Lahat ng Kabanata ng 秘めた過去は甘酸っぱくて、誰にも言えない: Kabanata 61 - Kabanata 70

296 Kabanata

第二章 再会は最悪で最低5

海辺の撮影を終えると、スタジオでの動画撮影に入り、すべて終わったのは二十一時が過ぎた頃だった。思ったよりも早く終わることができて、次のマネージャーが一安心といった様子だ。私も、やっと大くんから解放される(仕事だけど)と思って、少しだけ心が軽くなった。「お疲れ様でございました。明日朝の海の撮影はやらない方向でおります」「そうですか。ありがとうございます」杉野マネージャーに対して大くんは、礼儀正しく話している。「では、那覇のホテルでゆっくり過ごせますね。お二人ともどちらのホテルなんですか?」にこやかに問いかけてきた。「同じホテルなんです」「まさか、ツイン?」「さすがにシングルですよ」次のマネージャーはすごく楽しそうに笑い出した。「お二人がすごく仲良さそうに見えたのでいいパートナーだなって勝手に想像しちゃったんですよ。まさかのオフィスラブかと。あくまでも仕事できているということですよね」「さすが想像力が豊かですね。もちろん仕事できているだけです」社会人としての大人の笑顔を二人とも作っている。そこに池村マネージャーがやってきて、迎えの車が到着する。「今日は本当にお世話になりました」大くんは、見送っているスタッフたちに頭を下げてから車の中に乗り込んだ。最後の最後まで印象がいい。「午前中は空いておりますので、なにかあれば」池村マネージャーは言葉を残し、二人を乗せた車は去って行った。明日、お見送りをして終わりだ。それで、すべて終わり。あとはコマーシャルが完成するのを待つだけ。再開してしまい動揺しなかったといえば嘘になるが、目の当たりにして別世界の人だと思えた。やっと過去の自分から解放されてきたような感じがする。これからは私も新しい恋愛ができるかもしれない。「さーて。俺らも国際通りで飯食うか」「はい」国際通りを歩くと観光客がいたりして、賑わっている。観光だったらよかったなと今になってやっと思えた。杉野マネージャーと居酒屋に入って、軽く食事をする。「仕事だとはいえ、初瀬と二人きりでこうやって食事してるとテンション上がるな」「そ、そうですか?」「俺が隣にいてもドキドキしないの?」「へ?」
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第二章 再会は最悪で最低6

いきなりプライベートモードに入ったので私は急に対応できずに困ってしまう。「紫藤大樹を一日中見てたら、俺なんてカスにしか見えないか。ハハ」どこまで本気で言ってるのだろう。でも、杉野マネージャーはお兄さん的存在で一緒にいても苦じゃない。きっと、こういう人と結婚したら幸せな家庭を築ける気がする。私も年齢的に大人になった。友人では結婚や出産をしている人もいるので、意識しないわけではない。今までずっと過去にとらわれてきたので無理かと思っていたけれど、こうやって気に入ってくれている人がいるなら前向きになってみるのも一つの手かもしれない。食事を終えて、少しだけ歩きながらお土産を見る。ささやかな観光気分を味わおう。「会社に、ちんすこうでも、買っておくか」「はい」千奈津にこのガラスのキーホルダー買おうかな。「安くするよ」店員さんに声をかけられて、苦笑いする。買い物を済ませてからホテルに戻った。エレベーターを降りてそれぞれの部屋の方向へ歩く。「じゃあ、また明日もよろしくな」「はい、お疲れ様でした」ドアを開けて中に入ると、どっと疲れが出てきた。「ふぅ……一日終わった」ふかふかのベッドに横になると、体の力がすぅーっと抜けていく。かなり緊張していたので疲れた。もう、眠い。シャワーを浴びて早めに寝なきゃ。重い身体をなんとか起こすと、ブーブーと携帯のバイヴが震える音が聞こえた。会社の携帯だ。誰だろう。すごく疲れていたけど、急ぎの用事かもしれない。「はい。初瀬です」『俺』間違えるはずがない。だって過去に愛した人の声だから。どうして、なんで電話をかけてきたの?頭の中が真っ白になった。でも、きっと、仕事のことでなにか用事があるのかもしれない。「どうされましたか?」『声で誰だかわかるんだ?』「紫藤様ですよね」私は会社の人間として話そうと心がけた。『……今、一人?』「そうですが……」『確認したいことがあるから、俺の部屋に来てくれない?』やっぱり、仕事のことだった。名刺を見て電話をしてきたのだろう。じゃあ、杉野マネージャーに連絡しなきゃ。「では、杉野と参ります」『初瀬さんだけでいいです。エレベーターの前に待ってるから。人目につくから早く来て』「え……、でも」『疲れてるんだ。早く来て』ブチッと電話が切れてしまった。一人
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第二章 再会は最悪で最低7

