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第27話

紗希はすぐに病院に駆けつけた。彼女は3年間貯めた貯金を全て取り出し、医療費として支払った。

ここは私立病院で、料金は高いが、伯父の回復にはとてもいい。

でも、一ヶ月に10万円もの医療費がかかるなんて!

紗希はこめかみを擦り、医療費をずっと渡辺家が払っていたことをほとんど忘れていた。今は離婚したので、拓海には医療費を負担する義務がない。

彼女はバッグから大会の招待状を取り、もし一番を取れば、2000万円の賞金がもらえる。

彼女は友人にメッセージを送った。「美咲、前に言っていた国際パイオニアデザイン大賞プロセスをもう一度送ってもらえる?大賞に参加しようと思う」

「問題ないわよ。あなたって子は、やっと復帰する気になったのね。あなたが参加するなら、一番は間違いなくあなたよ。昔のあなたの裏名は、皆の心で神様だったんだから」

紗希は手の中の招待状を触り、「そうだね」と同意した。新しい人生を始めなければならない。

彼女は車で家に帰ると、平野兄さんの他に、一人の女性と五人のハンサムな若い男性がいた。これが彼女の残りの五人の兄たちだろうか?

平野兄さんは言った。

「紗希、紹介するよ。彼女がお前の義姉で、この人たちが二番目と三番目の兄、そしてこちらが三人のいとこの兄だ」

紗希は気持ちも少し複雑で、ただ軽く頷いただけで、兄たちに何を言えばいいのが分からなかず、なんとなく気まずく感じた。

伯母は言った。「紗希、病院から電話があった。支払いの時期だそうよ」

「伯母さん、医療費はもう払ったから、心配しないで」

南兄さんが言った。

「紗希、医療費はあとどれくらい足りないの?僕たちは手持ちのお金があるんだ」

この時、紗希は六つの目が一斉に彼女を見ていることに気づき、ある種の期待に満ちていた。

六人の兄達の心理活動:「妹、早く金が必要だと言ってくれ!」

お金がたくさんあって、使い切れない!

紗希は首を振った。

「私のお金は当分の間は足りるから、大丈夫だよ」

兄たちもお金を稼ぐのは簡単ではないのだ。彼女は兄たちの足を引っ張るわけにはいけなかった。

彼女は大賞に参加すれば、経済的な収入源ができる。

六人の兄たちはもうポケットからカードを取り出していたが、妹に断られてしまい、とてもつらいと感じた。

お金さえ使えないなんて、やっぱり彼らはダメ
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