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第435話

かおるは身動きが取れず、内心でだんだん焦りが募ってきた。

なに?この男、何考えてんの?まさか、もう一回しようってわけ?

それだけは無理!あいつ、下手くそすぎて、もう二度とあんな苦しい思いなんかしたくない!

かおるは全力で抵抗を始めた。彼女の体はしなやかで、月宮の下で絶えずもぞもぞ動いた。そのせいで、月宮の目つきはどんどん怪しくなっていく。

「それ以上動いたら、ほんとに抱くぞ」

月宮は渇いた声で低く言った。

かおるは思わず動きを止めた。彼の意図が伝わってきたからだ。顔がカッと熱くなり、怒りと恥ずかしさがこみ上げてきて、「お、お前......早くどけよ!」と叫んだ。

けれど、月宮はどくどころか、逆に彼女をぎゅっと抱き寄せて、「絶対に動くなよ。少し待てば落ち着くから」と囁いた。

彼は顔を近づけ、熱い息がかおるの肌にかかる。かおるは鳥肌が立つのを感じた。

もう、動けなくなった。というか、少し怖くなってきた。このまま無理やりされたら、自分じゃどうしようもない!

このクズ男、どこででもそうやって発情するなんて!

雅之は冷たい目で祐介を見つめ、口元に一瞬だけニヤリと笑みを浮かべた。「いいよ、その弁護士、紹介してくれよ。どれだけの腕か、見せてもらおうじゃないか」

祐介は黙って里香に視線を向けた。

里香は少し目を伏せ、長いまつげが微妙に揺れながら、答えた。「祐介兄ちゃん、ありがとう。でも今はまだ大丈夫」

「なんだ?どうして遠慮するんだ?せっかくだから使ってみろよ。こっちだって弁護士知ってるし、どっちが上か、勝負だ。負けた方はこの世から消えてもらおうか?どうだ?」雅之は挑発的に続けた。

里香は眉をひそめて、雅之を睨みつけた。「いい加減にして、雅之」

雅之は冷たく睨み返し、「ふざけてるとでも思ってんのか?むしろ、僕は冷静だよ」と言い放った。

里香は一瞬黙り、内心で思った。この男、頭おかしいんじゃない?

祐介は笑みを浮かべていたが、その笑みも少し曇りかけていた。彼はわかっていた。里香が今、離婚できない状況にあり、彼を巻き込むつもりもないことを。それがなければ、彼女が断る理由なんてなかっただろう。

「もし何かあれば、いつでも連絡してくれよ」祐介は優しく言った。

「うん、わかった」

里香は軽く頷いた。二人の間には静かな安心感が流れていた。

そんな二人
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