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第434話

「白々しい顔しやがって......一体、何がしたいわけ?」

月宮は腰に手を当て、ベッドの端でかおるを見下ろしていた。

ベッドに投げ出されたかおるの上着は肩からずり落ち、薄手のキャミソールワンピースがちらりと見えた。白く細い肩紐がかかる肩には、紅い梅のような痕が点々と残っていた。

それを見て、月宮は昨夜の自分の痕跡だと気づいた。瞳が一瞬暗くなり、喉がごくりと鳴る。身体の奥から不思議な熱が込み上げてくるのを感じた。

不意に、喉の渇きと苛立ちが沸き上がってきた。

一方で、かおるはベッドに膝をつき、上体を起こして睨み返した。小柄な体ながら、その気迫は負けていない。

「もちろん、里香と雅之を離婚させるためよ!あんな男と結婚してから、里香がどんな目にあってるか、見てわかんないの?バカじゃないの?」

月宮は冷笑を浮かべた。

「夫婦の問題だろ?なんでお前みたいな外野が首突っ込むんだよ?『夫婦喧嘩は寝室まで』って言うだろ?今は揉めてたって、後々うまくいくことだってあるかもしれないじゃないか。そうなったら、お前のやってること、全部無駄じゃね?」

月宮は彼女を指差し、呆れ顔で続けた。「いい加減にしろよ、考えなしで行動するの、そろそろやめろよな」

「誰が考えなしだって言ったのよ?」かおるはカッとなり、手を振り上げて彼を叩こうとしたが、月宮は片腕で彼女の細い手首をしっかり掴んだ。その白くて華奢な手首は、少し力を入れただけで折れてしまいそうだった。

「おい、俺に手を出すつもりか?」月宮は眉を上げて挑発的に見下ろした。

「離して!」

かおるはもがきながら、もう片方の肩の服がずり落ち、肘で引っかかったまま鎖骨が露わになる。そこにも昨夜の名残の痕跡が残っていた。

月宮は彼女を軽くからかうつもりだったが、その痕跡を見た瞬間、言葉が詰まり、わずかに視線を外しながら咳払いをした。

「言っとくけどな、あんまり無茶するなよ。雅之を本気で怒らせたら、俺だって止めきれないぞ」そう言いながら手を離し、少し距離を取った。

かおるはふっと笑い、自分の体を見下ろして鼻で軽く笑った。

「自分の野蛮さを自覚したから、今さら引いてるんじゃない?」

月宮の顔は一気に険しくなった。

かおるは服を直し、ベッドから降りつつ、言葉を緩めることなく続けた。

「私が何をしようと私の勝手でしょ?あんた
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