大くんの泊まっているフロアーにある隠しエレベーターの前に行くと、本当に彼は待っていた。氷のような冷たい視線を私に向けてくる。体中に冷たい血液が駆け巡っていくような気がした。カードをかざすと、エレベーターが開く。「乗って」「でも……」「ここだと誰か来るから。早く」断ることができずにエレベーターに乗ってしまった。不安で押しつぶされそうな気持ちになる。大くんの部屋がある階に止まると扉が開いた歩きだす。本当に仕事の話なのだろうか。半信半疑のまま私は後ろをついて行った。「入って」「用事を言ってください。勝手な行動はできません」「……誰かに見られたら困るから早く入ってくれ」大くんは私のことは思いっきり睨みつけ、手首をつかんで部屋の中に入れた。逃げようとしたのにドアの前に立って出られなくしてしまう。「な、何するんですか!」「大声出したって聞こえないよ。誰も助けに来ない。少し冷静になれば?」大くんは、余裕の笑みを浮かべている。「驚かせて悪かった。まさかこんなところで会うと思わなかったからちゃんと話をしたかったんだ」「……」「少しだけ。お願い」そう言われたらやっぱり私は断れずにうなずいた。私の答えを聞いた彼は手を引いてソファーに座らせた。そして、目の前に座る。私はどこを見ていいのか、視線をキョロキョロさせてしまう。すごく広いスイートルーム。奥には大きなベッドが見える。テーブルもソファーもテレビも置かれているものは高価なものばかりだ。「久しぶりだな、美羽」落ち着いた声の大くんをそっと見る。仕事のことじゃなかった。プライベートだけど、期待しているような甘いものではない雰囲気だ。「お久しぶり……です」「元気そうだな」「はい……」目を見るのも怖くて私はまたうつむいた。大くんは、私に何を伝えたいのだろう。「杉野って奴と付き合ってんのか?」「え?」唐突すぎる質問に思考が追いつかない。「付き合ってない……ですけど……」「けど、あいつが美羽に惚れてるってことか。美羽、めちゃくちゃ綺麗になったしな。俺と離れる道を選んで正解だったわけか」「……」「てか、なんでそんなに普通にしてられるわけ? 俺は、撮影中にお前がいて、目障りだったんだよね」ヒドイ。でも、傷つけるような手紙を書いて、嫌われ役を選んだのは自分なのだ。大く
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第二章 再会は最悪で最低8

「……何それ」大くんは、芸能人オーラを消して捨てられた子犬のような顔をした。気のせいかな。だって、熱愛報道もあるし、十年も過ぎたのに私を想っているわけがない。そんな貫ける愛なんて、あるはずないんだから。この十年で私も大くんもきっと……変わってしまっただろう。私たちはすっかり大人の男女になっていた。「元気そうでよかったです。紫藤さんの活躍は見ていました。見たくなくても、目に入るくらい活躍されていたから」「美羽を見返すためにな。俺を捨てたお前を後悔させるために仕事を頑張った。俺が大スターになったら嫌でもお前は俺の姿を見るだろうと思ってさ」冷たい口調で言った。私を忘れていなかったのは、少しだけ嬉しかったけど、やっぱりそんなふうに思っていたのだ。「どんな人生を送ってきたんだ」「大学校卒業してここに入社して……。今年の春に部署異動してこの仕事の担当になったの。名前を見た時はびっくりした」彼は黙って話を聞いていてくれたけれど腕を組んで私を軽蔑するように見ている。「……その様子だと本当に子供は産まなかったんだな」赤ちゃんを降ろしたわけではない。産みたくて産みたくて仕方がなかったけど、お腹の中で死んじゃったのだ。喉まで出た言葉を飲み込む。いまさら、何を言っても無駄だ。寝室を告げたところで私たちは過去に戻ることはできないのだ。「美羽は今、幸せか?」「はい」咄嗟に嘘をついた。幸せってなんなのかわからない。けど、大くんと過ごしていたあの日々が一番キラキラしていたように、思う。大くんと離れ離れになってからいつもセピア色の景色を見ていたような感じがした。「ムカつく。なんで美羽だけ……」立ち上がった大くんは、ゆっくりと近づいてきていきなり私のことを強く抱きしめてきたのだ。驚いて目を見開くと、突然キスをされた。咄嗟に逃げようとするけれど、力いっぱい唇を押しつけてくる。「……ん、や、だ」口内を乱暴に舐め回す。必死で離れようともがくと、無理矢理足を開かれた。な、なにを考えてるの?首筋を痛いくらい吸われる。「本当にやめてください!」スーツがグチャグチャになり、目からは大粒の涙が溢れだす。全身のありったけの力を込めて、大くんを蹴飛ばした。すると、案外パタリと倒れた。「……最低っ」「どっちが」「……」これ以上一緒に居たら危ない。
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第二章 再会は最悪で最低9

