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第2話

私は信じられない思いで目を見開き、柳時彦がここまで私を恨んでいることを今になって理解した。

私の死は、彼にとって祝うに値する出来事だった。

でも柳時彦、私は本当に死んでしまったのだよ!ただあなたが信じていないだけなのに!

車はウェディングドレス店の前で止まり、柳時彦は大股で店内に入っていった。

彼の急ぎようは、私たちがこっそり婚姻届を提出した後、彼が私をウェディングドレス店に連れて行ったときと全く同じだった。

そのとき、彼は矢も盾もたまらず、私の花嫁姿が見たくてたまらなかった。

興奮していた彼は私を抱きしめながら、「君はこの世で最も美しい花嫁だ」と言った。

しかし今、彼は同じような柔らかな目でウェディングドレスを着た柳晴香を見つめていた。

彼女の耳元の髪を優しく払い、「似合っている」と柔らかい声で囁いていた。

柳晴香は恥ずかしそうに低く笑い、再び顔を上げたときには涙がにじんでいた。

「時彦、やっとあなたと一緒にいられた」

私は驚愕の目で、柳晴香が柳時彦の頬にキスをするのをぽかんと見ているだけだった。

すぐにでもこれを止めたかったが、私の手はむざむざと柳時彦の体を通り抜けた。

ただ、彼が柳晴香の薬指に指輪をはめるのを呆然と見ているしかなかった。

どうして?

どうして柳晴香なの?

彼女のせいで、彼の母親が死んでしまったのに!

柳時彦!

私は口を開け、喉がかすれて声も出せず、悲しみと怒りに震えた。無気力にこの光景を見つめていた。

柳晴香は興奮して鏡を見ながら、突然尋ねた。「そういえば時彦、彼女は大丈夫かな?」

この「彼女」という言葉に、私たちはお互いに理解があった。

柳時彦は無表情で、むしろ少しうんざりした様子だった。

「平気さ、小芝居に過ぎない」

「それじゃあ、私たちの結婚式に彼女を招待する?」

柳時彦はまぶたを下ろし、目の中の感情を隠した後、突然口元に悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「もちろん招待するさ、彼女は重要人物だから」

私は瞬時に理解した。柳時彦は私に彼の結婚式を目の前で見せつけようとしているのだった。

何せよ、それは私がずっと期待していたことだった。

なぜなら、最初は時彦の母親の同意を得られなかった。

私たちはただ婚姻届を提出しただけで、結婚式を挙げられなかった。

その後、結婚式は私の夢となってしまった。

なぜなら、時彦の母親は心臓病で亡くなった。あの夜、時彦の母親の最後の電話は私にかけられた。

そのため、当たり前のように、柳時彦は私が彼女を怒らせて気絶させたのだと疑っていた。

時彦の母親の埋葬の日、彼は私を墓の前に押し倒し、一日中膝をつかせた。

その日は雨が激しく降り、私たちは雨の中で見つめ合った。

彼の目は死んでいるようで、憎しみに満ちていた。

「神原安子、お前が死んでも、許さん!」

それ以来、私は柳時彦の恋人から、彼の仇敵へと落ちぶれてしまった。

彼は私を恨み、辱め、私が彼から離れることを許さなかった。

さらには、他の女性を家に連れ込むこともあった。

私の目が赤くなっているのを見て、彼は軽やかに私の顔を撫でながら、嘲笑して言った。「安子、辛いか?でも、これらすべて、お前の自業自得だ。ほかの誰のせいでもないさ」

私は懸命に説明したが、かえって柳時彦をますます残酷にさせてしまった。

彼は自分の結論を疑うことはなかった。彼の母親が私を嫌っていたことを知っていたから。

彼女は生涯私が柳家の門をくぐることを許さないと公言していた。

柳時彦はそのことで何度も母親と衝突し、柳家との決裂も辞さず、私と一緒にいるために全力を尽くした。

しかし、彼が愛していた女性が彼の母親を殺害したのだ。

彼はどう受け入れればよいのか。

柳晴香を送った後、柳時彦は私を思い出したかのようだった。

彼は慈悲深く私をブラックリストから外し、片手でハンドルを叩きながら、もう一方の手で私に電話をかけてきた。

しばらくして、彼は眉を緩めていたが、次第に険しい表情に変わった。

彼は発散するかのようにハンドルを叩いた。

「安子、電話に出ないなんて、死ぬ気か」

しかし彼は知らなかった。

私が電話に出ないのではなく、もう二度と受けることができないのだということを。

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