私と月島綾夏が烏森藍璃に落とし入られたのは、今月の三度目だった。私は綾夏と天界の霊池の前に立っていて、烏森藍璃がだんだん沈んでいくのを見ていた。池の水面に残ったのが泡の一抹だけになったまで、私たちはただそこで見ていた。綾夏は眉間に八の字を寄せながら、鼻で笑った。「烏森藍璃、もうその三文芝居をやめなさい」彼女が言い終えたそば、私たちの後ろから何かに急かされたかのような足音が聞こえてきた。私は綾夏の袖を軽く引っ張り、口を開くのに間に合う前に、誰かに池にほうへ押し付けられた。そして、自分を押したその力につられて、私は池に落ちた。耳元に響いていたのが、「和葉!」という綾夏のどぎまぎした叫び声だった。私はなんとかして手足を動かして、水面に浮き出すことに成功したが、私の目に映っていたのは、自分の主人であるはずの人、天界の景山皇子が、思わず池に飛び込んだ光景だった。それなのに、彼は私のいる方向とは真逆のほうへ泳いていった。勝手に池の底に沈み、気を失った烏森藍璃をお姫抱っこで、岸辺に運んで応急手当をし始めるまで、彼はずっと私に目もくれずにいた。鼻に水が濯ぎ込み、気を失いかけていたその突端に、私は誰かが私の体を自ら引っ張り出しながら、岸辺をよっていくのを感じた。私の耳元は綾夏の焦りに満ちた声に囲まれた。「月島和葉!ここで死するな!和葉を無くして我はどうしましょう!」綾夏は往復に私の胸を圧迫し続けた。胸の中まで入り込んだ水を全部吐き出した後、私はようやく意識を取り戻せた。私は微かに微笑んで、衰弱していた体を彼女の懐によりかけてから言った。「死なないから大事ない」私は振り向いて、術で気を失った振りをしていた烏森藍璃を呼び覚まそうとしていた五十嵐景山を眺めた。術を施していた景山の手は微かに震えていた。「藍璃、起きよう......天界はもうそなたを失うわけには......」綾夏は私が緩やかに立ち上がるのを支えてくれた。そして、そんな彼女の口から、景山への咎め文句が出てきた。「五十嵐景山、そなたのその瞳は飾り物か!和葉がそなたに池に突き落とされたのが見えていないか!」「烏森藍璃殿には、霊力の加護があり、死することはあるまい。なれど、和葉は人間じゃ。言わんや、そなたの.....」綾夏の話にまだ続きがあった
Read more