All Chapters of エリートな彼と年の差恋愛婚〜恋した彼は15歳年上の旦那様です〜: Chapter 21 - Chapter 30

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【クリスマスパーティー①】

「よいっしょ……」 妊娠八ヶ月を過ぎてきて、だんだんと重くなってきたこの身体。歩くのさえ、以前よりも少し困難な感じがしてきた。 そしてもう12月も半月を過ぎて、年末年始に差し掛かろうとしていた。「お母さん、今年のクリスマスはケーキどうする?」 わたしがそう聞くと「ケーキならもう予約してあるわよ」と言われた。「そうなの?」「ええ。……実来、今年のクリスマスは、森嶋さんも家に呼んでクリスマスパーティでもしましょうか」「えっ、本当に?」 京介さんも一緒にいいの?「ええ。だって実来の旦那さんになる人だもの。みんなで楽しくパーティーしましょう」「やった!嬉しい。……あ、赤ちゃんも喜んでるみたいだ。動いてるよ、元気に」「そう?赤ちゃんもパパに会えて嬉しいのね、きっと」「早速、京介さんに連絡して聞いてくるね」「ええ」 わたしは一度の部屋に戻り、京介さんに電話をかけた。「もしもし、実来? どうした?」「あ、すいません京介さん。今忙しい……ですか?」「いや、今はお昼休みだから大丈夫だけど……どうした?何かあったのか?」 わたしは電話越しに「えっと、京介さんは……今年のクリスマスって、空いてますか?」と聞いてみる。「クリスマス?……ああ、日曜日だから仕事は休みだよ」「本当ですか?」 良かった……。誘っても大丈夫かな?「あの……もしよければ、家でクリスマスパーティーをするんですけど、京介さんも一緒にやらないかって、お母さんが」「本当に? 俺がいても大丈夫?」「はい。お母さんも、ぜひ来てほしいって言ってて」 わたしがそう話したら、京介さんは「……そうか。ならせっかくだし、お邪魔させてもらおうかな」と言ってくれた。「はい!ぜひ来てください。 美味しいケーキも用意しますので」「あはは。ケーキ食べたいのは実来だろ?」 そう言われてしまい「あ、バレてしまいましたね」と笑った。「実来のことならなんでも分かるよ」「……参りました」「あはは。実来は本当に可愛いな」 「ありがとうございます。……あ、そうだ。今日は、赤ちゃんがすごく動くんです」 今日は一段と元気でよく蹴っている気がする。「そうなのか」「はい。きっと赤ちゃんは、パパに早く会いたいんだと思います」「そっか。それは楽しみだな」「はい。赤ちゃんよく動いてるので、きっとこの
last updateLast Updated : 2025-03-17
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【クリスマスパーティー②】

「本当ですか? 頑張ってよかった〜」「実来、すごいな。ありがとう」「いえ。わたしがやりたかっただけなので」「そっかそっか」  良かった。京介さんも楽しそう。「森嶋さん、立ってるのもなんですから、どうぞ座ってください」「あ、すいません。ありがとうございます」「すぐ料理の準備しますね。 実来、手伝ってくれる?」「うん。分かった。 京介さんは座って待っててください」「ああ、ありがとう」 お母さんの手作りのパエリアや、ローストチキン、唐揚げなどをテーブルに運んだ。「うわ、すごいな。これ全部、実来のお母さんが作ったのか?」「そうですよ。 うちのお母さんは、毎年クリスマスは必ず手作りのチキンとパエリアを作ってくれるんです」 お母さんのパエリア、とても美味しいから京介さんにもたくさん食べてほしい。「すごい。本格的だな」「はい。すっごく美味しいですよ」 わたしの言葉に京介さんは「それは楽しみだな」と微笑んでいる。「今スプーンとフォーク持ってきますね」「ああ、ありがとう」 スプーンやフォーク、お皿などを持ってテーブルに並べる。「実来、大丈夫か?お腹キツくないか?」「大丈夫ですよ。少しは動かないといけませんし」「あまりムリはするなよ?ケガでもしたら大変だから」「はい。気を付けます」 もう、京介さんってば、こんな時にも心配性なんだから……。でも心配してくれるのは嬉しいから、素直に受け取っておこう。「さ、お待たせ。食べましょうか」 テーブルに並べられた豪華な料理たち見てワクワクする。 みんなで食べるからこそ、もっと美味しくなると思う。「ではいただきましょうか」「うん。いただきます」「じゃあ俺も……いただきます」 京介さんは揚げたての唐揚げにお箸を伸ばしていく。「いっぱい作ったから、いっぱい食べてね」「ありがとうございます。……うん、この唐揚げめちゃくちゃ美味いです。 生姜、結構効いてる感じしますね」「あら、分かるの?」「俺、唐揚げが昔から大好きなんですよ。こういう生姜が効いてるヤツが特に好きで」 京介さんの好きな食べ物は唐揚げだということは、つい最近わたしも知った。    わたしも唐揚げは大好きだから、嬉しい。お母さんの唐揚げは最高なんだ。「あら、そうなの? それはよかったわぁ」「ほんとに美味いです。味付けもちょ
last updateLast Updated : 2025-03-18
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【ショッピングデート】

