白井清子はデザインを学んだ正統派で、以前六年間の実務経験もあった。一次試験は問題なく通過した。しかし、江川グループの人事部から電話を受けたとき、彼女はほっと息をついた。「わかりました。必ず指定通りに二次試験を受けに行きます」最初は、江川宏が彼女の足を引っ張るのではないかと心配していた。実際、江川グループに履歴書を送るつもりはなかったが、江川グループは給与が一番良い会社で、今は自分に合った他の仕事を見つけるのも難しかった。今、彼女に一番必要なのはお金だった。江川宏はすでに山名佐助に指示して、母親の転院手術や入院中の費用を手配してくれていたが。心臓病の回復には長い療養期間が必要だった。どこにでもお金がかかるんだ。彼女は、江川宏が堂々たる社長で、このような職位に関心を持たないことに賭けていた。「清子......」電話を終えて病室に戻ると、目を覚ましたばかりの母親が心配そうに彼女を見つめた。「私があなたに迷惑をかけてるんだわ......」「母さん、何を言ってるの?」白井清子は目が少し熱くなり、下を向いて目を潤ませながら、声を詰まらせて言った。「昔、こんなに大変な中で私を育ててくれて、私はあなたに迷惑をかけたことなんてなかったでしょう?今、どうしてそんなことを言うの?」白井の母は彼女の手を握り、何度も言いかけては黙って、ようやく口を開いた。「あのね......本当のことを教えて、手術費用はどこから出たの?どうして......急にそんな大金が?」「母さん!」白井清子は母親の言いたいことを察して、急に顔を上げて真剣に説明した。「心配しないで、私は絶対に悪いことはしてない!ただ......良い人に出会っただけよ!その人が私たちを助けてくれるって」ある意味、江川宏は彼女にとって......確かに良い人だった。そうでなければ、今頃彼女は母親の反論にすら答える資格がなかっただろう。白井の母は確認した。「本当に?」「本当だよ!」白井清子はしっかり頷いて、仕方なく言った。「母さん、何を考えてるの?」「それなら良かった......」白井の母は安心した様子で息をついた。「それじゃ......その人は一体誰なの?」「その人は......」白井清子は母親の布団を整えながら、少し微笑んだ。「すごい人
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