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第29話

良いチャンスだ!

直樹は咳払いをして言った。「紗希、室内装飾デザインが好きなのか?」

「うん、大学でそれを専攻したのよ。あの頃、自分の家を持ちたいって思ってたし、それにこの専門は稼げるから、大学でこの専攻を選んだの」

妹が稼ぐためと聞いて、直樹は何故か胸が痛んだ。

「これからは僕たちがいるから、生活費の心配はしなくていいよ」

「でも、一生あなたたちに頼るわけにはいかないでしょ。私はもう一人で自立するのに慣れているの」

紗希はその言葉を気に留めず、車に乗って大会会場に向かった。

直樹は落ち着いてスマホを取り出し、家族のグループチャットで報告した。

「最新情報:平野兄さん、妹があなたの会社が主催する国際パイオニアデザイン大賞に参加するよ」

平野は真面目くさって「妹に一番が好きかどうか聞いてみてくれ」

直樹:「...」

平野はすぐにコンテストの手配をさせ、伊藤静香が言った。「あなた、このコンテストの申し込み締め切りは今日じゃなかったの?担当者に聞いたら、申し込みが一日前に終わったって言ってたわ。そうなると、紗希が今日申し込みに行っても失望するわよ」

平野は眉をひそめた。「誰が勝手に日程を変更したんだ?」

「詩織が一日早く締め切るように言ったそうよ。ちょっと変な感じがするわ」

平野はすぐに助手に電話をかけた。「あいつらに申し込み期間を今日まで延長させろ。今後、私の許可なしに勝手に日程を変更するな!」

一日前に締め切ったどころか、数日前に終わっていたとしても、彼はコンテストの申し込みを再開させるつもりだった。

どうしても紗希に申し込ませなければならない!

_

一方、紗希は直树兄さんとタクシーでコンテストの申し込み会場に向かった。

紗希は会場に入り、たくさんの案内を見て、外の展示ポスターを見て言った。「直树兄さん、昔の私の夢はこの三井不動産グループで働くことだったの」

三井不動産グループ?

それは平野兄さんの事業だぞ。でも社長になって何が面白いんだ?

直樹は平然とした顔で言った。「紗希、不動産で働くなんて退屈だよ。芸能界に行った方がいいんじゃない?私が必ずお前は有名になると保証する」

絶対に妹を芸能界に連れて行かなければならない!

平野兄さんにはこのことは絶対に言えない。妹に不動産会社で働くよう勧めそうだから。

「やめておくわ。
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