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第0151話

輝明は携帯を握りしめ、その手が強く把握した。頭の中にさっきの男の姿が突然よぎった。確かに、彼は司礼とよく似ていた。

つまり、綿と司礼はすでにホテルで会うまでの関係に進展しているのか?

綿は昨夜、どうして顔色一つ変えずに自分と同じエレベーターに乗り、司礼に会いに行けたのか?

二人は腕を組んで抱き合って、これが彼に対する挑発でなければ何なのか?

そう考えると、輝明の心は言いようのない苛立ちと憤りでいっぱいになり、すぐにでも戻って綿を捕まえて真相を問いただしたくなった。

彼の携帯とグループをハッキングし、振り向けば他の男とホテルで会うなんて!

離婚を決めてからというもの、彼女は何度も何度も彼を驚かせ、彼女を再認識させた。

綿は帰り道で突然大きなくしゃみをした。彼女は鼻を揉みながらつぶやいた。

「今日は風邪をひいたかな?そんなことはなかったはずだけど」

デインン——

綿の携帯が鳴り、メッセージが届いた。

「明日何時に来る?一緒に食事しようね!」

綿はため息をつき、以前と変わらず甘えん坊だ。

「それと、私の言ったことをよく考えて。すぐに答えなくてもいいからね!」

綿は無視して携帯を放り、相手に返事をしなかった。

……

次の日。

綿はいつものように出勤し、夜は仕事が終わるとすぐに家に帰った。

帰った際、ちょうど病院に嬌を見に来た輝明と鉢合わせた。二人は冷たい視線を交わしただけで、すれ違った。

エレベーターの前に立っていた輝明は、隣で交代勤務中の医者たちが話しているのを耳にした。

「綿先生は旦那さんと仲が良いみたいだね。最近、仕事が終わったらすぐに帰るようになって。新婚の夫婦みたいだな」

「そうだね、前はそんなに積極的に退勤することはなかったのに。最近は本当に積極的になったね」

その言葉を聞いた輝明の顔色が一瞬で変わった。

新婚の夫婦、仲が良い……

それは全く自分たちのことではない。

そう思うと、輝明は無意識に綿が去って行った方向を見つめた。

輝明は持っていた果物の袋をきつく握りしめ、森下にメッセージを送った。「司礼の行動予定を調べろ」

五分後、森下から返信があった。「今晩、セントラルホテルに行く予定です」

輝明の顔色はさらに暗くなり、さっきの綿の急いでいる様子を思い浮かべると、すぐに後を追った。

夜の七時、セントラル
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