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第4話

私はふと横を向いてみると、数日ぶりに姿を見せた智也だった。

真由美が私の袖をそっと引っ張り、小声で聞いてきた。

「これがあなたのお兄さんなの? なんか見覚えがある気がするけど?」

私は少し顔を曇らせて、首を振りながら答えた。

「知らないわ。人違いでしょ」

けれど、私がそう言った直後、智也はそのまま教室に入ってきた。

「美保、ちょっと話したいことがあるんだ。少し出てきてくれないか?」

智也の目は赤く、以前の高慢さは影を潜め、今はどこか気落ちし、動揺しているようだった。まるで別人のように見える。

私は顔を背け、苛立たしげに言った。

「三浦さん、何の用ですか?それとも、あなたの可愛い妹・美香がまた機嫌を損ねたから、私に嫌がらせに来たの?今度は何? 悲しそうなふりをして私を騙して連れ出し、また数千万のブレスレットを渡して、盗んだと嘘をついて私を捕まえるつもり?勝手に一人で自己満足に浸るのは、もう付き合ってられないわ」

その場にいた全員が、このやり取りに驚いて固まってしまった。

智也がまだ立ち去らないのを見て、私は真由美に担任を呼んできてもらうよう示して、自分は智也を外に連れ出した。

智也は懐から小さな箱を取り出し、まるで宝物のようにそれを私に見せた。

中には綺麗なダイヤモンドのブレスレットが入っていた。

「美保、誕生日プレゼントを渡せなくてごめん。これはその代わりだ。心配しないで。これからは毎年、兄さんがちゃんと君の誕生日を祝うよ」

私はそのブレスレットをそのまま地面に叩き落とし、うんざりしながら言った。

「智也、いい加減にしてくれない?自分の妹は美香だけだって言ったのは誰?美香を助けるために私に死ねと言ったのは誰?私を脅して、誹謗中傷して、挙げ句の果てには罪を着せて侮辱したのは誰? 今さら謝ったふりをして信じろって?私をそんなに簡単に騙せると思ってるの?」

智也は焦ったように、まるで子供のように必死に言い訳をし始めた。

「違うんだ、美保、騙すつもりなんかない!」

「これから言うことは信じられないかもしれないけど、全部本当なんだ!俺は......俺は生き返ったんだ。あのニセ令嬢・美香が、俺たち家族を皆殺しにしたんだ!」

「彼女はある男のために父さんを殺して、母さんを狂わせ、俺を廃人にしてベッドに縛り付けたんだ。美保、兄さんは間違ってた
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