「京介さん、お待たせしました」「全然大丈夫」「ありがとうございます。 さ、行きましょうか」「そうだな」 気が付けば、今年も今日で終わろうとしている。今日は十二月三十一日だ。 もう年末になり、早いもので今年が終わってしまう。  今日は年末のデートに京介さんと一緒にベビー用品を買いに来た。 もうすぐ産まれてくる我が子のために、今から出来ることをしっかりとやっていきたいと思う。 京介さんも出来ることをサポートしたいと言ってくれているので、とても心強い。「今日は、いつも行く所よりももっと大きい大型のショッピングモールに行こうか」「いいですね」 京介さんは車のナビに住所を入れて検索して、ナビを立ち上げてから車を走らせた。 予定ではここから一時間弱くらいで到着する予定だ。「さ、久しぶりの遠出だ。楽しいドライブにしよう」「はい。楽しみです」 赤ちゃんも結構動くので、かなり楽しみみたいだ。「赤ちゃん、今日すごく動いてます」「そっか、動いてるか。家族でドライブがきっと楽しいんだな」「そうだと思います」 わたしはこの子の母親だ。この子のためなら、なんだって出来る。 自分の子を守るのは、わたしたちのパパとママの役目だから。……ね、赤ちゃん?「実来、着いたぞ」「はい」 一時間ほどかけてショッピングモールに到着した。やっぱり土曜日ということもあり、車が結構混み合っていた。「結構混んでますね」「そうだな。まずは中に入って順番に見ていくか」「はい。そうしましょう」 ベビー用品だってかなりたくさん売っていると思うけど、まずは館内をぐるっと見てから選びたい。「今ここは……現在地はここか」「ですね」「まずはここのお店から行こうか」「はい」 わたしたちは館内マップを眺めてから歩き出す。「実来、手を繋ごうか」「え?」 わたしは京介さんを見上げる。「今日はデートなんだ。デートといえば手を繋ぐ、だろ?」「……はい」 京介さんの大きな右手が、わたしの左手を優しく包み込むように握りしめてくれた。「京介さんの手、温かいですね」「そうか?」「はい。とても温かいです」 でも京介さんとこうやって並んで歩くと思うのは、わたしたちって本当に釣り合っているのかなって、そう思ってしまう。 だけど京介さんの隣を歩くのは、わたしだけだと言ってくれた。
last updateLast Updated : 2025-03-18
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【年明けと初詣】

