わたしはあなたと、家族になりたいです。ぜひわたしを家族にしてください」 わたしの気持ちなんて変わる訳がない。 ずっとこうして京介さんとの時間を過ごしてきたのに、しない訳がないよ。「ああ、共に生きていこう。家族になろう」「……はい」 京介さんが握ってくれた手はとても温かくて、優しくて。そして安らぎがあった。 この手を取って、わたしは生きていきたい。 一人ではムリかもしれないけど……だけどね、二人でなら、必ずどんな試練も乗り越えて行けると信じてるんだ。 京介さんがわたしを信じてくれているように、わたしも京介さんのことを信じていきたい。 家族になりたい。本気でそう思える、たった一人の人だから。 そんな最高な人に、わたしは出会ったんだから。「……お茶、冷めちゃったかな。新しいの頼もうか」「いえ、大丈夫です。ちょうどいいですから」「そうか?」「はい」 こうやっていろんな所まで気を遣ってくれるのが、京介さんの優しい所で、わたしが大好きな所でもある。 35歳だからそれなりに大人かもしれないけど、わたしにはそれすら、最近は心地よく感じる。 わたしたちだからこそ、二人だからこそ、作れる関係なんだと思う。「京介さん、ごちそうさまでした」 「気にしないで」 お茶を飲んだ後、カフェの近くにあった公園を二人で手を繋

    Последнее обновление : 2025-03-16
  • エリートな彼と年の差恋愛婚〜恋した彼は15歳年上の旦那様です〜   【愛おしい存在】

     そして新居が見つかってから早一週間が経過した。今日は月に一度の検診の日だ。 そして京介さんは今日も、検診に一緒に着いてきてくれる。 お仕事があるからいいと言ったのに、心配だからと言って、聞いてくれはくれずまた午前中に半休を取ってくれた。 7ヶ月も経つとさすがに動きにくくなり、重い体がさらに重く感じて、なんだか歩きにくいと感じてきた。「お母さん、検診、行ってきます」「そう。気を付けるのよ」「うん。行ってきます」 京介さんは時間通りに迎えに来てくれた。「実来、お待たせ」「いえ。よろしくお願いします」「さ、乗って。出掛けよう」「はい」 京介さんの運転する車に乗り込み、病院へと車を走らせた。その間、わたしはずっとお腹に手を当てていた。「……実来、大丈夫か?」「え……?」「いや、ずっとお腹に手を置いてるから」 やだ、心配させちゃったかな……。「あっ……その、赤ちゃんがちゃんと動いてるから、嬉しくて……」「……そっか。ちゃんと元気に成長してるみたいで、良かったよ」「はい。……早く会いたいです。わたしたちの子に」「そうだな」 こうして動いているのを実感すると、わたしも母親なんだと感じる。「はい。……赤ちゃんが産まれるって、とても偉大なことなんだなって、本当に思います」「そうだな。早く会いたいな」「はい」 この子に会える日を、とても楽しみにしているのはわたしだけじゃなかった。京介さんも、とても楽しみにしてくれている。 そのことがとても嬉しくて、もう本当に微笑みが止まらなかった。……今日の検診、楽しみだな。 病院に着くと受付を済ませ、名前を呼ばれるのを待った。  「……実来、お腹触ってもいいか?」「はい」 服の上から、わたしの大きくなったお腹に優しく手を当てた。「……本当に、動いてるな」「はい。だって赤ちゃんが、いますからね」「そうだったな」「はい」   その時看護師さんから「麻生実来さーん。一番の診察室へどうぞ」と声をかけられた。「はい。……京介さんも、一緒に行きましょう?」「え……俺も?」「はい。よかったら、一緒に赤ちゃんの顔を見ましょう」 わたしがそう話すと、京介さんは緊張しながら「……じゃあ、行こうかな」と言葉を口にした。「はい」 京介さんも一緒に、診察室へ入った。「麻生さん、元気だった?……

