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第3話

彼の友人は私のことを気に食わないだろう。

彼の実の妹の東本綾もだ。

彼女から見たら、私はただ劣化した身代わりに過ぎないだろう。

恋人になれない存在。

だから家で私を見かけても、「おい、おい」としか呼んでこない。

使用人でさえ丁寧に名前を呼んでいた綾さんなのに。

もしあの日、祐介が酔っ払ってチンピラに挑発してなかったら。

チンピラはナイフを持って彼に刺そうと走りかかった。

私は彼の命を救うためにその一撃を受け止めた。

今でもお腹に五センチの傷跡が残っている。

あの出来事がなければ、一生祐介に近づけなかったんだろう。

私が病床から目を覚ました時、祐介はいなかった。

しかし、私の携帯電話に彼からのメッセージが届いた。

「お母さんは私に結婚を促しています」

「年越したら、結婚式の日を決めるか」

私は、涼宮が亡くなった日を思い出した。あの日は彼女はウェディングドレスを選びに行く日だった。

しかし彼女は誘拐された。

祐介が身代金を払いに行く時、車が海に走ってしまった。

涼宮が彼のせいで死んだと彼は思うのだろう。しかも涼宮を一番愛しているその年に死んでしまった。

どうやって忘れることができるだろうか。

だから彼も私を愛すことが絶対ないと確信できる。

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