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第4話

光雲に会うと、溪の冷ややかな目にも温かみが宿ったようだった。

彼女の服を優しく整え、少し心配そうに言った。

「妊娠してるんだから、しっかり休まないといけないって言っただろ?」

「いい加減言うことを聞いてくれ」

光雲は溪を見るなり、嬉しそうに彼の胸に飛び込んだ。

甘ったるい声で言う。

「だって会いたかったんだもん。今日は残業しないって言ったじゃない」

「何か事件でもあったの?」

溪は光雲には警戒心を持っていないようで、彼女の問いかけにそのまま答えた。

「バラバラ殺人事件が入ったから、少し遅くなった」

光雲は溪の腕に抱きつき、警視庁を振り返りながら興味津々に聞いた。

「それで、どうだったの?犯人は捕まった?」

溪は彼女を助手席に押し込んで言った。

「まだだよ。遺体はひどく損壊されていて、死の前にひどい拷問を受けたようだ。犯人はその子の両目もえぐり取っていた」

少し間を置いて、溪は続けた。

「初見では、これは怨恨による犯行だと考えられている」

光雲は驚き、顔色を青ざめさせた。

「そんなに恐ろしいの?」

「その子、かわいそうね。早く家族を見つけてあげなきゃ」

溪は彼女の言葉を聞いて、思わず彼女の頭を撫でた。

「光雲は優しいね」

「安心して、警察の方がしっかり対処するから。光雲は胎教に専念するんだ、いいな?」

光雲は幸せそうに微笑み、溪の頬に軽くキスをした。

「溪って本当に素敵だわ」

「いてくれて本当に良かった。私とこの子だけじゃどうしたらいいか分からないもの」

光雲の視線は隠すことなく、溪を見つめていた。

溪も彼女を突き放すことはせず、彼女のシートベルトを丁寧に締めてあげた。

その様子を見ていると、胸が締め付けられるように苦しくなった。

彼はずっと光雲の気持ちを知っていたのに、拒まなかったんだ。

それじゃあ、私は一体何なんだろう?

光雲は溪に「家に連れて帰って」とせがみ、溪も彼女にはかなわず、私たちの家に連れて行った。

ドアを開けると、家の中はすっきりしていて、たくさんのものがなくなっていた。

溪は少し驚き、顔色が曇った。

まるで怒っているようだった。

私は不思議に思った。

喜ぶべきことじゃないの?

部屋の中から、私のものはすべて処理されたから。

もう彼の目に触れることもないだろうに。

光雲は溪の手
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