 そして年が明けた一月一日の元旦、新しい年を迎えた。 今日からまた新しい一年が始まる。「お母さん、明けましておめでとう」「明けましておめでとう、実来」「今年もよろしくね」「こちらこそ、よろしくね」「うん」 日に日に大きくなるお腹を抱えて歩くのはとても大変だし、何よりも出産が近くなってきて、前よりも赤ちゃんの動く鼓動を感じるようになってきた。 わたしはより一層、赤ちゃんの母親として頑張らないという気持ちが出てきた。もちろん出産はもう少し先になるけど、元気に生まれてきてくれることだけを考えていこう。「実来、今年は初詣行く?」 お母さんにそう聞かれたので「初詣かぁ……行こうかな。赤ちゃんのために安産祈願もしたいから」と答えた。「じゃあ明日、一緒に初詣行こっか」「うん。行く」 お母さんは心配なのか、わたしに「ただ、人も多くて大変だろうから、歩く時気を付けるのよ。 階段も多いし、ぶつかったり転んだりしないようにね」と言われた。「うん、気を付けるよ」「大丈夫よ、お母さんがそばにいるから」「うん、ありがとう」 お母さんがどんな時もそばにいてくれるなら、安心だ。「今日はお雑煮でも食べる?」「うん。食べる」「食べすぎないようにね、また先生から言われちゃうから」「うん、気を付ける」 やっぱりお正月といえばお雑煮だよね。 お母さんの作るお雑煮、美味しいんだよね。「じゃあ、お雑煮の準備するわね。出来たら呼ぶから、部屋でゆっくりしてなさい」「いいよ、わたしも手伝う」「大丈夫よ。部屋で休んでなさい」 お母さんはわたしのことが本当に心配みたいなので、わたしは「……分かった。ありがとうお母さん」と微笑んだ。「気を付けてね、階段」「分かってるよ〜」 もうお母さん、本当に心配性なんだから……。 部屋に戻りテレビを付けると、すごく流行っていて話題になっていたドラマの再放送がやっていた。「あ、これずっと見たかったヤツだ」 まさか年明けにこのドラマの再放送やってるなんて思わなかった。 有名な女優さんが検死をする解剖医の役で出ているドラマだった。 視聴率もかなり良くて、ドラマの主題歌がまた話題になった。……そういえばこの人、昨日の歌番組に出てた人だな。 主題歌歌ってたの、このアーティストだったんだ。歌声がかなりいい。 わたしはドラマの再放送
last updateLast Updated : 2025-03-18
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【誕生日の日のサプライズ】

【実来、誕生日おめでとう!今年も素敵な一年にしてね! 後、元気な赤ちゃんを産んでね。出産報告待ってるからね】 三が日が終わった一月五日、今日はわたしの21歳の誕生日だ。 もう、21歳になったんだと思うと、なんだか20歳が終わらないで欲しいなって一瞬だけ思った。 全然実感なんて、ないけれど。 だけど誕生日が来てわたしは一つ大人になって、そして母親という最も重要な役割が待っている。   去年の今日、今年がまさか大きなお腹に赤ちゃんがいる妊婦になっているなんて、誰が想像しただろう。 赤ちゃんがもう少しで産まれるけど、わたしにとって子供は21になって出来る大切な人、大切な宝物。 愛する人とひょんな形で出会い、赤ちゃんが出来て、今こうしてわたし幸せな誕生日を迎えることが出来て良かった。【ありがとう彩花!お祝い嬉しい! また彩花に会いたいよ〜。また遊ぼうね!】 彩花にそう返信して、ようやく寒さで抜け出せなかったベッドから脱け出す。 うひゃあ……寒い〜。寒すぎてしんどい……。「おはよう、実来。朝ごはん出来てるわよ」「おはよう、お母さん。ありがとう」 部屋を出ると、更に寒さが増してリビングに行くまでがかなりキツイ感じがした。 そしてゆっくりとリビングへ降りて扉を開けると……。「……えっ? 京介さん?」「お誕生日おめでとう、実来」 なぜかそこに、花束を持った京介さんがいた。「京介さん、なんでここに……?」 どうして京介さんがここにいるの……?「実来、誕生日おめでとう」「え? あ、ありがとうございます」 京介さんはにこやかな笑顔で、わたしに花束を渡してくれた。「驚いた?」「は、はいっ。でもどうして、京介さんがここにいるんですか? 今日来るなんて、全然言ってなかったですよね……?」 それだけが本当に疑問で仕方ない。「サプライズしたくてね。お母さんに頼んで、内緒にしてもらっていたんだ」「ええ〜そうだったの、お母さん?」「そうよ。実来を喜ばせたいから、内緒にしといてくれって言われてね」 サプライズしたいからって……本当にロマンチストだな。 嬉しいけど、ビックリした。「そう。だから今日は、サプライズでお祝いしたくて」「……嬉しいです。ありがとうございます」 朝からこんなにも嬉しいサプライズが待っているなんて思ってなかったから、
last updateLast Updated : 2025-03-19
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【そして夫婦となり】

