*十月になると、引っ越しの準備をはじめた。4LDKで少し広めの家に移ることにしたのだ。今月の半ばには、この家を出ていこうと思っている。もし子供が増えたら一軒家を建てようかとも話をしていた。私と彼の誕生日は六日しか変わらない。引っ越しもするし、忙しいので今日はささやかな誕生日パーティーを二人ですることにした。今日は自宅でピザを注文しケーキは大くんが買ってきてくれた。「誕生日おめでとう」貰い物のワインで乾杯をする。「美羽も三十路か」「信じられないね」はじめて出会った頃はまだ十代だった。お互いに子供で何もわからなくて。その時の私たちは私たちなりに真剣に生きてきたのだ。「おばあちゃんになる美羽を見るのも楽しみだ」「私も。大くんは年齢を重ねてもずっとイケメンなんだろうな」「努力していかないとな?」お互いにプレゼントを購入していたので交換をする。大くんは私に可愛らしい髪の毛のアクセサリーをくれた。「すごく可愛い!」「気に入ってくれてよかった」私からのプレゼントは、手作りのクッキーと手紙にした。「すごく嬉しい」手紙をじっと見つめてニヤニヤとしていた。そして急に私のことを抱きしめて優しくキスをはじめたのだ。甘すぎる二人だけの誕生日会になったのだった。
最終更新日 : 2025-01-19 続きを読む