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第3話

私は冷たく笑って自分の場所に戻った。

食事をしたいって?あんたたちの最後の夕飯にしてやる。

私は貞治の遺体のそばに腰を下ろすと、しばらくして弘子がにこやかに水を差し出してきた。

「加奈、さっきは私が悪かったわね。疲れてるでしょ?少しお水を飲んで休んだら?」

私は手を振って断った。「いいえ、お義母さん、早く休まれてください。この三日間は私が夫を見守りますから、他の人には手伝わせません」

弘子は顔を曇らせ、思わず口を滑らせた。「それじゃ、空腹で困るじゃないの!」

彼女がいい姑であるかのように振る舞っているが、貞治のことを言っていると知っていなければ、つい信じてしまいそうだ。

「ご心配なく、私がお腹が空いたら自分で何か食べますから」

弘子は歯ぎしりしながら、ほとんど怒鳴りそうだった。「それでも水くらいは飲んで」

無理やり飲ませようとする彼女に、水の入ったコップを取り、飲むふりをして数口だけ口をつけた。

それを見た弘子は、満足した様子でその場を去っていった。

その夜、私は棺のそばで眠っているふりをしていると、すぐに足音が聞こえてきた。

「この意地悪な女め、息子を丸一日も空腹にさせやがって、腹立たしいったらありゃしない」

それは弘子の声だった。次に聞こえたのはめいの声だ。「早く貞治さんに食事させてあげてよ。もうお腹ペコペコですよね」

めいが近づいてきて、貞治の顔を軽く叩いた。「貞治さん、私だよ。起きてる?」

貞治の声が聞こえた。「起きてるよ。麻酔なんて半日分だし、目を開けたら加奈が俺の隣で見守ってて、マジで驚いたよ」

「どうしてあいつが何事もないんだ?あいつ、心臓が弱いし、残業も半月もしてるんだから、俺の死を見たら何かあってもおかしくないだろうに」

弘子が鼻で笑った。「あの女、どうせあんたのことなんか愛してないんだよ。そうじゃなきゃ、あんたの死体を見たら、少しは動揺してもいいはずなのに」

私は心の中で冷笑した。前世では、私は彼らの策略通りに体調を崩し、最終的には怒りに任せて命を落とした。

でも今度は違う。もう一度やり直すことができたのだから、そう簡単に騙されるわけがない。

「早く食べなさい」

「そのうち、加奈と離婚させて、この宝くじの賞金もあの女にはびた一文渡さないようにしてやるわ」

「そうそう、俺ももう一日何も食ってなくて、腹が減りすぎてるんだよ」

その時、私はわざとゆっくり目を覚ましたようなふりをした。「誰?誰か話してるの?」

貞治はすぐに再び横たわって死んだふりをし、めいと弘子は急いで食べ物を隠し、私の横に立った。

「加奈、疲れて眠っちゃったのね。部屋に戻って寝たらどう?」

二人の表情は真っ黒だったが、何も言えず、恐る恐る私を見ていた。大事な計画が台無しになるのが怖かったのだろう。

その夜、私は自分と貞治の手を紐で結び、貞治が動けばすぐにわかるようにして眠った。

翌朝、めいと弘子は私を睨みつけ、目には火が宿っているかのようだった。

一日一晩、私のせいで息子が何も食べられなかったのだから、怒るのも無理はない。

その後さらに一日が過ぎ、弘子はまたもや同じ手を使い、私に睡眠薬入りの水を飲ませようとした。

私も弘子の意図を汲んで飲むふりをし、その夜は眠ったふりをした。

夜になると、弘子とめいがまたこっそり現れた。

貞治はすぐに体を起こし、仮病で横になっていた体を動かした。ましてや、貞治はただの植物人間ではなく生きている人間なのだから、体を動かしたくてたまらなかったのだろう。

だが、彼が少し動いたところで、私は頭を上げて驚いた顔を作り、彼を見つめた。

「あなた、死んだはずじゃないの?どうして起き上がってるの?」

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