    Последнее обновление : 2025-03-16
  • エリートな彼と年の差恋愛婚〜恋した彼は15歳年上の旦那様です〜   【俺はこの手を決して離さない〜森嶋目線〜】

    「課長、これチェックお願いします」「ああ。後でチェックするから、そこに置いといてくれ」「はい。分かりました」「課長、外線一番、風倉(かざくら)様からです。お願いします」  「わかった。……お電話代わりました。森嶋です」 俺は忙しない中、取引き先との電話対応に追われていた。「そうですか、ありがとうございます。 ぜひこちらこそ、よろしくお願いします」 良かった、契約成立だ。 粘った甲斐があった。「はい。では、失礼致します」「失礼致します」 俺は電話を切った。「課長、こちら明日の会議の打ち合わせ内容です。確認をお願い出来ますか?」「わかった。そこに置いといてくれ。 後で確認するよ」「お願いします」 次から次へと仕事が増えてきてもうてんやわんやしてしまう日々が続くが、実来という存在のおかげで今の俺はバリバリ働けている気がする。「課長、彼女さん、今妊娠七ヶ月なんでしたっけ?」 昼休み、部下から何気なくそう聞かれたので、俺は「ああ、そうだよ。間もなく八ヶ月になるかな」と答えた。「え、もうそんなになるんですね〜」「ああ。本当にあっという間だよ」 実来の妊娠がわかってから、本当にあっという間すぎた。 初めて出会ってから間もなく一年くらいになるけど、もう一年という気がするし、まだ一年という気もする。 一日一日時間が過ぎていくのが本当に早くて、一秒でも早く実来に会いたいと思ってしまう。「そういえば新居にはまだ引っ越してないんですか?」「まだだよ。入居が三月からなんだよ」「え、そうなんですか?」 俺も早く新居に入りたいが、もう少し先の話になりそうだ。そもそも、まだ内見も出来ていないしな。「ああ、何せ新築だからな。しかもマンションだ」「えっ、新築でマンションですか!?」「ああ。しかも駅近でショッピングモールに隣接だし、実来も行きやすくていいかなって思ってな。駅降りたらもうショッピングモールになってるらしい」「ええー。それはすごいですね」 俺たちの新居である前に、家族三人で住む家だ。防犯対策もしっかりとしていかないと、子供も不安になるだろうし。やはりあのマンションで正解だ。 車も自転車もいらない最高立地のエリアだ。「防犯面もしっかりしてるし、スーパーも近いから何かと便利なところだよ」「へえ……。でもマンションって、家賃高くないで

    Последнее обновление : 2025-03-17
  • エリートな彼と年の差恋愛婚〜恋した彼は15歳年上の旦那様です〜   【イルミネーションデート】

     そして迎えた土曜日。今日は京介さんと一緒にイルミネーションを見に行く日だ。  冬を迎え、冬らしく寒さが厳しくなってきた頃に始まったイルミネーションだった。 妊娠八ヶ月のわたしは、大きなお腹になってきて、洋服のサイズが変わり、マタニティ用の洋服になった。  たた寒さが厳しい中で出かけるので、温かいインナーにセーターを何枚も重ね着して、寒さ対策をした。 大きなお腹を抱えて歩くのはなかなか大変で、だけどそんな中でも妊婦生活をなんとか楽しみたい。  出掛けられる限り、思い出を作りたくて、時間が合えば京介さんと共に出掛けている。 京介さんはわたしのことをとても心配してくれているし、お腹を冷やさないようにといつも車の中では少し大きめのひざ掛けをかけてくれる。「……あ、動いてる」 出掛けようと立ち上がった時、赤ちゃんが激しく動くのが分かった。「うふふ」 動いているのがとても嬉しくて、きっと赤ちゃんも、出掛けるのが楽しみなんだと思う。 だって赤ちゃん、きっと今お腹の中で楽しいことがあるってわかってるのかも? そう思うわたしって、もしかして親バカ……? でも自分たちの子供は可愛いに決まってる。「実来、お待たせ」「京介さん、お待ちしてました。今日も、とても寒いですね」「さ、寒いだろ。乗って」「よろしくお願いします。……あ、温かいです」「温めておいたよ。実来のために」「ありがとうございます。嬉しいです」「さ、行こうか。イルミネーションスポットへ」「はい」 車に乗り込み、イルミネーションデートへと出かけた。「寒くないか?寒ければ言ってくれ。暖房強くするよ」「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」「お腹の子が冷えたら大変だ。ちゃんと毛布、かけないとダメだぞ?」「はい。すみません」「赤ちゃん、動いてるか?!」「はい。元気いっぱいです」 「そっか。早く産まれてほしいな」「はい。わたしもそう思います」「イルミネーション、楽しみだな。二人で見るのは、初めてだもんな」「はい。とても楽しみです。連れて行ってくれて、ありがとうございます」「お礼なんていい。俺も実来と一緒にイルミネーション見れて、本当に嬉しいよ」 車を走らせてから約40分ほどで、目的地のイルミネーションスポットについた。「車、結構いっぱいですね……止めるところ、あり

