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第3話

山田との不仲で別れたことで、母の顔色が非常に悪くなった。

しかし、家のドアを開けて亜也加を見ると、すぐに笑顔が浮かんだ。

「亜也加、お母さんがあなたの大好きなマンゴーケーキを持ってきたよ」

亜也加はペンを置き、親しげに母の手を取った。

「お母さん、本当に優しいね」

母はわざと顔をしかめ、彼女の鼻を軽く摘まんで言った。

「あなたは私の娘なんだから、当然でしょ」

その言葉を聞いて、亜也加の顔に一瞬の迷いが浮かび、慎重に尋ねた。

「でも、晴美姉さんは……」

その言葉を聞いて、母の顔に再び怒りが走り、バッグを横に置きながら不機嫌に言った。

「彼女はまたあなたを困らせに来たの?」

「何度も言ったでしょう、私は殺人犯を娘に持つつもりはないと」

「彼女がまた電話をしてきたら、すぐにブロックしなさい」

亜也加の顔に一瞬の得意な表情が浮かび、さらに親しげに母の手を取った。

「お母さん、怒らないでください」

「あなたが不機嫌なら、これからは晴美姉さんの電話には出ません」

その言葉が終わるやいなや、母の携帯電話がまた鳴り出した。

電話に出ると、担任の声が聞こえてきた。

「こんにちは、晴美さんのお母様でしょうか?」

「こちらで晴美さんに連絡が取れません。今年の市の理科トップとして、三日後の校内シェアリング会に参加できるかお尋ねしたいのですが」

その言葉を聞いて、亜也加の顔に一瞬失望の色が浮かんだ。

亜也加の異常に気づいた母は、すぐに怒りをあらわにした。

「私には亜也加という娘しかいない」

「晴美に伝えてください、成績が良くてもどうなるの?」

「一人の殺人犯は、成績が良くても社会の落ちこぼれに過ぎない!」

「成績で亜也加を刺激しようとするなんて、彼女ほどの悪意ある人を見たことがない!」

不思議なことに、明らかに死んでいるはずなのに、まだ心臓に痛みを感じることができた。

母は私が一番望んでいるのは、父のように正義のために戦い続ける人になることだと知っているはずなのに、いつも私を卑劣で利己的だと貶している。

担任も母に驚かされ、慌てて言った。

「晴美さんのお母様、実はこちらから1か月も晴美さんと連絡が取れていないんです」

「彼女はいつもおとなしくて、勝手に外出することはありません」

「最近また事件が起きたようなので、晴美さんの状況を伺いたいと思いました」

「何しろ彼女はずっと一人暮らしで、行動も不自由なので、犯罪者の標的になる恐れもありますから」

母は苛立ちながら言葉を遮った。

「彼女に何が起こるというの?」

「害悪は千年も続くって言うでしょ。まだ亜也加に電話で迷惑をかけられるほどよ」

「私からも、彼女から距離を置くよう勧めます。殺人犯が何を守っているのか、全く分からないのです!」

そう言い終えると、母はそのまま電話を切った。

その後、亜也加が傷つくことを心配したかのように、彼女を抱きしめて言った。

「亜也加、他人の言葉を気にする必要はないよ」

「あなたは私の娘なの。お母さんはあなたが幸せであることだけを望んでいるわ」

「家やお金のことは、お母さんがずっと前から準備しておいたわ」

母は喜んで亜也加に用意したものを見せ、一生心配なく過ごせることを繰り返し約束した。

明かりの中で、二人の影は寄り添っていた。

一見すれば最も仲睦まじい母娘だが、私はただ陰の中に隠れ、他人の幸せを覗き見る泥棒のようだった。

……

三日連続で、担任は母に何度か電話をかけた。

最初は母も電話に出て説明していたが、後には担任の電話を直接ブロックしてしまった。

その間に、私の遺骨もあちこちで集められていた。

山田はマーキングされた地図を持って、急いで母親のところに行った。

「晶子、これらの散乱した遺骨の位置を早く見てくれ」

「これは明らかにアキラが当初破壊したアジトの地図だ」

「晴美に電話して、彼女の様子を見てくれないか?」

母は一瞥もくれず、ためらいなく反論した。

「山田さん、なぜそんなに公私を分けないのですか??」

「当初の事件に関与した人々は全員死刑判決を受けたのに、誰が晴美に手を出すというの?」

「彼女は数日前まで亜也加に電話をして嫌がらせをしていたのに、なぜ1か月前に死んでいたというの?」

「そんなことをする時間があるなら、早く人を連れて最後の頭蓋骨を見つけた方がいい!」

山田が話そうとしたとき、杉田刑事が急いで駆け込んできた。

「山田、晶子さん、これを見て!」

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