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第317話

頭が割れそうだ。爆発しそうなくらい痛い。

里香は周りを見回して、自分が雅之に囚われていることを思い出した。なんとか手を伸ばしてドアを叩こうとしたけど、手を上げた瞬間に力が抜けて、そのまま咳き込んでしまった。

どうにか起き上がって、ドアにもたれかかりながらスマホを探し出し、雅之に電話をかけた。

ここに閉じ込められてる場合じゃない。私、何も悪いことしてないのに。

「プルル......プルル......プルル......」

三回の呼び出し音の後、電話は切られた。もう一度かけ直したけど、またすぐに切られ、最後には電源まで切られた。

咳が止まらなくて、呼吸が苦しくなる。

そのとき、ノックの音と一緒にお月の声が聞こえてきた。「奥様、お昼ご飯をお持ちしました」

返事をする間もなく、お月がドアを開けた。

「きゃっ!」

短く悲鳴が出た。ドアが開いた拍子に、まだ床についていた里香の手を踏んでしまったのだ。

お月は驚いて、「奥様、どうして床にいらっしゃるんですか?」と聞いてきた。

里香は手を引き抜いて、血のついた指を見つめながら、「雅之に会わせて」と言った。

「旦那様はお忙しいです」

里香は壁に手をついて立ち上がり、「じゃあ、外に出して。自分で会いに行く」と返したが、お月は里香を軽く押し戻しながら、「それはできません。旦那様のご指示で、奥様は外出できません」と断ってきた。

もうフラフラだった里香は、その押しでそのまま倒れ込んでしまった。

お月は「お食事はテーブルに置いておきますので、どうぞ召し上がってください」とだけ言い、部屋を出ていった。

頭がクラクラして、視界がどんどんぼやけていく。スマホに手を伸ばそうとしたが、次の瞬間、また意識が遠のいていった。

夜になり、屋敷には灯りがともった。雅之は黒いスーツに身を包み、冷たい空気をまとって帰宅すると、厳しい声で尋ねた。

「彼女、反省したか?」

お月は静かに答えた。「奥様は一日中、部屋から出られていません。お食事にも手をつけられていないようです」

「ふん」雅之は冷たく鼻で笑った。

絶食で抗議か?そんなことをして、同情してもらおうなんて考えてるのか?

さらに険しい表情を浮かべながら、雅之は階段を上がり、寝室のドアを開けた。部屋の中は真っ暗だった。灯りをつけることもせず、冷たく言い放つ。

「里香、おと
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