柔がしばらく姿を消していた亜矢子が再び現れると、彼女はすぐに隼人の袖を引っ張り緊張した様子で言った。「隼人お兄さん、早く彼女を止めに行きましょう。ちゃんと話せばきっと彼女も納得してくれるはずです。あなたは宮沢グループの社長で、影響力も大きいですし、隼人お兄さんが頼めば、彼女もきっと私のためにウェディングドレスをデザインしてくれると思います!」隼人は眉をひそめ、仕方なく柔に引きずられるようにして進んだ。「亜矢子さん、実は今日は、私のためにウェディングドレスをデザインしていただけないかお願いに参りました。来月、隼人と結婚式を挙げる予定で、盛大な式になる予定です。全国中継もされるんですよ」 柔は隼人の腕に甘えるように寄りかかり、得意げな表情を隠せなかった。「もし亜矢子さんのデザインしたウェディングドレスを私が着たら、全国の視線が集まります。それって、素晴らしいプロモーションじゃないですか?お金の問題はありません。何かご要望があればおっしゃってください、すべてお応えしますよ。私たちは本当に誠意を持ってお願いしているんです!」「お金は問題じゃない?さすが、宮沢家に嫁ぐ人だけあって、太っ腹ですね」 亜矢子は笑い、一つの指を立てた。「じゃあ、20億円で考えてあげます」「な、何ですって?!そんなの高すぎます!」柔は驚いて目を見開いた。「ふん、お金は問題じゃないって言ったのはそっちでしょう?20億円くらいで未来の社長夫人が怖気づくなんて」「20億円、いいだろう」隼人は表情を変えずに言った。「隼人お兄さん......」柔は唇を噛み、感動して泣きそうになった。「彼ができても、私はできません」亜矢子の笑顔は冷ややかだった。隼人は眉をひそめ、自分がからかわれたような気がした。「私の先生は寛大だから許してくれたかもしれませんが、私は許しませんよ。柔ちゃん、あなたの結婚式だけでなく、これから先、Rozabelaのオートクチュールは一切貸しませんから、そのつもりで」 亜矢子は言い放ち、傲慢な様子で去っていった。一言も無駄にすることなく。柔は悔しさに歯を食いしばりながらも、心の中では彼女を罵倒しつつ、顔にはあたかも被害者のような困った表情を浮かべていた。「隼人お兄さん......小春さんが彼女に何か言ったせいで、私たちにこんな敵対的な態度
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