    Последнее обновление : 2025-03-17

Latest chapter

  • エリートな彼と年の差恋愛婚〜恋した彼は15歳年上の旦那様です〜   【番外編②〜森嶋家の日常】

    「木葉ー、準備出来た?」「うん! まま、できたっ!」「よし、じゃあ保育園行こっか」 木葉が産まれてから、早くも三年が経った。あんなに小さかった木葉も、今でも言葉も話せるようになり、日々子供の成長というのを実感している。 木葉も保育園ではお友達も出来たみたいで、今は保育園に行くのが楽しいみたいだ。 毎日保育園に行くことをとても楽しみにしている。  母としてはそれはとても嬉しいことで、木葉にお友達が出来ることもそうだし、毎日少しずつ出来ることが増えていくことも親としてはやっぱり嬉しい。 京介とも日々そんな話をしているのだけど、京介は木葉のことが本当に好きみたいで、毎日仕事から帰ると木葉の元へ歩み寄っている。「出発進行!」「おー!」 木葉を自転車の後ろに乗せ、保育園まで送り届けている私の毎日の日課は、ここから始まる。 京介のが家を出るのが早いので、私は毎日木葉を保育園まで送ってから家のことをやっている。「よしよし、起きしちゃったか〜」 木葉が産まれてから一年後には、第二子である女の子を出産し【うらら】と名づけた。 ひらがなでうららが可愛いなって言うのと、産まれたのが春ということもあり、うららと名づけたのだけど、木葉もうららのことに興味があるみたいだ。  ちゃんとお兄ちゃんをしてくれるか心配ではあるけど、きっと木葉なら大丈夫だろうと思う。 京介も家族が増えることを喜んでくれていたので、うららが産まれた時も泣いて喜んでくれた。「うらら、ミルク飲もうか」 うららにミルクを飲ませるためにソファに座る。「飲んでる飲んでる」 うららがミルクを飲んでる姿もとても可愛くて、ついうっとりしてしまう。「うらら、もうお腹いっぱいかな?」 ミルクを飲み終えたうららの背中を優しく叩きゲップを出す。「よく出来ましたね、うらら」 二人目は女の子なのが何よりわたしは嬉しい。 うららが産まれてからは、我が家はもっと楽しくなったし、もっと素