 これ以上ないってくらい、幸せになってみせるからね、わたし。 不釣り合いでもいい。京介さんの妻として相応しくないのは、わたしだってよくわかっているし、支えて行ける自信なんてまるでない。「あの、京介さん……」「ん?」「わたしをあなたの妻にくれて、ありがとう」 だけどこんな小さな出会いから、小さな命まで授かることが出来て、そしてこうしてまた巡り合うことが出来たのは……本当に奇跡だと思う。 わたしなんかが妻になるなんて、世間からしたら常識知らずと言われることだって、もしかしたらきっとあるかもしれないけど……そんな覚悟なら、もうとっくに出来ている。「こちらこそ。 俺の妻になってくれると言ってくれて、ありがとう」 でも何があってもわたしは、京介さんのそばから離れたりしないし、ずっとそばで京介さんのことを支えてみせる。 誰に何を言われようとも、わたしは京介さんの妻であり、わたしたちは家族になるんだ。 家族の絆は、そう簡単に壊れたりなんかしないんだから。 わたしたちは、これから最高の夫婦になっていくんだ。 どんな時も支え合っていけるような、そんな夫婦になると決めた。「京介さん……わたしたち、最高の家族になりましょうね。 どんな家庭にも負けないくらい、最高の家族になりましょう」 わたしがそう話すと、京介さんは「……そうだな。二人で共に手を取り合って、頑張っていこうな」と微笑んでくれた。「はい。よろしくお願いします」「こちらこそ、よろしくな」 その後わたしは、京介さんと一緒に役所へ行って、婚姻届を提出した。「おめでとうございます」 婚姻届は無事に受理されて、わたしたちはついに恋人から夫婦へと変わった。 左手の薬指にキラキラと光る結婚指輪を眺めながら、わたしは嬉しい気持ちでいっぱいだった。「本当に、夫婦になったん……ですよね」「そうだ。俺たちは今日から夫婦だ」「夫婦になった感覚、あんまりないです」 本当にこれで、わたしたちは結婚したんだな……。婚姻届を出しても、そんな実感が全くなくて。 だけど今までにないくらいすごく幸せな気持ちになっているのは、確かだった。「まあ、それは俺もだけど」「ふふふ」 わたしは本当に、京介さんと結婚したんだよね。「これからもよろしくね、実来」「こちらこそ、よろしくお願いします」 わたしは今日から、京介
last updateLast Updated : 2025-03-19
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【家族の新しい新居】

 それから時が過ぎて、早いことに入籍してからもう一ヶ月が経とうとしていた。 新しい新居にはまだ住むことが出来ないけれど、内装が完成したと連絡が入り、今日は旦那と一緒に内装の見学をすることになった。「実来、中はどんなだろうな」「確かに。とても楽しみだね」「そうだな。俺たちの新しい新居だ。そこが、俺たちの新しい家だ」 わたしたちの新居、入るの楽しみだな。「うん。なんか、少しドキドキするね」「そうだな」「どうしよ。楽しみなのに、すごくドキドキしちゃう」 新築の家に住むなんて初めてだから、とてもドキドキする。「さっき不動産屋で鍵をもらってきたから、これで中に入れるぞ」「カードキーなんだよね」「そうだ。これをドアのセンサーにかざすと、中に入れるらしい。 鍵じゃないと変な感じだけどな」「確かに」 玄関にカードキーをかざすと、赤色から緑色に変わって、ロックが解除された。「……空いたの?」「空いたな」 ドアを開けると、中に入ってみる。「うわっ……すごい! キレイ!」 中はとても広くてキレイで、なおかつ白を基調とした明るい感じの部屋だった。 見取り図よりも遥かに現実の方がいい。思ったよりすごく素敵な部屋だ。 なんだか感動してしまう。「すごくキレイだな。外の景色の眺めもいいし」「本当だ。とてもキレイだね」 部屋中から見える景色もとても素敵で、景色は最高だ。「来月からはこの部屋にみんなで住めるんだもんね。楽しみだね」「さすが新築だな。俺の予想を遥かに超えてきたよ」 わたしは窓の外を眺めながら「本当にこんな部屋に住めるなんて……夢みたいだな」と京介を見る。「これからは、ここが俺たち家族の家だ」「……うん。三人で暮らす家になるんだもんね」「そうだ。この家で、産まれて来る子供をのびのびと育てていこう」 京介の言葉にわたしは微笑んで「うん」と頷いた。「京介、キッチン見て! 広くない!?」「本当だな。このキッチンなら、実来も楽しく料理出来そうだな」 ここがキッチン? キッチンもすごく広い。しかもIH搭載で、魚が焼けるグリルも完備してある。 しかも食洗機まで備え付けだなんて、すごく太っ腹すぎる。 新築なのに、ここまでしてくれるって……すごいな。 「うん。シンクも広いし、いいキッチンだね」 赤ちゃんだってきっと、喜んでるに違い
last updateLast Updated : 2025-03-19
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【結婚祝い〜森嶋目線〜】

