第0075話

数人の医者があまりに乱暴なので、彼自身で治療をすることに決めた。

「いやだ」綿は後ろに退いた。

「君に拒否する資格はない！」輝明は厳しい口調で言った。

綿はさらに後ろに身を引き、背中が欄干に当たるまで逃げた。その瞬間、彼女は痛みに顔を歪めて息を呑んだ。

輝明は綿の異変に気付き、ヨード液とピンセットを手に取り、声を低くして尋ねた。「どこが痛むんだ？」

綿は涙目で輝明を見上げ、その杏のような目は鋭さを失い、ただ無力さだけが残っていた。

輝明の心は何かに引っかかれたように感じ、苛立ちが増してきた。「どこが痛むか聞いてるんだ、答えろ！」

まったく、こんなにも彼を悩ませるなんて。

綿が負傷してから、彼の心は一刻も静まらず、何かが引っかかっているような気がしてならない。

綿は目を伏せ、指先を背中に向けて示した。

輝明は綿の背後に回り、彼女の蝶のタトゥーの下に小さな破片が刺さっているのを見つけた。綿の肌は元々白く繊細で、その破片が刺さった部分は赤く腫れていた。

輝明は思わず手を伸ばし、冷たい指先が綿の背中に触れた。綿の体が一瞬震えた。

輝明は彼女の横顔を見つめ、複雑な感情を抱いた。彼は慎重に破片を摘み取り、ヨード液で傷口を消毒し、止血用のガーゼを貼った。

次に他の破片がないか確認しようとしたとき、目が蝶のタトゥーに留まった。輝明は眉をひそめ、指先でタトゥーに触れた。

タトゥーの下、彼女の肌は滑らかではなかった。

輝明は突然尋ねた。「ここに傷跡があるのか？」

綿は目を上げ、すぐに輝明の手を払いのけ、冷静に答えた。「ないわ！」

輝明は目を細めた。ない？

彼はすぐに綿の肩を押さえ、再びタトゥーを撫でた。その下に確かに傷跡があった。その傷跡の位置と角度は、嬌の傷跡と全く同じだった。

綿が輝明の手を押し返そうとしたが、彼は聞いた。「ここで怪我をしたのか？この傷はどうやってできたんだ？」

綿の心は揺れた。彼女は認めたくなかった。これは四年前、輝明を助けたときにできた傷跡だった。

この話は、彼女の傷跡を露わにし、自分がどれほど愚かであったかを再び思い出させるだけだ。愛されない人のために命を賭けたにもかかわらず、その人の少しの愛も得られなかった。

綿はドレスの裾を整え、冷淡な表情で静かに語り始めた。「子供の頃、高いところから落ちて、花瓶にぶつかって