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第20章

「監視カメラの映像を送ってくれ」

電話を切ると、すぐに使用人がビデオを送ってきた。

友梨が2階から飛び降り、服が乱れたまま幸四郎の車に乗り込むのを見た上に、その後自分が車で通りかかった時も幸四郎に呼び止められなかったことで、健の顔色はますます悪くなった。

幸四郎は普段から他人のことに干渉しないのに、どうして友梨を助けるのだろう?

さらに、友梨が服を乱したまま他の男に見られたことを思い出すと、健の胸には怒りがこみ上げてきた。

考えるまでもなく、友梨は間違いなくマンションに戻っていた。

直美も監視映像を見て、歯ぎしりしながら言った。「だから、あの女はあなたにはふさわしくないって言ったのよ。あの様子を見てよ、湯川家の面目を完全に潰してしまったわ!」

健は眉をひそめ、不満そうな表情で直美を見つめていた。

「母さん、この件は僕の問題です。事情も聞かず友梨を責めるのは不公平じゃないですか?」

「どういう意味なの?私はあなたのために不公平だと思っているのに、あなたは彼女の味方をしている。私はあなたの母親なのに、あなたの幸せを願わないわけがないでしょう?」

直美が痛ましそうに自分を見つめているのを見て、健の心には一陣の苛立ちが湧き上がった。

「これは僕と彼女の問題だから、母さんが僕のために言ってくれている必要はないし、僕の前で妻を悪く言うのはやめてください。それだけで十分です」

そう言い終わると、直美がどんな表情をしているかも気にせず、健はそのまま振り返って足早に立ち去った。

彼は別荘に戻らず、友梨のマンションに行った。

友梨が家に帰ると、出前を頼んでからお風呂に入った。

シャワーを浴びて出てきて、髪を乾かしたばかりのところに、真子から電話がかかってきた。

「真子さん、どうしたの?」

真子の優しい声が聞こえてきた。「友梨、特に用事はないんだけど、最近仕事を始めたの?」

友梨はもともと彼らにこのことを隠すつもりはなかったし、加奈が病院に行ったから、長くは隠せないだろうと思った。

「そうです」

電話の向こうから音が消え、しばらくしてから真子が口を開いた。「あなたと健、喧嘩したの?」

友梨は最近まで妊活をしていたのに、突然仕事を始めたので、その間に何かがあったとは思えなかった。

「喧嘩とも言えない」

友梨は目を伏せ、一方の手で無意識に髪の毛の
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