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第5話

私は冷たく笑った。彼らが私を陥れようとしたときには、私がかわいそうだなんて一言もなかったのに、めいのことになると、ちょっとした提案でも叱られるなんて、なんてダブルスタンダードだ。

「冗談じゃないですか、どうしてそんなに本気になってるんです?」と笑いながら、私は弘子に目を向けた。

「母さん、本当に気に入ってるなら、めいを養女にしてみたらどうですか?そうすれば、家族ぐるみの付き合いにもなりますし」

全員が微妙な表情を浮かべ、誰も何も言わなかった。

おかげで私は一人だけ食事を堪能できた。

今の状況を見たところ、貞治と弘子がどうにかして離婚に持ち込もうとするだろうことは明らかだ。だから私は最大限に警戒を怠らないようにすればいい。彼らがどれだけ悪意に満ちた計画を立てるかは、予測がつかないからだ。

その夜、私は自分の部屋に戻り、貞治と弘子、それにめいの三人がリビングでテレビを見ているのを横目に見ていた。

夕食時、弘子がめいに今夜泊まるよう勧めていたからこの三人は何かを話し合うつもりだろう。

私はわざと念を入れて、録音機能をオンにしたスマホをソファの後ろに隠しておいた。

夜中、三人はそれぞれの部屋に戻って眠りについた頃、私はリビングに戻ってスマホを取り出し録音を確認した。

会話が始まった場所までスキップすると、めいの声が聞こえてきた。

「貞治さん、おばさん、私、もう妊娠三か月で、そろそろお腹が目立ってくるんです。これからどうしましょう?」

それを聞いて、ようやく理由が分かった。なるほど、めいは既に貞治の子を身ごもっていたのか。

しかし以前、私が検査を受けたときには何の異常もなかった。だから私は、貞治が不妊だと密かに思い込んでいたのだ。

めいのお腹の子が本当に貞治の子かどうかは、まだ疑わしい。

続いて弘子の声が響いた。「心配しないで、めい。この子はうちの孫だからね。絶対に正々堂々と吉田家の家系図に載せてあげるよ」

「加奈っていうあの女、今は一時的にいい気になってるだけ。私、工事現場で働いてる連中を何人か手配しておいたから、どこかのタイミングであの女を押さえつけて、ベッドに縛りつけてやるつもりよ。そうなれば、離婚しないなんて言わせないし、追い出せるわ」

貞治も言葉を続けた。「そうだ。あいつは心臓が弱いから、あの状況でショック死するかもしれない。それな
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