  • エリートな彼と年の差恋愛婚〜恋した彼は15歳年上の旦那様です〜   【番外編①〜森嶋家のその後〜】

    ✱ ✱ ✱「京介、ご飯出来たよ」   「ああ、ありがとう実来」「うん。温かいうちに、食べよう」「ああ、そうだな」「「いただきます」」 新しい新居に住み始めてから、およそ半年が経ったけど、わたしたちは仲良く子育てにバタバタしながら過ごしている。 わたしたちの子供は二人で名前を決めて、【木葉(このは)】と命名した。  植物の生命力のように力強く成長してほしいと願って、木葉と名付けた。  木葉はとても元気で、よく笑う子で、笑った顔がとても可愛い子だ。 自分たちの子がこんなにも可愛くて愛おしいだなんて、産まれてからもっと気づいた。  木葉はパパが大好きで、結構京介に懐いてる感じがする。 本当に可愛くて、愛おしい木葉。 二人で木葉を育てていくのってとても大変だし、分からないことばかりで戸惑うことばかりだ。  それでも毎日が幸せで、わたしも京介も、毎日笑顔が耐えない。   木葉を見ているだけで癒やされて、そして木葉と一緒にパパとママとして成長している。  それってわたしたちにとって、とても特別なことであり、かけがえのないものであることに間違いはない。「木葉にも、ミルクあげないとね」「そうだな。俺がやろうか?」「ううん、大丈夫。わたしがやるから」「そうか? じゃあ俺は食器を洗うよ」 京介はわたしが木葉に付きっきりになっていると、食器洗いやお風呂掃除などを率先してやってくれるから、わたしも助かっている。「ありがとう、京介。助かる」「気にしなくていいって」 木葉にミルクをあげながら「京介って、明日も朝早いんだよね?」と問いかけると、京介は「ああ。明日は朝一で会議がある」と答える。「分かった。 じゃあ明日はお弁当、用意しておくね」「ああ、ありがとう」「卵焼きは、いつもの甘くないヤツでいいよね?」「ああ」 京介と一緒に住み始めてから、京介のために毎日お弁当を作るようになったわたし。  愛妻弁当という訳ではないけど、京介は仕事大変で毎日遅くまで頑張ってくれているから、栄養のバランスを考えて作るようにしている。 卵焼きはいつも甘くないヤツで、お出汁を使った出汁巻き卵にしている。  甘いのがあまり好きじゃないみたいだから、飽きないように工夫をしているつもりではあるけれど、それでも毎日美味しいって食べてくれるから、

  • エリートな彼と年の差恋愛婚〜恋した彼は15歳年上の旦那様です〜   【あなたと出会えて良かった】

     京介の言葉を借りるなら、わたしも京介の喜ぶ顔がもっと見たいし、京介のいろんな顔をこれからも見たいと思ってる。「これからもどうぞ、よろしくな。 父親として未塾な俺だけど、子育て一緒に頑張ろうな」「うん。こちらこそ、よろしくね」 京介とこうして過ごす日々は、これからもっと愛おしくなる。そんな日々を毎日、きっと宝物になる。「俺、実来に頼りっぱなしになってしまうかもしれないけど、俺に出来ることがあれば何でも言ってくれ」「うん、ありがとう」「俺は実来のことをずっと支えていきたいし、ずっとそばで守っていきたい。もちろん、子供のことも守っていくよ。……俺たちは、三人で家族だからな」 そう、わたしたちは家族だ。 これから家族として、みんなで明るい未来を作っていくと約束したんだ。   京介、これからもわたしはあなたの妻でいたい。妻として、母親として、しっかり頑張るからね。「わたしも京介のそばで、ずっと支えていきたいと思ってるよ。……この子と三人で、幸せな家族になろうね」「……ああ」 こうしてわたしたちの、新たな家族としての生活がスタートした。 夫婦であり、子供の親でもあるわたしたちだけど。今日からはこの新しい新居で、新しい場所で、家族として生活していくんだ。 どんな困難なことでも、どんなに大変なことでも、夫婦二人なら乗り越えていけそうな気がした。 わたしたちは数ある人たちの中から出会って、結婚して、子供が出来て……。この特別な出会いに、本当に感謝している。 この出会いがまさにほんの一瞬だったとしても、出会うべくして出会った二人なんじゃないかって、勝手に思っている。 京介も同じ気持ちなら、嬉しいな。 わたし、毎日が本当に幸せで、今が一番幸せでよかったと思ってる。 その気持ちはこれからだって変わらないし、変わることなんてない。 京介とだから、こんなにも幸せなんだと思っている。「……ねえ、京介」「ん?」「わたしと出会ってくれて、ありがとう。わたしと結婚してくれて、ありがとう。 わたしを愛してくれて、ありがとう。 わたしと家族になってくれて、ありがとう」「……実来」「京介と出会って、わたしはいつも楽しいことばかりだよ。……これからもきっと、楽しいの予感しかしないよ」「……本当だな。 家族が一人増えたし、楽しいことたくさんしていこう。思い出を作

