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第27話

里香は一瞬驚いた。

「どこへ?」

雅之は緊張した表情で助手席のドアを開け、里香を急いで押し込んだ。雅之は少し焦っているようだった。

車に乗り込むと、里香は眉をひそめて尋ねた。

「一体どこへ行くの?」

雅之「おばあちゃんが発病したんだ」

二宮おばあちゃん?

里香の脳裏には、認知症を患っている可愛らしいおばあちゃんの姿が浮かび、心の中は複雑な感情でいっぱいになった。

車が療養院に到着するまで、二人は話を交わさなかった。

雅之は大股で前に進み、里香はその後を追った。

長い廊下を抜けて、きれいな小さな建物の前に着いた。中では数人の介護士が手をこまねいており、遠くからでもおばあちゃんの泣き声が聞こえてきた。

「孫嫁、孫嫁の顔が見たいよ、ううう…」

その声を聞いて、里香は一瞬驚いた。

認知症の患者は記憶力が良くないと思っていたので、二宮おばあちゃんが里香のことを忘れていると思っていたが、まさか今でも覚えていてくれたとは思わなかった。

急いで建物の中に入ると、二宮おばあちゃんはソファに座っていて、誰も近づけさせず、ずっと孫嫁のことを呼んでいた。

「おばあちゃん」

雅之は前に進み、おばあちゃんの手を握った。

「僕はここにいるよ」

二宮おばあちゃんは泣き止んだが、ほんの数秒後、雅之の手を振り払った。

「アンタじゃない、アンタは悪い子だ、孫嫁に会いたい、会いたいよ!」

雅之はこめかみに青筋を立て、すぐに里香の方を見た。

その時、里香の存在に気づいたのか、二宮おばあちゃんはすぐに泣き止み、里香に手を伸ばした。

「よく来てくれたのね。やっと会いに来てくれた。おばあちゃん、見捨てられてしまったかと思ったわ、うう…」

言いようのない複雑な感情を胸に抱きながらも、里香は笑顔を浮かべた。

「おばあちゃんを見捨てるわけないでしょ。ただ最近は忙しくて…」

二宮おばあちゃんは里香の手をしっかり握り、涙を浮かべた顔で尋ねた。

「何かあったの?悪い子にいじめられたの?大丈夫、おばあちゃんが叱ってあげる!」

そう言いながら、雅之を見た。

「こっちに来なさい」

雅之は言われるままに近づき、身をかがめた。

「おばあちゃん、どうしたの?」

二宮おばあちゃんは手を上げ、パシッと雅之の肩を叩いた。

「おばあちゃんが悪い子を叱ったから、もう怖がらなくてもいい
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