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第0024話

「韓井家が初めて訪問するのに、綿ちゃん、なんでそんな服着てるの?!」

「果物が少なすぎるわ。もっと用意して!」

「綿ちゃん、早く!そのジーンズはだめ、スカートに変えてきなさい!」

 盛晴は忙しく立ち回り、綿が着ている白いTシャツとジーンズも問題視された。

「行って、お母さんの言うことを聞きなさい」桜井天河が綿を促して、服を変えるように示した。この格好では、これからの場にはふさわしくない。

 綿は鏡の前で自分を見つめ、口をとがらせた。だめなの?この格好、素敵だと思うのに。彼女は天生のモデル体型で、何を着ても似合うはずだ。

 綿が階段を上がって服を変えようとしたその時、外から声が聞こえた。「奥様、韓井家が到着しました!」

 綿の腕が盛晴に引っ張られ、「服を変える時間はないわよ、もう来てるわ」と言われた。

桜井綿:「……」

 両親がこんなに緊張しているなんて、どうしたの?普段はこんな風にお客さんを迎えないのに。今回の韓井家の訪問は、彼らにとって特別な意味があるのだろうか?

 まさか昨日、彼女と司礼が会ったことで、結婚の話でも持ち上がったのか?

「ママ、彼らはただ私の命を救ってくれたことに感謝するために来たんだよ」綿は盛晴にそう言った。

「感謝とかそういうのはただの口実なのよ、バカな子!」盛晴は彼女を一瞥した。

桜井綿:「……お母さん、本当に感謝の気持ちだけだよ」

 盛晴は面倒くさそうにしながらも、玄関のドアを開けると、「口実なのよ。司礼があなたに気があるの!」と言った。

 ドアが開くと、韓井司礼と韓井総一郎がきちんとした服装で立っていた。その後ろには執事と二人の助手がいて、彼らは皆手にいっぱいの贈り物を持っていた。

「韓井さん!」桜井天河は笑顔で韓井総一郎に近づき、抱き合った。綿は司礼に軽く頭を下げ、「韓井さん」と挨拶した。

司礼は綿を見て、目を輝かせた。「今日の装いはとても特別ですね」

 普段見かける綿はスーツやドレスを着ていたが、今日はとても清純で大学生のようだった。

「お母さん、司礼さんが私の装いを特別だって褒めてくれたわ!」綿はすぐに盛晴に自慢げに言った。

 盛晴は笑顔を浮かべることなく、韓井総一郎をじっと見つめた。「社交辞令ってわからないの?」

「奥様、これは本心です。私は本当に綿さんの装いが特別で、彼女にとても似合って
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