  • エリートな彼と年の差恋愛婚〜恋した彼は15歳年上の旦那様です〜   【新しい家族のスタート】

    「先生、ありがとうございました」「何かあったら、また来てくださいね」 「はい。ありがとうございます」「では、お大事に」「お世話になりました」  出産を終えてから数日後、わたしと赤ちゃんは無事に退院することが出来た。 赤ちゃんも健康で何事もなかったから、本当によかった。「さ、帰ろうか。新しい我が家へ」「うん。帰ろう。新しい我が家へ」 赤ちゃんと一緒に後ろのシート乗り込むと、京介の運転で新しい新居へと帰った。 楽しみだな、新しい新居での暮らしがこれから始まっていく。 赤ちゃんが産まれて、これから新しい生活が始まるんだな……。ワクワクもするし、ドキドキもするし、でも不安もあるけれど。 だからこそ、この一瞬の瞬間や時間を、家族三人で共有していきたいと思う。 子供を初めてチャイルドシートに乗せた時、なんだかとても緊張してドキドキした。 産まれて間もない子供だけれど、わたしたちの大切な宝物だ。 大切な大切な、家族と言う名の存在。 これからしっかりと、この子を自分たちの手で育てていきたい。 こうして産まれてきてくれた、わたしたちの宝物に感謝したい。「さ、出発しようか」「うん。お願いします、パパ」「パパか。……そうだよな、俺はパパなんだよな」「うん。そうだよパパ」 子供にとって、父親は京介一人だけだ。 わたしにとって京介は旦那さんで、そして大切な家族だ。 とても愛おしい存在なんだ。「なんかまだ、パパって呼ばれるの慣れないな」「そのうち慣れるよ」 これからの三人での生活は、きっとドタバタ続きで大変だろうけど、なんとか頑張っていこう。 新米ママと、新米パパとしてね。 赤ちゃんにとって、わたしたちは親なのだから。 そして車を走らせること四五分ほどで、わたしたちの新しい新居に到着した。 わたしはしばらく入院していたこともあり、実際の中はまだ写真などでしか見ていなかったから、どんな風になっているのか、とても楽しみだった。 ここで暮らせるなんて、なんだかまだ夢のようだけど……。 チャイルドシートから子供を降ろして、抱っこして家の中へと向かう。 階段もあるけど、エレベーターで行けるのでスイスイだ。 しかも子供がいる家庭にとっては、こういうのは便利すぎてすごい。 良く出来てるなって感じがする。 さすが新築マンションだな。 セキュリ