自分の部屋について上がった呼吸を整える。久しぶりのキスで驚いてしまった。ベッドに倒れて、涙を拭う。どうして、あんなことするの?不安になって、はなのしおりを握ろうとポケットに手を入れる。「……ない」慌てて起き上がって探す。間違いなくポケットに入れておいたのに。お守りのように、大事にしていたのに、一体どこへ置いたのだろう。「もしかして」大くんに無理矢理キスをされた時に、あの部屋で落としたのかもしれない。他の物であればいいけど、あのしおりは大事なもの。取り返しに行かなければならない。だけど、もうあの部屋に行く勇気はない。電話をしてみよう。会社の携帯を握るけど、万が一通話履歴を確認されたら……。自分の携帯を取り出し、会社の携帯履歴に残っていた数字を確認しながら押す。『はい』「あの、あの……」『なに、美羽』「声で、わかるんですね」『……で、なに?』イライラした様子で話してくる。「しおり……、押し花しおりありませんか?」『……そんなに大事な物なの? たかがしおりなのに』赤ちゃんの代わりにしていたの、なんて言えない。どうしたら良いの?「本当に大事なものなんで返してもらえませんか」『へぇ。なんで? 杉野からもらったの?』「違います。とにかく、大事なんです」『部屋まで来て確認してみたら? その代わり続きをさせてよ』「どうして、そんなこと……」恋愛報道が出ていたけれど、心と体は別物だと考える人になってしまったのかもしれない。こんな魅力のない身体なのにそれでもいいと本気で思っているのだろうか。『この十年間……、裏切られた思いが膨らんでたから。今日、再会して一気に爆発した』「……」『どうして、平気なの? ごめんなさい申し訳ないと思わないわけ?』なにも言えない。平気じゃないもの。だって、だって、私は大くんに恨まれているとわかっても、大くんのことがまだ好きだって思うんだから。「いっぱい恨んでもいいから、しおりを……」『しおりなんて、知らない。たしかめに来いって』どうしてもしおりだけは返してほしい。『じゃあ、俺が美羽の部屋に行く。何号室?』「な、なにを言ってるんですか?」有名人の彼がホテルを歩き回ったらすぐにいろんな人に声をかけられて大変なことになってしまう。『どうしてそんなに困るの? 彼氏がいるのか?』「いな
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第二章 再会は最悪で最低10

ほとんど眠れないまま朝になった。これから大くんをお見送りする。杉野マネージャーも一緒だし大丈夫。仕事モードで頑張らなきゃ。「さて、お見送りだぞ」「はい」ロビーから裏玄関へ向かい待っていると、車はすでに手配されていた。池村マネージャーさんの後ろに歩いてついてくる大くん。顔を見た瞬間、昨晩のことが蘇る。「紫藤様、今回は本当にありがとうございました」杉野マネージャーが頭を下げる。「いえ、こちらこそお世話になりました」相変わらず笑顔の大くん。「あ、そうだ。この辺に本屋さんはありますかね。空港にありますよね」「そうですね」「実は押し花しおりを見つけて」そう言って、胸のポケットから出したのは、私が大事にしていたあのしおりだ。私にわかるようにわざと見せてきたのだろう。「どこにあったんですか?」杉野マネージャーが質問する。「部屋の中です」「返して」と言いたいけど、どうして私の物を持っているのかとか、一人で大くんの部屋に行ったなんてバレてしまったら大問題になる。大くんは、私の様子を窺っているようだ。気持ちを悟られたくなくて目を逸らした。「では、時間ですので」池村マネージャーが言うと、大くんは車に乗り込んだ。もう、会うことはない。切なくて胸が張り裂けそうになる。車が走りだすと、思わず泣きそうになった。生ぬるい風が頬を撫で私は仕事だということを忘れうつむく。今日は、一段と暑い。ジャケットを脱いで腕にかけた。「じゃあ、俺らも……帰ろうか」「はい」歩き出す杉野マネージャーは、ピタリと歩みを止めた。「……紫藤大樹はやめたほうがいい」「え?」驚いて目を丸くすると、近づいてきた杉野マネージャーは私の汗ばんでいる首筋に触れた。「これ、どう見てもキスマークだよな」「虫刺されだと思います……」「ああ、そう」なぜ他の男の人たということを疑わないのだろうか。「夜中に部屋を出てVIPルームの方向に行くのを見たんだよね」誰もいないことを確認していたつもりだったのに、まさか見られていたとは。「追いかけたんだけど少し遅くて、もうエレベーターは動かせなかった」VIPフロアに泊まっている人しか操作ができない仕様になっているからだ。「なんか、変だなって思って……寝る前に携帯でいろいろ調べたんだ。紫藤大樹、若い頃に女の子を妊娠させたスキャン
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第二章 再会は最悪で最低11

