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第0153話

翌日。

綿は診療記録を見ながら、イヤホンから聞こえる玲奈の声に耳を傾けていた。「来月のクルーズパーティーのこと知ってる?」

「うん」綿はうつむきながら答えた。彼女は白衣をまとい、内側にはピンクのシャツを着ていて、とても似合っていた。

「去年、主催者の一人と一緒にそのクルーズパーティーに参加したんだけど、本当に汚かった」玲奈はあくびをしながら続けた。

綿は微笑んだ。金持ちの世界が清潔であるはずがない。外向けには単なる社交の機会に過ぎないが。

「あるブランドのオーナーが今年も私に一緒に参加してほしいと言ってきていて、受けるかどうか迷ってるの」玲奈はため息をついた。

「私も行くつもりよ」綿は言った。

玲奈は驚いた様子だった。「ええ、聞き間違えたんじゃない?」

綿は輝明と結婚して以来、こうしたイベントには一切参加していなかった。今や離婚が現実味を帯び、彼女の心も解放されてきたのかもしれない。

綿は眉をひそめ、気だるそうに言った。「私も誰かと少し刺激を楽しむのはどうかしら?」

玲奈は一瞬黙り込み、三秒ほどの沈黙の後に問いかけた。「本気なの?」

綿の唇にはほのかな微笑みが浮かび、彼女は意味深に答えた。「婚内浮気の感覚をちょっと楽しんでみたいの」

玲奈:「賭けてもいいわ、あなたにはできない。」

彼女はとても断言する。

綿は絶対にそんなことをしない。彼女は輝明のために貞操を守るだろう。

綿はため息をついた。「じゃあ、クルーズパーティーに一緒に行こう。私がやるかどうか見てて」

玲奈は一瞬息をのんだ。綿の口調に、本気の響きを感じたからだ。

「綿ちゃん、あなた……」玲奈は言いかけて言葉を止めた。

ちょうどその時、誰かが「玲奈先生、撮影が始まります」と声をかけたのだ。

玲奈は話の続きを言わずに忙しさの中に戻っていった。

綿は電話を切り、笑みを浮かべた。彼女は突然、クルーズパーティーを少し楽しみにしていることに気づいた。

もしかしたら、何か新しいことが起こるかもしれないと感じたからだ。

デインン―

綿のスマートフォンが再び鳴った。

天河:「今晩の食事、忘れないでね」

綿:「わかったよ、パパ。うるさいなぁ」

彼女は電話を切り、すぐに仕事に取りかかった。

夜の勤務が終わると、綿は急いで仕事場を出た。最近、綿が仕事の後すぐに帰ることが多く、
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