  • エリートな彼と年の差恋愛婚〜恋した彼は15歳年上の旦那様です〜   【ママとパパになった瞬間の喜び】

     もうダメ……。本当に痛くて、子宮が取れそうな感覚になってしまう。 なぜか一緒に涙も出てきてしまったし。「森嶋さーん、赤ちゃんの頭がまだ出てきてないから、指示出したらその通りにやってみてくれるかな」「は、はいっ……」 赤ちゃんの頭もまだ出て来てないの!? こんなに痛いのに……。わたし、こんな弱気で頑張れるのかな……。「森嶋さん、息を吸ってから吐いてみてくれる?」「は、はいっ」 言われた通りに、息を吸って吐いてを何回かやってみた。「OK、いいよ。 森嶋さん、次いきんでくから息を吐きながらいきんでみてくれるかな」「えっ、はっ、いたたっ……!」 いたたたた……! やばい、めちゃめちゃ痛いっ! 言われた通りにいきんでくと、力が入るからかなり子宮が圧迫されたような感じがして、とても痛かった。 もはやこれは我慢できないほどの痛みだった。 ああ、早く赤ちゃん出てきて……。痛みに一生懸命耐えながら、そんなことばかりを考えていた。「森嶋さん、もう一回いきんでー!」「はいいいっ……!」 思いっきり力を振り絞りながら、いきんでいく。「ふんんんっ……!!」 やばい、痛いし身体が限界を迎えそうだ。 おでこや身体全体に汗をたくさんかきながら、本当に必死だった。 途中からはもう、何だかもうよく分からなくて、ただただ赤ちゃんが出てきてくれることだけを祈っていた。「森嶋さん、まだいきまないでね〜」 「っ……はあ、はあ……っ」 もう苦しい……。無理かも……。「森嶋さん、赤ちゃんの頭が見えてきたよー! はーい、もう一回いきんでみて!」「ふんんんんっ……!!」 でも赤ちゃんの頭が見えてきたって言葉を聞いて、少しだけ嬉しくなった。 もう少しで、もうちょっとで赤ちゃんと会えるんだ……。「実来!頑張れー!!」 一生懸命いきんでいく中で、やっと京介の姿が見えたけど、不安そうな顔でこっちを見ていた。 でも……きっと大丈夫。京介が応援してくれてるし、ここで見守ってくれているんだから。  「森嶋さん、旦那さんが到着されましたよー! よかったですね!」「っ、は、はいっ……!」「実来、もう少しだ!頑張れっ!」「う、うんっ……!」 京介の声が聞こえてくる度に気持ちが高まるし、元気がもらえる。「森嶋さーん、赤ちゃんの頭出てきたよー!もう少しだから、この

  • エリートな彼と年の差恋愛婚〜恋した彼は15歳年上の旦那様です〜   【出産という不安を抱えて】

    「っ……いたたたっ……!」 え、なんかお腹痛い……! なにこれ! それから数日後、その日はお天気が良かったので外の中庭を歩いていた。 その時、急にお腹にドッと痛みを感じた。 あまりにも痛みが強くて、わたしはその場にしゃがみ込んでしまった。「森嶋さん、大丈夫ですかっ!?」 そこへ通りすがった先生がわたしの元へ駆け寄る。「お、お腹が、痛くてっ……!」 痛みでまともに話すことも出来ない。  きっとこれは、陣痛かもしれない。「森嶋さん、ちょっとお腹触りますね」 先生がわたしのお腹に触れると「森嶋さん、すぐに病室に移動しましょう。子宮口が少し開いてるかもしれません」とわたしに告げた。「先生、い、痛いです……!」「大丈夫ですよ、森嶋さん。一緒に頑張りましょうね」「は、はいっ……!」 それは今までに感じたことのないような痛みで、どうしようもなくて、思わず泣きそうになってしまった。 車イスを用意されて病室に移動すると、超音波検査などを行った。 そして先生は、子宮口を確認していく。「森嶋さん、子宮口がもうちょっとで開きそうだから、もう少しだけ我慢してね」「ううー……まだ、ですか?」「後もう少しだから、もうちょっとだけ待ちましょうね」 それからもう少しだけ、子宮口が開くのを痛みに耐えながら待っていた。「はぁ……はぁ……痛いよお」 先生まだかな……。 いつまで待てばいいのかは分からないけど、子宮口が開かないと赤ちゃんが出て来られないとのことだったので、陣痛を促す薬を投与してもらい、完全に開くまで待つことになった。 でも開くのもいつになるのかわからないので、途方に暮れそうだった。「せ、先生……?」 それからどのくらい経ったかは分からないけれど、痛みに耐えながら待っていたら、先生が来てくれたのでようやくかなと思った。「森嶋さん、子宮口確認するね」「は、はいっ……」 陣痛って、こんなにも痛いのか……。本当にすごく痛い。 生理痛の何倍も痛いから、何度も泣きそうになってしまった。 だけどここまで来たら後少しだから、と自分に言い聞かせた。「森嶋さん、良かったね!ようやく子宮口開いたよ。 よし、出産準備に入るからちょっと待っててね」「は、はいっ……!」 良かった……。ようやく開いたみたいで、産む準備に入れるそうだ。「森嶋さん、旦那さ