「課長、改めて、ご結婚おめでとうございま〜す!」「ありがとう、みんな」「では、課長の結婚を祝って〜」「「「「かんぱーい!!!!」」」」 俺はビールの入ったジョッキを、社員たちと交わした。 今日は会社の社員たちと飲み会をしようと誘われた。   久しぶりの社員たちの飲み会なのだが、結婚祝いまで用意してくれて、本当にいい後輩たちを持ったなーと思った。    いい社員たちに、俺は本当に恵まれている。「課長、これ、わたしたちから課長と奥様に結婚祝いのプレゼントです」「え、いいのか? 悪いな」 飲み会の日、部下から結婚祝いというものをもらった。「ぜひ受け取ってください。奥様にも喜んでもらえるといいんですけど……」「嬉しいよ。妻もきっと喜ぶよ」「よかったです。 よかったら、開けてみてください」「ありがとう。じゃあ、早速開けさせてもらうよ」「はい!」 結婚祝いだと渡されたその紙袋の中には、ペアのグラスとペアの茶碗が入っていた。    しかもそのグラスには、俺たちの名前のイニシャルが刻印されていた。「うわ、すごいな。イニシャル入ってるのか? 凝ってるな」「奥様と色違いのお茶碗ですよ。夫婦仲良く使ってください」「ありがとう。嬉しいよ。これは妻も喜ぶよ」 色違いの茶碗とペアのグラスは嬉しいな。二人で使うことにする。「よかったです。本当にご結婚、おめでとうございます」「ありがとう。ようやくって感じだけどな」 35歳で結婚か。まさかこの歳で結婚するなんて思ってはなかったが……。「でも、奥様はとても可愛らしい方ですよね? 本当に素敵な方ですよね」「ありがとう。……まあ妻はまだ21だし、年の差もあるけど、結婚出来てよかったとは思ってるよ」 本当に妻が実来で良かったとつくづく思う。「課長みたいな一途な男性に愛されてる奥様、羨ましいですね」「そうか……?」 俺の方が実来に愛されていると感じる瞬間は、多々ある気がする。「そうですよ。 わたしにも早く現れてほしいです、運命の人」「そのうちきっと、いい相手が現れるさ。上原の元にも」「ありがとうございます。素敵な旦那様が現れることを期待して待ってます」「ははは。いい報告、期待してるよ」「出来るように頑張りまーす」 部下の上原も結婚には憧れがあるようで、素敵な人と出会えることを祈っている
last updateLast Updated : 2025-03-19
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【看病と手料理】

