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第52話

雅之は突然立ち止まり、里香を不快そうに見た。

「本当にわからない、君は一体何を考えているんだ?離婚する気はあるのか?」と、里香は静かに尋ねた。

雅之は薄い唇をきゅっと引き締め、里香の上から降りてベッドを下り、浴室へ向かった。

里香は目を閉じ、深いため息をついた。

もうやめてくれ。離婚を決めたなら、さっさと終わらせよう。それでお互い楽になれるのに。

雅之が戻ってきたとき、里香は1件のメッセージを残して、朝食も食べずに出て行っていた。

「民政局の前で待ってる」と。

雅之の顔はまるで霜に覆われたように冷たく、周囲の雰囲気も冷え冷えとしていた。その時、執事が姿を現し、周りを見回して戸惑いながら尋ねた。

「坊ちゃん、小松さんは行ってしまったのですか?」

昨夜、里香が来たことは執事も知っていたが、何があっても来ないように言われていた。今朝里香がいると思っていたのに、まさか彼女の姿がなかった。

雅之はスマートフォンをしまい、冷たい表情で「何が?」と返した。

執事は雅之の放つ冷たい雰囲気を感じ取り、急いで口を閉じた。

どうやらうまくいっていないようだ。

里香はタクシーを拾い、乗った途端に電話が鳴り出した。

電話を取ると、かおるからだった。

「もしもし?今どこにいるの?」かおるのぼんやりとした声が聞こえた。

里香は「出かけたの。まだ眠いでしょ?もう少し寝てて」と言った。

「今日は仕事があるから、もう寝ないよ」と返事が来た。

里香は「じゃあ、自分でご飯を温めてね。今日の用事が終わったら、夜にまた来て。たくさんの料理があるから、一人じゃ食べきれないよ。食べ終わったら新居を見に行こう」と提案した。

「いいよ」とかおるは喜んで答えた。

電話を切った後、里香は窓の外を見た。

二宮家の別荘はどんどん遠ざかっていくが、心の痛みはまだ残っていた。

これが最後。もう二度と自分を甘やかしてはいけない。

今日、証明書を受け取ったら、仕事を辞めて、雅之とは無関係になる。

民政局に到着すると、里香は入口で待つことにした。

結婚証明書を受け取る人が多く、窓口にはすぐに長い列ができた。

その長い列を見て、里香はぼんやりとした。

雅之との結婚証明書を受け取りに来た時と同じ光景だ。

カップルたちは興奮していて、幸せな未来を夢見ていた。

里香は唇を引き締め、目を
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