  • エリートな彼と年の差恋愛婚〜恋した彼は15歳年上の旦那様です〜   【幸せな家族像】

    「おねえちゃんは、いつあかちゃんうまれるの〜?」 わたしのそぱに来た紗奈ちゃんという女の子は、わたしのお腹に目を向けている。「こら、紗奈!お姉ちゃんの邪魔しちゃダメでしょ?……すみません、うちの子が」 紗奈ちゃんのお母さんは、わたしの元へとゆっくり歩いてくる。「いえ。 紗奈ちゃん、お姉ちゃんもね、もう少しで赤ちゃんが産まれるんだよ」 「さなも、あかちゃんたのしみなんだぁ! おねえちゃんも、あかちゃんがんばってね〜」 紗奈ちゃんに応援してもらったおかげで、なんだか気持ちが明るくなった気がしたわたしは、紗奈ちゃんに「ありがとう、紗奈ちゃん」と紗奈ちゃんの頭を撫でた。「紗奈、こっちに来なさい! パパにジュース買ってもらいな」「うんっ!パパのとこいく〜」 紗奈ちゃんはパパのところへ行こうと走り出す。「こら!走っちゃダメよ、紗奈!」「パパ〜!」「紗奈! もう、紗奈ったら……。騒がしくて、すみません」「いえ。 可愛いですね、紗奈ちゃん。おいくつですか?」「四歳です。女の子なんですけど、とにかく活発で困るんですよ〜」「そうなんですか? でもすごく可愛いですよね」 紗奈ちゃんを見ていると子供ってやっぱりいいなって思う。   これがわたしの理想の家族像かもしれない。「ありがとうございます。 出産は初めて?」「はい。 なので、本当に不安だらけで……」「初めてはそうだよね。 うちももう三人目だけど、やっぱり毎回不安になりますよ」 そうなんだ……。三人目でも不安になるんだな。「三人目ですか? すごいですね。男の子ですか?女の子ですか?」「うちは全員、女の子なのよ。 男の子一人くらい欲しいかったんだけどね」「女の子だと、可愛いですよね。 可愛い服とか、いっぱい着させられそうですし……」 いつかは子供と一緒にリンクコーデみたいな感じにするのが、夢ではある。 そうなったらいいな。「でも女の子も女の子で、大変ですよ? 騒がしくて、言うこと聞かないのよ〜」「え、そうなんですね?」「でもやっぱり、子供は可愛いですよね。やんちゃで大変だけど、それでもやっぱり可愛いのよね〜」 そう言われたので、わたしも「だってすごく、幸せそうですもん」と思わず口にしてしまう。「そうですかね?」「はい。もう楽しそうな家族だっていうのが、目に見えて分かります」