   +東京に戻って千奈津にお土産を渡すとすごく喜んでくれた。「ねーねー、生紫藤大樹はどうだった?」「綺麗な顔だったよ」「いいなぁー」はしゃいでいる千奈津に「仕事しろ」と言って、紙で丸めた棒状なもので頭を軽く叩いている杉野マネージャー。この状況を見ていると、日常に戻った感じがする。あっという間に一ヶ月が過ぎた。私も仕事にだんだんと慣れてきて少しは戦力になってきたのではないだろうか。はなのしおりが無いことに違和感を覚えつつ、なんとか頑張っている。CMもでき上がってきて、最終チェックをして、八月から放映される予定だ。九月からはCOLORのツアーがあるらしく、うちの会社がスポンサーになった。気持ちを押し殺そうとしても、気がつけば大くんのことばかり考えている。好きだとか言ってくれたけど、あれは嘘だったんだろうな、きっと。杉野マネージャーは、あれから大くんのことは聞いてこない。ただ「スポンサーになったんだな」と、ボソッと言われた。「スポンサーになったからもしかしたらまた会ってしまうこともあるかもしれないけど……気をつけて行動するんだぞ」釘を刺されたような気がする。
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第二章 再会は最悪で最低12

紫藤大樹side沖縄の撮影が終わり飛行機で帰る最中、目を閉じていたが、美羽のことばかり考えている。――十年ぶり……か。まさか、再会できるなんて思わなかった。予告なしに会った時、俺は自分を見失いそうになった。ずっと、美羽に会えなくなってから怒りしか残ってないと思っていたのに、俺は愕然とした。撮影中も仕事に集中できなくて、どうにか二人きりになりたいって思っていたんだから。バカだよな。何年も同じ女を好きでいるなんて。自分がこんなに一途だとは知らなかった。兄貴が亡くなってからも、俺はあの家に帰ると兄貴がいるような気がしてたまに行ったりしていた。今考えたら明らかに不審者なんだけどね。俺は、とにかく孤独だった。親と兄の死を間近に見て、生きていることの有り難みを知ったと同時に、死への恐怖心も芽生えていた。いつも、どこか暖かい場所を求めていたのかもしれない。美羽にはじめて会った時、なんとなくフィーリングは合う気がしたけど、まさか恋愛感情が芽生えるなんて思わなかった。恋愛なんてできないと思っていたのに、気がつくといつも美羽の顔が浮かぶようになって、辛いレッスンがあった後でも美羽に会えると思うと頑張れたんだ。――兄貴からのプレゼントだと思った。孤独すぎる俺に、与えてくれた兄貴からのプレゼント。きっと、俺は美羽に出会うために生きているのだとさえ感じられて、愛しくてたまらなかった。美羽は言葉でちゃんと伝えてやらなきゃわからないタイプだから、気持ちが通じ合うまで時間がかかった。はじめて美羽を抱いた日。俺は余裕が無くて、ついついソファーでしてしまったんだ。目を閉じると鮮明に思い出すことができる。もう一度、真っ白な肌の美羽に触れたい――……。
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第二章 再会は最悪で最低13

