翌日目覚めて朝食を済ませると、玲奈はいつも通り仕事へ向かった。昼時、食事中に茜から電話がかかってきた。温泉山荘からこっそり出て行って以来、初めての電話だった。玲奈は電話に出た。「ママ……」「うん」玲奈は応えて「ご飯は食べた?」と尋ねた。「今食べ終わったところ!」あの朝、温泉山荘で優里おばさんから電話があって、パパと遊びに行くから一緒に来ないかと誘われた。茜はすぐに承諾して、玲奈が気付かないうちにこっそり抜け出した。とても楽しく過ごして、昨日の午後になってようやく市内に戻ってきた。でも昨夜は家に帰らなかった。今朝学校に戻って玲奈のことを思い出すと、少し後ろめたくなって、怒っているかもしれないと心配になり、電話をかけてきたのだ。でも、ママが自分から食事のことを聞いてくれて、あの日こっそり出て行ったことで怒っている様子もないようで、安心した。やっぱり、ママは自分のことを怒れないんだ!でも最近、ママは以前のように毎日電話をかけてくることも、行き先を聞いてくることもなくなった。茜はそんなママの変化が良いと思った。この変化が気に入った!これで何をするにもずっと自由になれる!玲奈は確かにこの二日間の行き先を聞かなかった。興味がなかったからだ。茜と学校のことを少し話した後、玲奈は電話を切った。オフィスに戻ると、礼二が「明日は科学技術展示会だけど、みんなで会社に集まって一緒に行く?」と尋ねてきた。玲奈は「いいわ」と答えた。翌朝、玲奈が車を出して間もなく、突然エンストを起こし、後ろから車が追突して、連鎖的な交通事故を引き起こした。後ろの運転手たちが罵声を浴びせていた。車が動かせず、交通の妨げになる。玲奈は後ろの車の運転手たちに謝罪し、すぐに救急電話をかけて、救助隊の到着を待った。ただ、この処理にはかなり時間がかかりそうで、展示会に急いでいるのに……「車がエンストしたの?」その時、背の高い人影が反対側の歩道から近づいてきた。玲奈は顔を上げた。辰也だった。なぜ彼が?彼女は淡々と「うん」と答え、相手にしたくない様子で、まず礼二に電話をかけてこちらの状況を伝え、先に出発するように、処理が終わったら後から行くと告げた。「こういう交通事故の処理は面倒だよね」処
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