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第7話

この件が起きて以来、五兄は私に裏方の仕事を提案することはなくなった。

私もすっかり気持ちが冷め、父さんの会社を黙々と手伝うようになった。

その間に、悠太は3曲を発表し、どれもランキングのトップをキープしていた。

テレビでも短編動画のプラットフォームでも、彼の曲がBGMとしてよく使われていた。

この機に乗じて、悠太は大々的にカムバックを宣言した。

妍希もTwitterで悠太に公然と愛を表明していた。

「最高の女優と作曲の才子、最高のカップルだね!」

「応援してる!悠太なら当然だよ!」

「これぞまさに、最高の美男美女カップル!彼らのために全力で応援する!」

商業街のLEDスクリーンには、悠太のミュージックビデオが映し出されていた。

私はコートの襟を立て、何も見ていないかのように通り過ぎた。

家のドアを開けると、母さんがリビングでテレビを見ていた。

ちょうど悠太が出演している音楽競演番組が放送されていた。

母さんは私を見て、慌ててテレビを消そうとした。

母さんが私のことを気にしているのは分かっていた。きっと私がまた辛い思いをしないかと心配していたんだろう。

でも、私も悠太のパフォーマンスには少し興味があったので、彼女を制止し、ソファに座って一緒に見ることにした。

この番組は他の番組とは違い、ライブ形式で、リアルさを売りにしているものだった。

しばらく座っていると、悠太の番がやってきた。

彼は新曲を披露し、ステージの前方に歩み寄り、審査員たちの評価を待っていた。

「私はあなたのオリジナル作品が大好きです。うちの家族全員がファンですよ!評価はAです!」

もう一人の女性審査員もマイクを手に取り、言った。

「あなたの歌詞には才能を感じますし、作曲も普通の枠に収まらず、独創的です。私の評価はAです」

「ちょっと待った!」

音楽学院の教授が手にしていた楽譜を見て、眉をひそめた。「曲の最後の数音がちょっとおかしいな……」

隣にいたキーボードの先生はすぐに指示通りに弾き始めた。すると、場の雰囲気が一気に緊張感に包まれた。

その音階の組み合わせは、まるで「私は盗作野郎だ」というようなメロディになっていた。

そう、これは私が曲に仕込んでおいた「雷」の一つだった。

「こんなことを自分の曲に入れる奴なんているか?もしかして、この曲は本当に盗作
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