荷物をまとめて別荘を出ようとした時、ちょうど三浦美香を連れて帰ってきた母と鉢合わせた。後ろには、使用人たちが大量のショッパーを抱えていて、母と美香は手をつないでまるでこの世で最も親密な母娘のようだった。私の手にあるスーツケースを見て、美香はわざと驚いたふりをして言った。「美保、お母さんがプレゼントを忘れたからって、家出することないでしょ?」私はスーツケースを置き、二人を見ながら言った。「誕生日のプレゼント?もうもらったじゃない。18歳の時、あなたたちは自分の口で私を18階の屋上から突き落とさせたでしょう。こんな大きなプレゼント、誰だって重すぎると思うよ」私の言葉を聞いて、母の眉間には見覚えのある苛立ちが浮かんだ。彼女は面倒くさそうに言った。「美保、あれはただの事故だったのよ」「誘拐犯がどうしても二者択一しろと言ってきたのよ。美香を見殺しにしろって言うの?」「それに、あなたはこうして無事に立ってるでしょ」18階の屋上から突き落とされ、クッションの上に落ちたとはいえ、私は3ヶ月も病院で寝たきりで、ようやく歩けるようになった。その間、誰一人として私を見舞いに来なかった。これが私の家族なのか。本当は私が彼らの実の娘なのに、美香の両親に取り違えられて、15年も飢えや虐待に耐えてきた。それでも、彼らは全身全霊で美香を優先する。この私から十数年もの間、身分を奪い続けた人を。挙げ句の果てに、私は常に疑われ、冷たく扱われ、悪意を向けられる。かつてはそんなことに心を痛めたこともあったが、今は何も感じない。もう引っ越し先も見つけたし、少しばかりの貯金もある。これで高校卒業まではなんとかなる。これからは、三浦美保として新しい人生を歩む。私はバッグを肩にかけ、スーツケースを引いて、彼らを見ながら言った。「美香を助けるのは当然かもしれない。でも、私も生きたい。あなたたちが美香を選んだなら、もう美保は死んだものだと思って。これからは、二度とあなたたちの邪魔はしない」美香の顔には一瞬喜びが走り、何かしらもっともらしい言葉で引き止めようとしたが、母はすぐに冷たい表情を浮かべた。「美保、それはあなたが言ったことよ。今後、土下座して頼んできても、もう二度と三浦家には入れないわよ」私はうなずき、きっぱりと言い放
最終更新日 : 2024-10-10 続きを読む