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第45話

「ほぉ、これは驚きだね」里香は軽く鼻で笑い、視線を部長に向けた。みんなは一斉に部長を見つめ、信じられない表情を浮かべた。

「どうして部長が?」

「なんでそんなことをしたんですか?」

「私たちにとってこのプロジェクトはすごく大事なのに、どうして情報を漏らしたんですか?」

最初は信じられない様子だったが、次第に怒りが湧き上がり、みんなは部長を取り囲んで説明を求めた。部長はこんなにあっさりバレるとは思わず、ただ呆然として言葉を失っていた。証拠が目の前にあるのに、何を言えばいいのだろう?

オフィスの外では、雅之がガラス越しに里香を見つめていた。彼女の青白い顔を見て、彼の眉が寄った。

「まさか職場にカメラを設置しているとは」と桜井が感想を述べた。雅之は薄い唇を一文字に結び、振り返って去ろうとした。

その時、桜井が突然叫んだ。

「小松さんが倒れた!」

大きな問題を解決して気が緩んだのか、寒気が里香の全身を襲った。彼女は立ち上がってお茶を飲もうとしたが、目の前が真っ暗になり、倒れてしまった。

みんなは驚いて駆け寄り、彼女の様子を確かめようとした。しかし、誰かが彼女に触れる前に、雅之が駆け込んできて、里香を抱き上げてオフィスを出て行った。

桜井は残りの事を処理するためにその場に残った。

消毒液の匂いが鼻に広がっていた。里香はゆっくり目を開けたが、頭がまだふわふわしていて、体には全く力がなかった。「水を飲んで」と耳元で低くて魅力的な男性の声が聞こえた。穏やかで優しい口調で、以前の冷たさは感じられなかった。

里香が視線を移すと、雅之が病床のそばに立っていた。彼の端正な顔には淡々とした表情が浮かんでいた。「あなたと会ってから、運が悪い気がする」と里香が言うと、雅之の顔はすぐに曇った。「具合が悪いなら、あまり喋るな」と彼は言った。

「病人にも厳しいのね」と里香は応じた。雅之は「病人には見えないほど元気にしているじゃないか。マイクを渡したら、国連でスピーチできそうだ」と皮肉を言った。里香は疲れた目を半分閉じて、「喉が渇いた」と言った。

雅之は身をかがめ、里香の肩を支えながら起こした。そしてベッドの端に座り、彼女を自分の胸に寄りかからせた。雅之の香りが漂い、里香はぼんやりとした。彼の香りが好きだった。昔なら、里香はすぐに彼に抱きついたり、キスをしたりしていた
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