第21話

「わかったけど、受け入れるためには時間が必要だから、先に帰って」

健は友梨のいい加減な態度に気づき、眉をひそめた。「友梨、時間をあげると言ったけど、そんなに僕を拒まないでくれないか？」

彼にしつこく絡まれてうんざりした友梨は、彼を見上げた。

「時間をくれるって言ったでしょう？でも実際、与えてくれたの？あなたが浮気していることを知った翌日、私と無理やりしようとした。今日も同じ。

最初から、あなたがどれだけ罪悪感を抱いているかわからなかった。あなたはただ事を収めたがっているだけで、私は今それを乗り越えられないの、わかる？」

友梨の赤くなった目を見て、健の心には罪悪感と後悔が湧き上がり、彼女を抱きしめようと手を伸ばした。

しかし、友梨に触れる前に、彼女は一歩後退して避けたので、彼の手は固まってしまった。

「健、結婚したこの数年間、あなたに対して申し訳の立たないことは何もしていないわ。私たちは8年の付き合いで、8ヶ月でも8日でもないの

あなたは私を裏切ったのに、こんなに早く受け入れられると思うの？可能だと思う？もし私のあなたへの感情が偽物でない限り、こんなに早く自分の気持ちを整えることはできない。

あなたの浮気をこんなに早く冷静に受け入れることは本当にできない。お願いだから、もうこれ以上私を追い詰めないでくれない？」

最初は健に去ってほしいと思っていただけなのに、話しているうちに友梨はどうしても涙がこぼれそうになった。

健の浮気を知って以来、彼に関することを考えないようにずっと自分を強制していた。毎日忙しくして、ベッドに入るとすぐに眠りに落ちることで、裏切られた痛みを和らげようとしていた。

しかし健は一歩一歩と追い詰め、彼女に少しの猶予も与えなかった。

彼女の目に涙が浮かんでいる様子を見て、健の心には自然と痛みがこみ上げてきた。

「友梨……ごめんなさい……」

彼女が離婚を言い出してから、彼は何度も謝ったが、この一言だけが最も心からの謝罪だった。

友梨は目尻の涙を拭き、徐々に気持ちが落ち着いてきた。

「帰って。今はあなたに会いたくない」

健は唇を引き締め、残ろうと思ったが、友梨の性格をよく知っているので、きっと同意しないだろうと考え、仕方なくうなずいた。

「一人暮らしだから、安全に気をつけて。何かあったら、僕に電話してね」

友梨は何も言