「仕事があるから行くけど、また空き時間に来るからね、芽衣子」すっと立ち上がったリュウジ。「もう。いいよ」ポツリとつぶやとリュウジは無表情で見つめてきた。「なにが?」「来なくていい。リュウジが来ると目立つし週刊誌に撮られるよ」「もう、撮られたけど。近いうちに載るんじゃない」なぜに、そんなに堂々としているのだろう。「何か食べたいものあれば持ってくるから、メール届くようにしてね」「リュウジ」「ん?」「結婚したいって言ってごめんね」「……謝るようなことじゃないよ」「幸せになってね」「いろいろ言い返したいところだけど、時間がないから行くから。俺は芽衣子と別れたつもりはないからね。じゃあ、行ってくるね」リュウジは、部屋を出て行った。きょとんとする私。今の話の流れからすると……付き合ってるみたいな口ぶりだ。面倒をみてくれたし、優しいけれど。宝石店で女性といるところも目撃したのだから、流されてはいけない。リュウジは優しいから私を放っておけないのだ。ナースが入ってきた。「ご気分はいかがですか?」「かなりいです」体温計を渡される。脈拍を調べて点滴チェックをしてくれた。「顔色もいいですね」「ありがとうございます……」にっこり微笑んでくれるナースの笑顔に安心して、癒される私。そこにドクターが入ってくる。かなりイケメンで若いのに胸には副医院長と書かれていた。「おはようございます。主治医の高瀬です」「……おはようございます」「昨晩はかなり高熱だったため入院していただきました」そのタイミングで体温計が鳴った。熱は平熱に下がっていた。「食事はできそうですか?」「はい」「それであれば、明日に退院しても問題ないので、今日一日は安静にしていてください」「わかりました」ニヤリと笑い出すイメケンドクターさん。「な、なんでしょうか?」「ずっと心配して付き添っていましたよ。素敵な彼氏さんですね」「はい?」
Last Updated : 2025-01-20 Read more