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第5話

私がドアを開けると同時に、三浦母の驚きと喜びに満ちた表情が目に飛び込んできた。

三浦父が止める間もなく、三浦母は真っ先に私の前に駆け寄ってきた。

「美保、やっとママに会ってくれる気になったのね!」

三浦母の興奮に対し、私の反応は冷たかった。

彼女の手を押しのけ、渡辺先生と横にいた校長に向かって言った。

「先生、家族以外の人間や職員以外の者は、学校内に入れない決まりだったと思いますけど?」

渡辺先生は驚いて目を見開き、興奮している三浦家の人たちを見つめた。

「美保、これは......」

「違います」

私はきっぱりと言い切った。

「私は親なんていません。ずっと一人で生きてきました。もしこの人たちが私の親だと言うなら、証拠を出してください。戸籍謄本、出生証明書、親子鑑定書、私の体にある印、もしくは私にお金をかけたという証拠、何でもいいです。三浦夫人、出せますか?」

三浦母は顔色を失い、口を動かそうとするが言葉が出なかった。

昔、三浦家が私と三浦母の顔があまりにも似ているという理由で、親子鑑定をしたことがあった。

だが、美香が少し泣いて不満を漏らすと、三浦母はその鑑定書を破り捨て、私に向かって言ったのだ。

「どうであれ、私は美香だけを娘と認めるわ。あなたなんか、三浦家が食べさせる必要もない。でも、美香を越えようなんて思ったら、許さないからね」

あの時は失望したけれど、今はむしろこの家と関係を断ち切れたことを幸いに思っている。

三浦父が三浦母を支え、私に懇願するような目を向けた。

「美保、パパもママも間違っていたことはわかってるんだ。どうか、私たちにもう一度チャンスをくれないか?お前は私たちの実の子供だよ」

またその言葉。私はもう耐えきれず、苛立ちながら言った。

「実の子供?」

私はそばにいる智也を指さした。

「実の子供ってのは、智也が南町一高で順調に高校を卒業し、海外留学の輝かしい履歴を持っているような子のこと?美香は血縁関係がなく、成績が足りないのに、1億の寄付で南町一高に入学して、今でもお嬢様気取り。それに比べて私は、学籍を意図的に外されて、他の高校にすら受け入れてもらえなかった。南町に何校高校があるか知ってますか?公立私立合わせて36校、そう、全部で36校も!40度の炎天下、私は毎日自分の進学先を求めて走り回ってた。でも、返っ
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