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第6話

母は何度も電話をかけるが、受話器の向こうからは何度も同じ声が響いてくる。

「申し訳ありませんが、おかけになった電話は電源が切れています。しばらくしてからおかけ直しください……」

山田が母を引き止めようとしたが、母は突然立ち上がり言った。

「そうだ」

「まだ亜也加がいる」

「晴美は数日前に亜也加に電話をかけている。きっと彼女なら晴美を見つけられる」

母は山田の制止を振り切り、そのまま警察署を飛び出して車に乗り込み、家へと急いだ。

私は母の後を追い、家に戻った母が狂ったように亜也加の名前を呼ぶのを見守っていた。

後を追って駆けつけた山田叔父が慌てて言った。

「晶子、落ち着いて」

「すでに晴美の携帯電話の位置を特定するよう手配した」

「あなたも亜也加に電話して、詳細を確認し、犯人を見つけられるかどうか見てくれ」

母は何度も頷き、その時ちょうど亜也加がドアを開けて家に戻ってきた。

他のことを気にする余裕もなく、母は駆け寄って亜也加を掴んだ。

「亜也加、お母さんに話して」

「晴美が電話で何を言ったの?」

「早くお母さんに言いなさい」

亜也加は驚いて、言葉を詰まらせながら言った。

「それは……その話だよ」

「お母さん、あなたは知っているでしょう?」

「晴美はまだ私が父を殺したと思っていて、私が犯人だと言っている」

「でも最初は確かに晴美だった……」

母は突然亜也加を地面に突き倒し、大声で叫んだ。

「違う!」

「全然、晴美じゃない!」

……

山田の携帯電話が鳴り、受話器からはっきりとした力強い声が響いた。

「晴美の携帯電話は、晶子の家にあるって」

その言葉はまるで頭に打撃を受けたかのように、母は驚きでしばし呆然とした。

母は一瞬亜也加を見つめた後、彼女の制止も待たずに亜也加の部屋に飛び込んだ。

最後に亜也加の棚の中で、母は私の携帯電話を見つけた。

亜也加は慌てて母の手を掴み、焦った様子で言った。

「お母さん、これは前に拾ったものです」

「ただ怖くて、お母さんに捨てられるんじゃないかって怖かったの」

「だから私は、晴美が私を悩ませているように見せかけたのです」

山田はすぐに異変を感じ取り、亜也加を掴んで問い詰めた。

「どこでそれを拾ったんだ?」

「それが晴美の携帯だとなぜ確信しているのか? それにどうやって彼
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