鈴楠は美月の電話番号をもらってから、小虎を抱えて外に出た。伸宏は彼女がこんなに早く出てきたことに驚いたが、鈴楠はにっこり笑って小虎を見せた。「美月がこれを私にくれたの。連れて帰ってもいいですか?」伸宏の目には一瞬の驚きが浮かんだが、その後、笑って言った。「もちろんです。彼女の私物なので、会社とは関係ありません。彼女があなたにくれたのなら、持って帰っても大丈夫です」 伸宏は小虎をなでながら、「じゃあね、ちび、ちゃんとするんだよ......」と別れを告げた。 「ふん、やっと美女と一緒に帰れる......」 伸宏は苦笑しながら、「それじゃ、帰りましょう。送ります」と言った。家に戻ると、鈴楠は小虎との絆を深めたいと思っていたが、突然携帯が鳴った。見ると、三兄の翔太からのビデオ電話だった。 小虎は家に入るとすぐに、まるで好奇心旺盛な子供のように周りを見回し、豪華な装飾や高級家具に「わぁ」と感嘆の声を上げ、しっぽを振った。そして、200万円もするエルメスのスカーフの上にジャンプして座り、ふわふわの座布団のように使い、快適な位置を見つけて寛いだ。 翔太はデビューから六回連続最優秀男優賞を受賞し、挑戦できるものがなくなって海外に飛び出した。その顔はまさに完璧で、天から授かった美貌としか言いようがない。口元を少し上げるだけで無数のファンを魅了した。「おお、可愛い妹よ、ますます美しくなったね......」鈴楠は髪を軽く整え、遠慮せずに答えた。「ずっと美しさで勝負しているから、仕方ないわ」 翔太は舌打ちをし、鈴楠の図々しさに感心したように笑いながら言った。「君の離婚を祝うために、次の撮影をキャンセルしたよ。明日帰国するから、空港に迎えに来てくれよな......」鈴楠が返事する前に、翔太は電話を切ってしまった。鈴楠は仕方なく、小虎の頭を撫でながら話しかけた。「君には名前があるの?何て呼ばれるの?」「僕の名前は坊やだよ。」小虎は手のひらをすりすりした。 鈴楠は苦笑いしながら、「それなら、君には名前をつけよう。佐藤小虎って呼ぶね。これからは佐藤小虎だよ、かっこいいでしょ?」と言った。 小虎はその名前を気に入ったようで、「すごくかっこいい!僕は元々威風堂々の大虎だよ!」と喜んだ。小虎は寝るときは本当に動物そのもので、ひと眠りすれば、
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