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第7話

この言葉を聞いて、亜也加はかなり嬉しくなった。

「死んでくれたらいいのに、私は佐原家の財産を争う人間がいて欲しくないんだから」

「しばらくして、あの邪魔な女も片付ける」

「その後、私たちはお金を持って直接出発し、後半生は心配する必要がない」

男性は少し酒を飲んだようで、興奮して言った。

「君は本当に冷酷だね」

「当初、あの刑事は君を誘拐されたかわいそうな子供だと勘違いして救出した。しかし、君が裏切り者だとは思わなかった」

「言われてみれば彼らは本当に愚かだ。自分たちの実の娘を信じず、君というよそ者を信じるなんて」

「この何年もの間、君が俺をかばってくれたおかげで助かった」

「さもなければ、あの小娘がとっくに俺の行方を突き止めていただろう」

「あの復顔師は本当に哀れだ。君を、彼女の家を滅ぼし大切な人を奪った仇とも知らず、まるで宝物のように愛しているなんてな」

この言葉を聞いて、亜也加が明らかに怒りだした。

「黙りなさい。もしあの時私が時間を稼いでいなかったら、あまたの計画は崩れていたはずよ」

「その刑事に関しては、彼が私の正体を見つけたのはどうしてだろう」

「だからこそ、私は彼を永遠に沈黙させるしかなかった」

「それにしても、晴美はしぶとい。あんな高さから落ちて脚を折っただけだなんて、運が良すぎる」

男は気にも留めずに言った。

「どれだけ命が強くても、結局は俺たちの手で死ぬ運命だ。俺を暴こうなんて、夢のまた夢だ」

……

二人の会話は、周囲の人々の耳にしっかりと入っていた。

誰もが予想していなかった。あんなに純真無垢に見えた亜也加が、こんなにも冷酷非情な人間だったとは。

彼らが亜也加を捕まえようとしたその瞬間。

亜也加は逃げ出した。

警察がすべてを掴んでいると察したのだろうか、彼女は家の財産をすべて持ち去っていた。

亜也加の反追跡能力は驚異的で、警察は半月経っても何の手がかりも掴めなかった。

山田たちに比べ、母は驚くほど静かだった。

最初に泣き崩れたのを除けば、母は感情をすべて失ってしまったかのようだった。

それでも母は毎日似顔絵を描こうとし続けたが、どうしても描けなかった。

手元の紙は、私の死亡を知ったあの日から、まるで呪いがかかったかのように機能を失っていた。

山田は当初、母が何かしらの手がかりを提供してくれ
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