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第316話

ダメだ、心が揺れちゃいけない。俺の心も体も、すべてはユキちゃんのものなんだ。

月宮はすぐに表情を冷たくして、「かおる、銃弾を防いでくれたことには感謝してる。将来何か困ったことがあったら、力になるよ。でも、それ以上は期待しないでくれ。俺は君の気持ちには応えられない」と冷静に言った。

「え?」

かおるは首をかしげて、疑問の眼差しで月宮を見つめた。この男、一体何を言ってるの?

月宮は立ち上がり、「しっかり休んでくれ。俺はもう行く」とだけ言って、さっさと病室を後にした。

ベッドの上でかおるは困惑し、何が起きたのかさっぱりわからなかった。

最近、あの男おかしいんじゃないの?

ちょうどその時、かおるのスマホが鳴った。彼女はサブのLINEアカウントを開いて確認する。

画面を見た瞬間、かおるは目を細めた。そこには月宮からのメッセージが届いていた。

月宮:「最近、何してるんだ?俺に連絡しないで、他の奴に取られるのが怖くないのか?」

月宮:「最近、ある女がずっと俺に絡んできてさ。助けてもらったから一つ約束をしたんだけど、どうやら彼女は俺に惚れちゃったみたいなんだよな」

月宮:「ユキちゃん、お前ならどうする?困ってるんだよ、ちょっと」

ユキ:「月宮さんは素敵だから、誰かが好きになるのも当然よ!」

月宮:「で、お前は?」

ユキ:「照れたスタンプ。冗談はやめてよ、私たち住む世界が違うし、私は学費を稼ぐのに必死だし、弟も病気で、その治療費もいるから、恋愛なんて考えられないよ」

月宮:「弟が病気?いつからだ?なんで言わなかった?」

[月宮から5万円の送金がありました]

月宮:「家族のことは大事だろ。遠慮せずに使え。すぐに治療費を払えよ」

ユキ:「月宮さん、本当にありがとうございます。こんなにしてもらって、どうお礼を言ったらいいか......」

月宮:「弟が元気になったら、そのとき考えればいいさ」

ユキ:「はい」

かおるは無表情のまま「照れた表情」のスタンプを送り、5万円を即座に受け取った。

ふぅ......スッキリ。また5万ゲットっと。これでちょっと財務の自由が近づいたかも?

かおるはサブのLINEアカウントをログアウトし、メインアカウントに切り替えた。しかし、月宮の態度や言葉が頭から離れなかった。

うん、この男、絶対おかしい。それも重症だな。

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