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第0022話

次日、夜。紫苑レストラン。

綿は見合いの場所にやって来た。綿は両腕を胸の前で組み、窓の外の風景を見ていた。彼女は今日、白いオフショルダーのショートドレスを着ており、とてもセクシーだった。

「桜井綿さん?」背後から男性の声がした。

この声、どこかで聞いたことがあるような気がした。綿が振り返ると、その人物を見て驚きの表情が浮かんだ。

「韓井司礼さん?」綿は震えるように言った。見合いの相手が、まさか司礼だとは!

だからあの夜、父が彼を救った話を聞いてあんなに興奮していたのか。

男性は彼女を見て穏やかに微笑み、優雅で洗練された姿が際立っていた。

「そうです」

彼は非常に紳士的に椅子を引き、綿に座るよう促した。綿は驚きを隠せないまま彼を見つめていた。

「驚きましたか?」司礼は視線に少し気まずそうな表情を浮かべた。

彼は綿よりも年上で、綿にとってはまだ若い女性だった。今日、彼女を間近で見ると、彼女は本当に美しいと感じた。

彼女はもともと色白で、この白いドレスを着るとまるで光り輝いているようで、目を離せなかった。あの夜の宴席で彼女を見た時も、彼はすでに彼女に惹かれていた。

そして今日、彼女はさらに彼の目を奪った。

綿は笑ってうなずき、尋ねた。「とても驚きました。司礼さんはどうですか?」

「あなたのおかげで、父は元気になりました。訪問して感謝を伝えたかったのですが、最近は本当に忙しくて……申し訳ありません」司礼は一言一言を慎重に、優雅に話した。

綿は彼の前に座りながら、どこか自分が場違いに感じていた。

「気にしないでください。お父様が元気でいらっしゃるなら、それで十分です」綿は微笑んだ。

「では、食事を始めましょうか?」司礼が尋ねた。

綿はうなずいた。「はい」

彼はウェイターを呼び、メニューを綿に渡した。

食事中、綿は突然言った。「司礼さん、お互いよく知っている間柄ですので、率直に申し上げます。私はまだ高杉輝明との離婚が成立していません」

「聞いています」彼はうなずき、特に気にしている様子はなかった。

「あなたは素晴らしい方です。私は自分がふさわしくないと思っています。今日の食事は友人同士の食事として楽しんでください。司礼さん、どうぞお気を悪くしないでください」

綿は、見合いの相手を無駄にしたくないという信念から話した。

司礼は驚い
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