晋太郎の顔が凍りついた。「黙ってろ!」彼は鋭く言った。「朔也、まだ着ていない新しい服があるわよね?」紀美子は椅子から立ち上がり、「着替えに行きましょう」と促した。「そうだね、僕の体型とそんなに変わらないし、タグを外していない服もたくさんあるよ」朔也も笑顔で答えた。晋太郎は紀美子を見つめ、何も言わずに彼女と一緒に階段を上がった。2階へ。紀美子が洋服を探して晋太郎に手渡した。「早く着替えて。風邪を引かないように」紀美子は自然な調子で言った。晋太郎は洋服を受け取り、軽く彼女を見つめながら言った。「心配してくれるのか?」紀美子は驚いて目を見開き、自分の態度が彼に対する思いやりに満ちていることに気づいた。慌てて紀美子は口を開いた。「着替えなさい、私は外に出るから」晋太郎は紀美子の腕を掴んで留めた。「タオルは?シャワーを浴びたいんだ」紀美子は頷いた。「あります、取ってくるから」そう言って、紀美子は手を引き、部屋を出た。タオルを取りに行く途中、紀美子は後悔していた。自分が晋太郎のことを気にかける態度は、そんなにわかりやすかったのだろうか?もしそうなら、佳世子たちにも気づかれているだろうか?紀美子はため息をつき、タオルを持って再び朔也の部屋に戻った。ドアを開けると、浴室の明かりが点いていたので、紀美子はタオルを持ってそちらに向かった。ドアの前に立つや否や、晋太郎が上半身裸で立っているのが見えた。彼の背中には大きなやけど痕があった。お茶がどれほど熱かったのか。紀美子は目を見開いた。視線を感じて、晋太郎が振り返り、興味深げに紀美子を見つめた。「私の体に興味があるようだね」紀美子は視線を逸らせ、緊張しながら説明した。「違うわ、ただあなたの背中を見ていただけ……」「それでも見てるじゃないか」晋太郎は口角を上げ、紀美子に近づいた。「何か考えがあるなら、別に構わないよ」紀美子は二歩後ずさり、「早くお風呂に入りなさい、私は出ていくから」と言った。晋太郎は紀美子の手首を握り、自分の胸に引き寄せた。彼の温かい息が耳元で感じられ、「したことないわけじゃないじゃないか」と囁いた。首筋に感じる熱気により、紀美子の肌には鳥肌がたった。それに加
Last Updated : 2024-11-20 Read more