「京介、大丈夫? はい。お水持ってきたよ」「あ、ありがとう。……心配かけてすまないな」 飲み会があった日の夜、京介は珍しく飲みすぎてしまったようで、頭が痛いと言っていた。「ううん。飲み会だったんだから、仕方ないよ。 頭痛薬、ここに置いとくね」 わたしはベッドで横になる京介のそばにお水と頭痛薬を置いた。「ありがとう。……実来は、優しいなほんと」「何言ってるの。普通だよ」 京介から二日酔いになったので来てほしいとLINEが来たのは、次の日のお昼だった。  返信をしたが既読がつなかったため、心配はしていたのだけど、結構辛そうだった。「お水もっと飲む?」「……いや、大丈夫だ」 本当に大丈夫かな。結構辛そうなんだけど……。こんなに弱っている京介を見たのは初めてだ。  こんなに弱っている京介を見るのも、悪くない気がしたのは、京介には内緒にしておこう。「あまりムリしないでね」「ああ……実来、ありがとう」「うん。 何か食べれそう?」「……うーん、どうかな」 二日酔いに良さそうなものがあれば、作ってあげようかなと思い聞いてみたが、あまり食べられなそうな感じだな。「じゃあ早く良くなるように、玉ねぎのお味噌汁作るね。 玉ねぎのお味噌汁は、二日酔いにいいらしいから。……キッチン、借りるね」「……ああ、ありがとう」「できるまで寝てていいからね。出来たら起こすから」「ああ、すまない」 わたしは大きなお腹を抱えながら立ち上がると、早速キッチンに立って、玉ねぎのお味噌汁と冷蔵庫の中に入っていた卵でだし巻き卵などを作った。  簡単な料理でも、美味しく作れると嬉しいものだ。 お皿に卵焼きを盛り付け、ご飯とお味噌汁を用意して、テーブルに並べた。「京介、出来たけど……食べられそう?」「ああ、ありがとう。 食べるよ、せっかく作ってくれたんだし」「ムリしなくていいよ」    と言ったけど、京介は「いや、食べたい」と言ってベッドから起き上がった。   「お、美味そうだな」「どうぞ、召し上がれ」「いただきます」 京介は、味噌汁と卵焼きを一口食べると、美味しいと言ってくれた。「うん、美味い。……美味いよ、実来」「良かった」 京介は「味噌汁が身体に染み渡るな」とホッとしたような顔をしていた。 「美味い、本当に。ちょうどいい味付けだよ」「またい
last updateLast Updated : 2025-03-20
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【看病と手料理〜森嶋目線〜】

「ん……」 二回目に目を覚ましたのは、夜だった。「今何時だ……?」 ベッドのそばにある時計に目をやると、時間は十九時を過ぎていた。「もうこんな時間か……」 あの後寝たおかげか、頭痛はすっかり落ち着いていた。 寝室を出てリビングに行くと、実来はもう部屋にいなかった。「さすがに帰ったか」 ふとテーブルに視線を向けると、置き手紙がテーブルに置いてあった。「ん……? 手紙?」【京介へ夕飯にリクエストのハンバーグを作ったので、冷蔵庫に入ってるよ。よかったら温めて食べてね。実来】「実来……ありがとう」 玉ねぎのお味噌汁のおかげで、二日酔いも良くなった気がしたし、頭も少しスッキリしている気がするので、実来の作ってくれた夕飯を食べることにした。  メモの通り冷蔵庫を開けると、ラップに包んであったハンバーグが顔を出した。 とても美味しそうな、ハンバーグだ。 しかも付け合わせにブロッコリーやほうれん草のソテーまで乗っていて、彩りも良かった。「こんなに……」 すごいな、実来。栄養のバランスまでしっかりと考えられている。 実来が俺の妻で、本当に良かったなと思う。 ハンバーグをレンジで温めてお茶碗にご飯を盛り、味噌汁をコンロで温めて準備をし「いただきます」と手を合わせた。 熱々のハンバーグを食べると、ジューシーでボリュームもあって、とても美味しかった。 「……美味いな」  手作りのソースもまた、濃厚で美味しかった。 ハンバーグによく合う味付けだった。 「ごちそうさまでした」 あまりの美味しさに、あっという間に完食してしまった。 実来の愛情がたくさんこもった、美味しい料理だった。  【実来、ハンバーグすごく美味しかったよ。ありがとう】 食べ終わったあと、実来にLINEを送信した。 結婚したとはいえ、まだ一緒に住んではいないので早く一緒に住みたい。 こんなに美味しい料理をまだ一緒に食べられないなんて、本当に残念だ。【本当?良かった。 さっきハンバーグ食べたいって言ってたから、作っちゃった。】【本当に美味かったよ。 実来の料理のおかけで、元気が出たよ】【それはよかった】  実来の料理を毎日食べれる時が来るのが、待ち遠しいな……。 俺の大好きで愛おしい妻。「やばいな……もう会いたくなったな」 そのくらい俺は、実来に恋い焦
last updateLast Updated : 2025-03-20
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