沖縄からの飛行機は東京に無事到着しタクシーに乗り込んだ。これから、バラエティー番組の収録がある。「疲れてない?」「いつものことだし」質問してきた池村マネージャーに素っ気なく答えると、自分の胸ポケットからしおりを出した。「それ、本当に拾ったの?」じっとしおりを見つめている俺に話しかけてくる。「ああ、そうだよ」余計なことは、言わないほうがいい。俺と美羽の過去を知ったら、池村マネージャーはすぐに会社に報告するだろう。面倒なことが起きる前に、美羽となんとか話をしたい。意地悪な言葉をかけて冷たい視線を向けて、嫌がることをしてしまった。お詫びをしてまた話をしたい。収録を終えて美羽に早速電話をするが、着信拒否をされていた。その日から、時間を見つけては何度かかけたけど、出てくれる気配はない。美羽は、本当に幸せなのだろうか?あの杉野マネージャーとやら男と本当に付き合っているのかな。俺と別れて正解だったと思ってるのか?自分だけがこんなにも美羽に執着しているのか。美羽が大事にしていた「花のしおり」を見つめて悶々としていた。会いたい会いたいって想い続けていたから、ああやって会えたんだと思う。だから、想い続けていたら、またどこかで縁が繋がるかもしれない。どこかで、美羽を信じている自分がいる。社長や美羽の親が、子供を堕ろしたと言っても、違うんじゃないかと思いたい。今すぐにでも会いに行きたいと思っていたのだが、監視があまりにも酷かったし社長は何度も俺に暗示をかけてきた。『あの子は、結局普通の幸せが欲しいのよ。見返してやりなさい』そう言われていた。『手紙が届いたわよ』社長に言われて渡された手紙の内容には愕然としてしまった。『紫藤様短い間でしたがお世話になりありがとうございました。私は自分の将来を考えて、子供は産まない決断をしました。このことは一生誰にも言わない秘密にします。仕事に励んで頑張ってください。さようなら』美羽が書いた内容とは思えなかったが、字は美羽のものだった。でも、どうしても諦めきれなくて目を盗んで家に行くと美羽は引っ越ししていた。またあの家は空っぽの箱になっていたのだ。大きな大きな傷が心について、涙が自然と溢れ出す。唇を噛み締めながら嗚咽を堪えた。両親も兄も死んで、さらに愛する人へも会えなくなった。どうして
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第二章 再会は最悪で最低14

精神が崩壊しそうになりながら、仕事に励んでいた。――美羽。会いたい。すぐに会いに行けないもどかしさの中、COLORはだんだんと知名度を上げて自由に動けない日々だった。そんな、ある日。美羽が大学を卒業する二ヶ月前。そんなタイミングに、俺は勝負をかけ空いた時間に美羽の実家に行ったのだ。何が何でも美羽を連れ去ろうと思っていた。実家のチャイムを押すと家にいたのは美羽のお母さんだった。夕方の時間を狙って訪ねたのだが、美羽は不在だった。それでも人目につくと危ないからと言って、中へ入れてくれたのだ。門前払いかと思っていたから、驚いた。「美羽さんに会わせてください」「あの子を好きになってくれてありがとう。あなたみたいな素敵な男の人が身近にいたら恋しちゃうわよね」優しく微笑んでくれた美羽のお母さんは、やはり美羽に似ていた。「早く会いに来たかったのですが、パパラッチなど、ご迷惑かけてしまうのでどうしても時間を置いてからじゃないと駄目だったんです」「芸能人って大変なんですね」一線を引かれたような言葉に、少し怖気づきそうになった。「……本当に、美羽さんは子供を堕ろしたのでしょうか?」「ええ」美羽のお母さんは、間髪をいれず即答した。それでも俺は、その言葉を受け入れられずにいた。「信じられないです」「残念ながら事実よ。あの子は就職も決まってやっと前を向いて歩き出したの。もう、関わらないであげてください」真剣すぎる眼差しに、その時の俺は何が正しいのか判断できなくなっていた。美羽が、子供を降ろすはずないのに。産んでどこかにいるのではないか? どうしてもそう思ってしまうのだ。「もしも、あなたが美羽を想ってくれるのなら、そうっとしておいてください。一般人の美羽を巻き込まないであげて。陰ながらあなたを応援しますので」その日、俺は美羽に結局会えなくて。それから、ずっと会えなかった。そもそも、俺のことを愛していたならば、様々な手段を使ってでも連絡してくるハズだ。でも美羽は連絡先も変えて、俺との縁を切ったように思えた。愛が憎しみに変わっていく――。あいつを後悔させてやる。そんなふうに思考が塗り替えられていった。そうしないと頑張れなかったんだ。
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