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第28話

雅之は眉をひそめ、電話を切って外に出た。

庭では、夏実がすでに二宮おばあちゃんの前に立っていた。夏実は手に持った綿菓子を二宮おばあちゃんに差し出し、「ねえ、おばあちゃん、この猫ちゃんかわいいでしょ?」と言った。

二宮おばあちゃんは綿菓子を見て目を輝かせたが、手を伸ばして受け取ることはせず、代わりに里香の手を引っ張った。

「綿菓子を買ってくれないか?おばあちゃんは猫ちゃんよりウサギが好きなの」

夏実が現れた瞬間、里香の神経は無意識に緊張した。しかし、二宮おばあちゃんの声を聞くと、心の中が急に和らぎ、言葉にできない感情が湧き上がり、少し悲しくて泣きたい気持ちになった。

「わかった、買ってくるね」

二宮おばあちゃんは笑顔になり、「大好き」と言った。

夏実は気まずい顔で綿菓子を持ったまま、手を引っ込めて里香を見つめた。

「おばあちゃんに気に入られてるね」

「ただ、好みに合っただけなの」

里香は淡々と答えた。

夏実は微笑み、目を伏せたが、その目には不快感がちらついていた。

それはどういう意味だろう?私が好みに合わないと言いたいのか?

「おばあちゃん」

その時、雅之がやって来て、「疲れてない?少し休まないか?」と尋ねた。

二宮おばあちゃんは里香の手を引っ張り、「この子も一緒に」と言った。

里香は「はい」と答え、二宮おばあちゃんを支えながら小さな建物に向かった。

二歩進んだところで、二宮おばあちゃんは雅之がついて来ていないことに気づき、すぐに手を振って呼んだ。

「こっちに来なさい!」

里香は思わず笑いそうになった。この呼び方、なんだか少し失礼な感じがした。

雅之は歩み寄り、おばあちゃんを支えた。

「行きましょう、おばあちゃん」

二宮おばあちゃんは嬉しそうに、「嫁を大事にしないと逃げられちゃうよ。その時は後悔しても遅いからね!」と言った。

そして雅之に近づき、「教えてあげるけど、後悔薬はとても苦いんだから、あなたには向いてないよ」と囁いた。

まるで子供のようだ。この世に後悔薬なんてあるわけがない。

雅之はただ聞いているだけで、何も言わなかった。

里香は彼を一瞥し、その目が微かに輝いた。

後悔?そんなことはありえない。彼が後悔することはないだろう。

実際、二人はすでに民政局に来ていたし、二宮おばあちゃんの騒ぎがなければ、今頃は離
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