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第48話

里香に欲しいものを与えたはずなのに、彼女の表情は喜んでいるようには見えなかった。なぜだろうか?雅之は考えれば考えるほど苛立ちを感じた。その時、スマートフォンが鳴り、桜井からの電話だった。

「社長、松本社長が到着しました」

「わかった、すぐに戻る」と雅之は冷たく言い、電話を切った。

彼は里香の家の方向を深く見つめ、車をUターンさせて去っていった。

夕方。

かおるが来た時、里香はすでに四つの料理を作り終えており、あと二つの料理とスープがまだだった。

「豪華すぎるよ!」かおるは興奮して里香を抱きしめてすり寄った。

「まあまあね。外で待ってて、すぐにできるから」と里香が言うと、かおるは「わかった、小麦ジュース持ってきたよ」と返した。

「飲めないよ、風邪薬を飲んでるから」と里香が困ったように言うと、かおるは驚いて「どうして風邪ひいたの?顔色は良さそうに見えるけど」と言った。

里香は「その理由は後でわかるよ」と答えると、かおるがキッチンを出て行った。しばらくして里香が二皿の料理を持って出てきた時、スープも出来上がっていた。

里香は手を洗い、書類袋をかおるに渡した。

「はい、これ見て」

「これ何?」かおるは開けて中のものを取り出し、目を見開いた。

「これ…里香ちゃん、あなた大金持ちになったの?」

「まあね、離婚して一気に富豪になったよ。顔色が悪いわけないでしょ?」里香が答えると、かおるは書類袋を置き、里香の顔を両手で包んだ。

「本当はすごく辛かったでしょう?」

里香は驚いてかおるを見つめ、しばらくしてから「ぷっ」と笑い出した。

「辛くても何の役にも立たないよ。愛はご飯にはならない。お金の方が現実的だよ。いい日を選んで引っ越して、仕事も辞めるつもり。近いうちに予定ある?なければ一緒に世界旅行に行こう」

里香は自分の計画を話していたが、かおるは笑えなかった。

かおるは里香の性格をよく知っており、彼女が表面上だけ楽観的であることを理解していた。

里香は雅之のことをとても好きだった。

そして今、離婚費用を手に入れたことで、雅之との関係も終わり、あとは離婚証明書を取るだけだ。

これで二度と雅之と絡まれなくなる。

里香は困った顔で「大丈夫だって言っているのに、どうしてそんな顔してるの?喜びを分かち合ってるんだよ。あなたはいつもクズ男なん
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