  • エリートな彼と年の差恋愛婚〜恋した彼は15歳年上の旦那様です〜   【出産に向けての準備】

    「……ふうっ」 お腹がかなり大きくなっていたわたしは、立ち上がったりするのが大変で、産まれるまでようやく後少しという所まできた。 妊婦生活も臨月に差し掛かり、もういつ産まれてもおかしくない状況になっていた。  身体が重いし、歩くのも大変だ。 だけど、お腹の子が元気に動くのを感じて、早く産まれてきてほしいという思いが強くなっているのは、確かだった。 この子と、産まれてくる赤ちゃんに早く会いたいという気持ちが、以前よりも強くなっていき、早く対面したいと思ってる。 わたしが母親になって初めて気付いた、愛情という感情。 そして産まれてくる子に対する、この奇跡という名の宝物。 二人でたくさんその奇跡を共有したい。「もう少しだな、産まれるまで」「うん」 京介も優しく微笑みながら、元気に動くお腹の子を眺めている。「……実来」「ん?」「出産、頑張ろうな」 京介が何かと助けれてくれるから、わたしは頑張られる気がする。「うん、頑張るね」「本当に、実来のために何も出来ないのが申し訳ないくらいなんだけどな」「そんなことないよ。……不安な時に、こうやってそばにいてくれるだけで、それだけでわたしはもう安心するんだよ」 わたしがそう話したら、京介は「そうか……?」とわたしを見る。「うん。正直、今すごく不安だし。……だけど、京介がいてくれるだけで、その不安が少し和らぐからとても頼りになるよ??」「そっか。 ならよかった」「ありがとう、京介。 出産までもう少しだから、頑張るからね」「ああ、大丈夫だ。……俺がそばにいるからな」「……うん、ありがとう」 微笑むわたしに京介は優しく手を握ってくれて、寒いからとコートを掛けてくれる。「ありがとう、京介」「今日は一段と冷える。……身体に障るといけないから、中に入ろうか」「うん」 京介の家にはもうほとんど何もなくなっていた。 ベッドと冷蔵庫がぽつんと置いてあるだけで、とても殺風景になっていた。「……いよいよ明後日には、引越しだな。ここともお別れだ」「そうだね。なんだか、寂しくなるね」 もうここに来ることもなくなるのか……。と思うとなんだか寂しくなる気がする。「そうだな。 まあ今度は実来と子供と三人で暮らせるようになるし、楽しみもあるけどな」「うん、そうだね。 わたしたち、三人で暮らす新しい家だも

  • エリートな彼と年の差恋愛婚〜恋した彼は15歳年上の旦那様です〜   【母の味】

    「お母さん、後少しだけど、よろしくね」 「はいはい。今のうちに存分、甘えておきなさい」「はーい。 じゃあお母さん、お腹空いたからご飯食べたい」「アンタって子は……よし。ご飯にしよっか。お箸持っててくれる?」「うん」 お箸をテーブルに並べて、お味噌汁の入ったお椀を並べた。 お母さんのご飯を食べられるのも、後少しなんだよね……。なんか、寂しくなるな。 恋しくなる、母の味。 わたしの母の味は、なんだろうな。 やっぱり肉じゃがと、甘い卵焼きかな。「さ、食べましょう」「「いただきます」」 お母さんと一緒に夕飯を食べるのも残り少なくなって、なんだかんだで寂しい気持ちになる。 お母さん、これから一人で寂しくないかな……?「ん、美味しい。これだよ、これ。やっぱりお母さんの肉じゃが、本当に美味しい」「ならよかった。アンタは昔から甘めが好きだもんね」「うん。お母さんの作る肉じゃが、お袋の味って感じだもん」「そっか。お袋の味か……」「うん。後ね、甘い卵焼きも」 お母さんの作る甘い卵焼きはとにかく大好き。高校の時のお弁当にも、毎日甘い卵焼きは入っていたし。 甘い卵焼きは大好きだから、食べるとほころぶ気がする。「卵焼きはいつもお砂糖たっぷり入れてるからね」「そう。その甘いヤツが極上に美味しいんだよね」「それはよかった。遊びに来たら、また作ってあげるわね」「やった。嬉しい〜。子供にも食べさせてあげたいな」「食べさせてあげなさい。 実来の料理が、いつかお袋の味になるようにね」 わたしのお袋の味か……。いつかそうなったらいいなって思う。「そうだね、頑張ろう。 料理もっと上手くなりたいから、お袋の味ってヤツを作ってみてもいいかもなあ」「頑張りなさい。母は強し、よ」「うん」 母は強し……か。 確かによくそれを聞く。 お母さんいわく、母になると精神的にも強くなるらしい。 さすがお母さん、尊敬する。「ねぇ、お母さん」「ん?」「肉じゃがとご飯、おかわりしていい?」「いいわよ。いっぱい食べるわね」「だって、美味しいんだもん」「食べすぎてあんまり太り過ぎないように、気を付けなさいよ」「うん。気を付ける」 その後はご飯をしっかりと食べた後に、お風呂に入った。 お風呂から上がると、京介からLINEが来ていた。【実来、ご飯食べたか? 

Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status