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第4話

Author: 月元亮
last update Last Updated: 2024-10-30 11:28:50
婚約式がとてもシンプルだった。

彼以外には、ごくわずかな友人と彼の妹しかこなかった。

彼の両親は海外旅行から戻ってきてくれなかった。

式中に、招いた観客たちは手を胸に抱え、私を審判するような眼差しで見ていた。

彼らの目には、私はただの泥棒猫に過ぎず、涼宮から奥さんの座を奪った人。

式が進んでいく。

私は目を見開いた。祐介が婚約指輪を取り出したが、私の指にはなかなかはめてくれなかった。

少し焦った。

私は彼に小声で促した。

「祐介さん」

彼は眉をひそめた。

ついに動き出した。

私はほっと一息ついた。

ちょうどその時に、悲しそうな女性の声が教会の入り口から聞こえてきた。

「祐介、彼女は誰?」

「私を置いて、他の誰かと結婚するつもりなの?」

その瞬間、祐介の顎のラインが引き締まったように見えた。

彼は結婚指輪を持っている手が震えている。

指輪はついに彼の指から滑り落ち、カランという音がして地面に転がり、音が綺麗に響いた。

私は彼と一緒に振り向いた。

彼女を見た。

祐介がずっと思っている涼宮桃子が帰ってきた。

彼女のアート写真は今でも祐介の寝室のベッドサイドに掛かってい流。

「桃子が、帰った?」

「これは夢?」

涼宮は私を見てから、彼を見つめた。

とても悲しい表情で、声のトーンも下げた。

「もし今日、この女と結婚したら、私は永遠にあなたと会わない」

そう言って、彼女の瞳に水の波紋が広がった。

「私が記憶喪失から回復し、そして帰ってくるまでにどれだけ苦労したか知ってるか?」

「私がいない間、あなたは私をこんなにふうに懐かしんでいたの?他の女と?」

祐介はためらうことなく私の手を振り払った。

彼女に向かって歩み寄った。

「祐介さん、今日は私たちの婚約式です」

「式が終わってから三人で話してダメですか?」

彼の体がちょっとだけ震えた。

彼は振り向かずに私に言った。

「横山、お前は知っているはずだ」

「お前はただの身代わり」

「金で弁償するから、今日の式はもう続けることができない」

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